記事

銀座クラブママがみた「一流の男」の条件

1/2
(ジャーナリスト 吉田 茂人、撮影=ARI HATSUZAWA(伊藤由美氏)、板橋 葵(桃谷優希氏) 写真=PIXTA)

出世できない人は、夜の社交場でもトンチンカン!? 銀座の高級クラブで、数多くの男性の酒席を彩ってきた伊藤由美ママ(クラブ由美)、望月明美ママ(ル・ジャルダン)、桃谷優希ママ(城)の3人に話を聞いた――。

振る舞いを学び、男を磨き、きれいに飲む

 リーマン・ショックに続き、東日本大震災で接待需要が激減したとはいえ、銀座の高級クラブには上場企業のトップや政治家、芸能人、スポーツ選手などステータスもカネもある、各界の一流の男たちが集う。そこには大人の社交の場として、男を磨くための礼儀作法が満ちあふれている。


(PIXTA=写真)

「クラブは粋とダンディズムを磨く場所です。女性を口説く場所ではないし、お酒を飲むだけの場所でもないんです。男子力がそこで磨かれ、はじめて一人前の男として周りの立派な紳士たちと同じ場所、一緒の空間を楽しめるわけです。品格が伴っていなければ、店側から上客と思ってもらえません。ましてやお金の使い方を知らなければ、そういう一流の殿方とも会えませんから、若い方には男磨きの場にしていただきたいですね」

こう話すのは政界の重鎮や創業社長など政財界の重要人物が通う「クラブ由美」の伊藤由美ママだ。男の品定めのプロであるクラブのホステスと時を過ごすことによって自らを育て、自分の振る舞い方について学ぶ場でもあるのだという。そんな銀座の高級クラブのママたちは、出世する男、伸びる男、そしてダメになる男をどのように見分けているのか。

「酒席での立ち居振る舞いにその人の人間性の素の部分が出ると思います。普段は品性に欠けているけれど、酔っ払ったら品がよくなるといった人は、まずいません。お酒を飲むときの品性、『酒品』は、その人の本当の姿でもあるでしょう。偉くなる人、人の上に立てる人というのは、『ストレスを解消するためのお酒』『現実逃避のためのお酒』は飲みません。みなさん、酒席では楽しく、ご自身も粋に、ゆったりと寛がれています。きれいに飲めない人は、きちんとした仕事ができない人と思われてもしかたありません」

飲み方が粋できれいな人とはどういう人か。

「例えばお店が混んでくれば、『一人で飲んでいるから、ご新規さんの相手をしてくれば』と、ママやホステスを気持ちよく送り出してくれる。一方、無粋な人は、『こっちが先に来ているのだから、待たせとけばいいじゃないか』と周りを気遣えない。人はどちらのタイプと一緒に仕事をしたがるかといえば、答えはいうまでもないことでしょう」(由美ママ)

「きれいな飲み方が大切です」と話すのは、大企業の社長・役員から政治・芸能関係まで多数の紳士が通うクラブ「ル・ジャルダン」の望月明美ママだ。

「明朗会計でも高級クラブはそこそこ値段が高いのは確かです。長い時間座っていたいお気持ちはわかりますが、仕事のできる、出世街道を走っている人は長居されません。『お金』よりも『時間』を大切にされるからです。出世街道から外れたときに憂さ晴らしにこられて長時間飲んで、つい荒れてしまう人もいます。偉くなるために走っていたときにはこんな姿を見せなかったのに、『年を取られたんだな』と、悲しく感じるときもありますね」

偉くなれない人に限って、支払いが終わってからも居座って、さっと切り上げるスマートさがないという。

「自分が楽しむ」ではなく「人を楽しませる」

デキる男は、仲間同士や女の子と会話を楽しむだけではなく、店の裏方の男性スタッフにまで「元気でやってる?」と言葉をかけ、ときには手土産に寿司折りを持ってくるといった気遣いを見せる。「お客様に気を使わせるなんてもってのほかですが」と前置きしながらも、そこに器量の違いが出ると話すのは、2年前に「バブル後、最短&最年少ママ誕生」と銀座雀の耳目を集めたクラブ「城」の桃谷優希ママだ。


桃谷優希ママ● 「城」オーナーママ。京都ノートルダム女子大学卒業後、北新地のクラブへ。その後、銀座に移籍。26歳でクラブママに就任。27歳で独立。

「伸びる人は女の子の好き嫌いを言わず、どの子にも優しく、分けへだてなく接してくれます。ご接待のときにヘルプでつく子たちが一所懸命盛り上げてサービスをしてくれたほうが、ご自分の仕事の助けになることがわかっているからでしょう。大事なお客様にかわりはないのですが、いつも横柄な態度を取られていると、ホステスも人間なので本来の接待がやりづらいのも確かです」

もちろん差別はしないが、気持ちのうえで、つい、区別をしてしまうことがあるという。

明美ママは、「部下やホステス、スタッフといった立場の弱い者に厳しく接する人は、『仕事ができて出世しそうだな』とこちらが思っていても、いずれ落ちてしまう残念な人が多い気がします」と語り、こう続ける。

「接待の場で威張っていても、偉い人とはち合わせすると平身低頭し、人を見て態度を変える姿は、はたから『裏表があって、調子がいい人だ』とすぐに見透かされます。酒席では、人間性が垣間見えるものです」

優希ママも「そういう人は一度上にいっても、周りが付いてこないので、結局はダメになる印象がある」と指摘する。

伸びていく男は全員が楽しめるように、部下にも気配りを欠かさない。

「デキる上司が部下を連れてくるときは『お疲れさま。今日は遠慮なく飲んでくれ』と部下を接待しているのかと思えるくらい上司という顔をしないし、威張りません。気を使って遠慮する部下がいると『ちゃんと楽しんでくれよ、高いんだからな』と冗談まじりに言って、場を盛り上げるために一所懸命です。そして場が盛り上がってきたなと思われたら、『あとは頼んだね』と言って、部下を残してスッと帰られます」(優希ママ)

部下を抑えつけず、いいところを引き出そうと日頃から努めているのがわかるのだという。そういう人は店への目配りも万全だ。

「お店がすいていて盛り上がりに欠けるときに、『今日は俺のために貸しきりか』と言って喜んでくださる。そして『暇だから、今日はパーッといこうか』とシャンパンを開けてくださるようなお客様には、店中みんな、素敵と思わされます」(優希ママ)

あわせて読みたい

「クラブ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    よしのり氏「杉村太蔵見直した」

    小林よしのり

  2. 2

    ユニクロの闇は日本企業の行く末

    fujipon

  3. 3

    小池氏の辞任劇は「死んだふり」

    NEWSポストセブン

  4. 4

    貴乃花が協会改革に診断書利用か

    中村ゆきつぐ

  5. 5

    iPS山中教授 日本の科学界に警鐘

    THE PAGE

  6. 6

    改名して出馬 「最強の無所属」

    畠山理仁

  7. 7

    石原元知事 産経に怒り断筆宣言

    NEWSポストセブン

  8. 8

    朝日新聞の民進分裂検証が衝撃的

    天木直人

  9. 9

    日馬事件 秘密裏に示談交渉か

    NEWSポストセブン

  10. 10

    希望 支持率2.7%で下げ止まらず

    三浦博史

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。