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京都大学はもっと牙をむけ

最近気に入った言葉が「もっと牙をむけ」である。日経「私の履歴書」石毛直道さんの11月9日に、梅棹忠夫さんが探検の夢を語る若手に向かってけしかけていたと書いてある。 梅棹忠夫さんも石毛直道さんも京都大学の人物である。 この言葉、今風に考えると、2つの意味を感じ取ることができる。

1つは今の京都大学に対してである。「もっと牙をむけ」と言いたくなる。 東京大学の中央志向、官僚志向に京都大学は反発していた。牙をむいていた。それが京都大学の独自性となり、とくに科学分野で多くの世界的学者を生み出し、また文化人類学の分野で独自性を発揮した。

それが今ではどうだろうか。内部にいると、京都大学が大人しくなったと感じる。日本経済の低迷と同根なのだろうか。大物を見かけなくなってきた。中央に反発する力も弱くなった。

学生も就職時期になれば、少なくとも経済学部や法学部では、東京の大学(東京大学ではない)に入っとけばよかったなと感じているようだ。関西には、金融機関をはじめとして、就職先が少ないからである。

学生の志向が東京という平均値に収斂し、個性に乏しくなっているのは、関西経済の問題だけではない。大物と評価できる学者が少なくなり、教員としか表現できない程度の小物が多くなったことも影響している。

文科省のお達しもあり、教員がやたら規則にうるさくなり、会社で言えば係長がやる程度のことをやっている(やらされている)。弁明しておけば、大学に予算がないから、金づるを握っている文科省の命令に従わざるをえないからなのだが。この結果もあり、独自性のある研究成果も少なくなっている。

教員がサラリーマン的になっているとも言えようか。それも大学、大学院と学んだにもかかわらず、給与は決して高くない。もちろん、平均的なサラリーマンの給与よりは高いのだが、大企業に勤めることと比べれば安い。

これでは、トップクラスの学生を研究者として大学に残せない。トップクラスの人材でなければ、牙をむくこともほとんどないだろう。

京都大学の執行部がもっと牙をむかなければ、牙をむいて研究のためのインフラと仕掛けと資金源を与えなければ、教員をして、学者と呼ぶにふさわしい独自性のある研究に立ち向かわせることはできない。将来、学者に相応しい人材を獲得することもできない。

社会や企業もまた、優秀な研究者、独自性のある研究者を積極的に応援すべきである。このためには、企業自身に対しても「もっと牙をむけ」とけしかけなければならない。この点は次回に。

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