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平昌五輪メイン会場 観客一斉移動で揺れるといわれる安普請


【メイン会場「オリンピックプラザ」(写真:AFP=時事)】

《平昌冬季五輪、まずは国民から盛り上がろう》──韓国の有力紙・朝鮮日報の11月2日社説の見出しだ。訴えはこう続く。

〈合計107万枚あるチケットのうち10月30日の時点で売れたのはわずか34万枚で、全体の31.8%にとどまった。(中略)韓国国民は一度情熱を持てば極限まで熱く燃え上がる。誰がどうやって韓国人の情熱に火を付けられるかが問題だ〉

 販売開始から9か月が過ぎても7割が売れ残っているというから事態は深刻だ。在韓ジャーナリスト・藤原修平氏がいう。

「今年2月のプレ五輪も客席はガラガラだった。チケット販売不振の打開策として、『文在寅大統領のサイン入り腕時計とのセット販売』という案が真剣に検討されているが、効果があるとは思えません」

◆スタジアムが本当に「揺れる」

 女子フィギュア金メダリストのキム・ヨナの引退以降、韓国には冬季スポーツの国民的スターがいない。キム・ヨナは平昌五輪の広報大使を務めるが、国民の関心には繋がっていない。さらなる難問は設備面だ。

 平昌は2月の平均気温がマイナス8.3度という極寒地で2013年にはマイナス20度を記録した。しかし、開会式が行なわれるメイン会場には屋根がなく、選手も観客も吹きさらしの風に晒される。同会場で11月4日に催されたコンサートでは低体温症で5人が緊急搬送された。

「当日の気温は2度でしたが、2月はもちろん氷点下になる。夜8時から4時間も続く開会式の最中、不調を訴える観客が続出し、競技への影響を考慮して出席を取り止める選手も出てくるでしょう」(藤原氏)

 なぜそのようなお寒い事態になってしまったのか。平昌五輪は、朴槿恵政権における崔順実スキャンダルの影響で、民間企業からの支援が停滞し、寄付金や協賛金が集まらなかった。さらに雪不足対策で人工雪製造機を導入するなど運営予算が膨れ上がり、予定より3000億ウォン(約300億円)も不足した。

「支出を圧縮するため、メイン会場は五輪後に取り壊せる簡素な構造になった。そのため『観客が一斉に移動すると揺れる』といわれる安普請で、暖房設備も不足している。観客には腰掛け毛布とカイロが配られるというが、それで対策になるのか」(韓国紙記者)

 競技会場にも懸念は山積。スキージャンプ会場は山頂に設置されたため強風にさらされる。2009年の初の国際大会では米国の選手が突風で墜落し、大怪我を負った。

「最近、地元自治体がジャンプ台の周囲270メートルにわたって防風幕を設置したが、今度は幕の影響で風向きがコロコロ変わるため、危険が増したと批判された」(韓国のスポーツ紙記者)

 カーリング会場では今年3月、氷面に亀裂が生じた。

「どの競技会場も突貫工事の感は否めない。ジャンプやアルペンスキーなど命に関わる競技も多い。大事故にならなければいいが……」(同前)

 近年、韓国では平沢国際大橋(8月)や慶州リゾート体育館(2014年)など“人災”による建造物崩壊が相次いでいるだけに杞憂とは片付けられない。

※週刊ポスト2017年11月24日号

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