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AI時代のアマゾンは、日本の音楽市場に何をもたらすのか?アマゾン幹部に訊く、音楽ストリーミングに「共存」が必要な理由

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アマゾンによって、音楽ストリーミングサービスは音声AI時代に突入し始めました。

アマゾンジャパンが、新しい定額制音楽ストリーミングサービス「Amazon Music Unlimited」を国内で開始します。アマゾンジャパンにとって、2015年11月に国内で開始したプライム会員向けの音楽ストリーミング「Prime Music」に次ぐ、2つめの音楽サービスになります。

Music Unlimitedは2016年10月に欧米を中心に始まった音楽ストリーミングサービスでした。約1年の調整期間を経て、日本上陸を果たした事となります。

2015年には「Apple Music」、2016年には「Spotify」と、立て続けに大手サービスが上陸してきましたが、そのコンテクストで言えば、アマゾンも世界の大手サービスの一つとして認知されてきました。全世界で推定ユーザーが1600万人以上で市場3位にまで急成長しているというレポートが先日発表されるなど、トップ2に続いて成長しているようすです(アマゾンはプライム会員、Amazon Music Unlimiitedなど正確なユーザー数は公表していない)。

今や定額制音楽ストリーミングは、アメリカを始め世界各国の音楽市場で急速に収益性を拡大させ、音楽市場の成長に貢献しています。しかし、日本の音楽市場では世界的に「レガシー」となったCDが大半を占め、音楽ストリーミングによってティッピングポイントを迎えるまでにはまだまだ時間がかかるはずです。こうした時代にMusic Unlimitedの狙いは何でしょうか? そしてアマゾンは、一体音楽市場にどんな変化を起こそうとしているのでしょうか?

アマゾンとAlexaが持ち込んだ独自性

コンテンツ

  • 1 アマゾンとAlexaが持ち込んだ独自性
  • 2 Echo登場以降、音楽再生時間は伸び続けている
  • 3 「リーンバック」な音楽体験と、音楽への「アクセシビリティ」がカギ
  • 4 アマゾンが日本の音楽業界にできること

アマゾンは前述の通り、プライム会員向けの「Prime Music」に加えて、一般ユーザーを含めた「Amazon Music Unlimited」を展開しています。まず、今回発表されたMusic Unlimitedが日本の音楽市場に持ち込んだアマゾンの独自性を検証していきます。

まず、日本で始まったMusic Unlimitedは、邦楽アーティストを含むフルカタログ4000万曲以上と日本独自にキュレーションされたプレイリストやラジオ機能を提供します。

一方、Prime Musicはコンテンツの量で言えば、メジャーな邦楽や洋楽を含めて楽曲数は100万曲。同じ音楽ストリーミングですが、Music UnlimitedとPrime Musicでは、全く異なるコンテンツ戦略で差別化を図ってきました。

もう一つMusic Unlimitedが日本に紹介したこれまでにない独自性は、AIスマートスピーカーと密接な連携です。アマゾンはAiスマートスピーカー「Amazon Echo」シリーズの国内展開を満を持して開始、このEchoが搭載する音声AI「Alexa」で、手軽かつ柔軟性の高いMusic Unlimitedでの音楽再生を可能にする音声コントロールを追加してきたことは、これまでどの音楽ストリーミングサービスも実現してこなかったです。

先日発売されたGoogle HomeやClova WAVEにも音楽連携は付いていました。ですが、アマゾンは欧米でAIスマートスピーカーと音楽サービスを連携させる設計やコンテンツ開発を、数年かけて行ってきた優位性をすでに有しているのです。

また、アマゾンは独自の料金プランによって、音楽ストリーミングサービスの固定された価格オプションに問題提起を投げかけているとも思えます。それは「月額980円は正当か?」という疑問です。Music Unlimitedで提供する「Echo割」は一つの答えになります。Amazon Echoシリーズ(Echo、Echo Dot、Echo Plus)1台のみで利用する際の料金は、わずか月額380円になるプラン(モバイルなど他デバイスでは利用不可になる)の登場は、これまでの音楽サービスの常識からは逸脱している価格設定という差別化要因であり、それに伴う価値設定も明確(Echo1台で再生)。潜在的ユーザーにPRしやすくなるはずです。

音楽ストリーミング産業が発展途上にある日本市場において、業界で統一されつつある「サブスクリプション」の認識に対するユーザーの意識変化を促す可能性もあると同時に、音楽サービスが提供する価値や機能の本質は、対価を支払う価値があるのかという点にもつながっていきます。

