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ネット選挙でも「インスタ映え」が重要に

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10月の総選挙では、立憲民主党がネットの拡散力を活かして支持を増やした。今後の選挙でもネットの活用はこれまで以上に進んで行くと予想される。各党はこれまでどれだけネット選挙に取り組み、これからどう展開させていくつもりなのか。ネット選挙コンサルタントの高橋茂氏は、「ネットでは『若者の感覚』がより重要になる」とみる。その理由とは――。

■民進党のネット戦略はかくもダメ

前回記事では、今回選挙で立憲民主党が躍進した理由を分析した。今回は、他の政党のネット戦略について、より詳しく見て行くとともに、ネット選挙戦略の今後についても考えてみたい。



前回触れたとおり、今までの選挙を振り返ると、インターネットでの総合的な発信力は自民党がダントツで1位だった。発信の質の高さで自民党に続くのは共産党。公明党は支持母体である創価学会を主とする登録者数で共産党を上回り、発信力を広げようとしている。

ダメなのが、野党第一党だった民進党(旧民主党)。日頃の発信はほぼ無く、選挙になってから大手広告代理店に一任。選挙が終わればなかったことになっていた。これが、民進党のネット戦略最大の反省点。そして、有権者の支持を得られなかった一因と言える。この民進党の「失敗」には、学ぶべき点が多い。

■ネットに限らない民進党の弱点

政治ジャーナリストや記者、政党のネット戦略に関わる人間であれば、だれもが理解し、指摘していることなのだが、民進党の歴代幹部にはネットを理解できる人がいなかった。これがネット戦略が遅れた最大の原因だろう。代表経験者の中には、ネット上での自らへのバッシングに怒り、ネットそのものに拒否反応を起こす人もいた。前原誠司前代表も例外ではない。彼はネット音痴だ。

念のために言及しておくと、大塚耕平・新代表は党の広報を長く務めており、ネット戦略にも理解がある。これまでに比べればまだ期待できそうだが、すでに党自体の体力が弱りきっている。

話を戻そう。民主党政権時代、「ネット選挙解禁」は社会的なテーマだった。ネット音痴とは言え、幹部たちはネットでの発信を強化する方針を出さざるをえない。しかし、いくら方針を出しても、実働部隊が動かないため、何もやっていないことと同じになっていた。ようはチームが作れないのだ。また、批判を恐れるあまり、無難な発信を地味にやるだけで、結果として話題にすらならない、ということもざらにあった。こういった打つ手の不味さは、ネットだけに限らない、民進党の弱点だった。

知っての通り、民進党は選挙前にドタバタの崩壊劇を演じることになり、候補者たちはちりぢりとなった。結果として、希望の党、立憲民主党が誕生。選挙には新たな対立の構図が生まれた。

■自民党の王道を行く強さ

選挙前まで、ネット発信力で他党を圧倒していたのは自民党だ。大きな要因は、最大手代理店・電通と組んだことだ。今回選挙でも、電通が一括して請け負っている自民党の広報では、頻繁に流れているテレビCMにその「伝統」が垣間見えた。安倍晋三総裁が国民に語りかけるというオーソドックスなスタイルで、特に目新しさは無い。相変わらず安倍総裁の舌足らずなしゃべり方は気になるが、「そもそも政党CMなんて、これでいいのかもしれない」と思わせるシンプルさだ。


自民党が選挙時に公開した安倍総裁のCM動画

ネット戦略もいちいち手堅い。SNSでの発信では、カード式の案内や、応援演説の様子を編集してSNS版として流す最近増えてきたスタイルを積極的に取り入れた。フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなど、SNSそれぞれの特徴もよく捉えている。

映像編集も、ひとつひとつが凝っていてかなり高レベルの仕上がりになっている。写真のレベルも非常に高い。随時安倍総裁について回り、短時間でこれだけのレベルの仕事を仕上げるのは、やはり「プロの仕事」なのだろう。

もともと、ネットユーザーとの親和性を高めていた自民党。JNSC(自民党ネットサポーターズクラブ)など、党のネット戦略の詳細についてはここではおくが、今回の選挙では、支持者を拡大したい若者や女性層、アベノミクスの効果に懐疑的で、自民党への支持が弱いとされた中小企業に向けた演説をまとめるなど、「お手本」を見せられている感じだ。とにかく、仕事が安定している。

■共産党は手作り感とストレートさが魅力

共産党は自民党に続き、高いネット発信力をもっている。以前はウイットに富んだネットCMを何本も流していた時期があった。しかし、最近はより幅広い層に伝わるように発信内容を変化させた。今回の選挙では、アニメを取り入れて、わかりやすくストレートなメッセージを真面目に伝えていた。

また、「#比例は共産党」と訴えるビデオをSNSで拡散。「昭和のCMかよ」と思わせるような簡単な作りながら、訴えがストレートなのでわかりやすく、手作り感も相まって好感を持たせるものになっていた。

選挙用の特設サイトのデザインも、原色を多用した「いつもの感じ」で、若者も違和感無く入って来られるように工夫をしていた。さすが若者との親和性の高さを強調して、ターゲットを上手に明確化している。ネット戦略においても、自分たちのやりたいこと、やるべきことが分かっている政党と言えるだろう。

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