もちろん価格オプションでは、プライム会員以外のユーザーに対して月額980円、プライム会員なら月額780円または年間7800円というプランの柔軟性を示せる点もアマゾンの独自性です。

今回、「Amazon Music Unlimited」日本ローンチのタイミングで、アマゾンジャパンのデジタル音楽事業本部長であるポール・ヤマモト氏に、アマゾンの音楽ビジネスについて詳しい話をインタビューする機会を頂きました。対話では、なぜアマゾンはMusic Unlimitedを手掛けるのか、そして、Alexa、音声AIと音楽ストリーミングで、アマゾンは日本の音楽市場に何をもたらせるか、訊いてきました。

Echo登場以降、音楽再生時間は伸び続けている

ジェイ・コウガミ(JK):Amazon Music UnlimitedはPrime Musicとどう差別化していくつもりですか?

ポール・ヤマモト(PY):Amazon Music Unlimitedは、Prime Musicとお互いを補完し合う関係にあります。Prime Musicは、楽曲カタログの選択肢は少ない反面、音楽ストリーミングに関心のあるユーザーの入り口として最適です。Amazon Music Unlimitedは、フルカタログで楽曲数が多く、より深い音楽体験を楽しみたいユーザーに利用してもらいたいと考えています。また、私たちはこの2つのサービスを制御する音声コントロール機能をEchoで展開していきます。もちろんEchoでは、他社の音楽ストリーミングサービスにも対応していく予定です。

Amazon Music Unlimitedのサービスの特徴としては、Echoだけでなく、iOSやAndroid、PC、Fire TV、Fireタブレットなどあらゆるデバイスやプラットフォームで利用できる点、そして日本人ユーザーに人気のメジャーアーティストの楽曲が開始から含まれている点は、多くのユーザーの関心を惹くことになると期待しています。邦楽では、J Soul Brothers from EXILE TRIVE、DREAMS COME TRUE、GLAY、乃木坂46、RADWIMPSなど、さまざまなジャンルや年代を網羅します。

Prime Musicとは異なる機能として、キュレーターたちが作る邦楽に特化したプレイリストや、ムードを示したプレイリスト、視聴データを分析してアルゴリズムが自動生成するラジオを提供していくことによって、より多くの楽曲を見つけやすくサービスを作っていきます。

「リーンバック」な音楽体験と、音楽への「アクセシビリティ」がカギ

JK:EchoとAlexaの登場で、欧米ではどういった音楽消費の変化が生まれてきていますか?

PY:Echoが登場する以前、米国では音楽の楽しみ方はモバイルアプリが中心でした。ですが、私たちが音楽ストリーミングを始めて、音楽に特化した音声コントロール機能を展開し始めたことで、Echoでの音楽再生時間がわずか数ヶ月で劇的に急増したのです。もちろん米国では、すでにEchoを導入している家庭も多かったため、スマートスピーカーの利用は始まっていました。ですが、EchoとAlexaの登場以降、自宅での音楽視聴時間は着実に伸びているのが現状です。

Echoでの音楽体験は、集中して聴くというより、「リーンバック」な体験です。BGMとして聴いたり、他のアクティビティと合わせて再生するるなど、ユーザーの生活スタイルに寄り添っています。また、好きなアーティストの楽曲を手軽に再生できる『アクセシビリティ』の向上を高めてきただけでなく、家族や友人たちと複数人で音楽を共聴する体験を実現可能にしたのです。以前、家族でラジオ番組を一緒に聴いていた体験と似ていますね。

JK:これまでEchoで音楽ストリーミングサービスを利用してきたユーザー層は、モバイル時代とはどのように変化してきましたか?

PY:まず、Echoが人気の背景は、音声認識による圧倒的な手軽さが挙げられます。これによって、私たちは音楽好きに限らず、幅広い年齢や地域に渡る一般ユーザーを獲得できたことは間違いありません。

JK:EchoとAlexaの成功を踏まえて、他分野の音楽ビジネスに関心はありますか? 例えば電子チケットやライブビジネスなどをAlexaと連携させることはいかがでしょうか?

PY:需要があれば、新規サービスの可能性を検討していきます。常にオプションはオープンにしておきたいですが、当面はまず新サービスの認知を高めることが最優先事項です。

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