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幼児教育無償化は、幼稚園業界への利益供与か

 

 日本の保育政策を討議する有識者会議、内閣府子ども・子育て会議委員の駒崎です。

 昨日、第32回子ども・子育て会議に参加したのですが、そこで幼児教育の無償化を巡る議論の中で、横たわる政治構造について気づきがありました。

【待機児童がいるのに無償化なの?という保育園業界・親たち】

 各業界団体の代表が出ている子ども・子育て会議ですが、多くの保育園関係者、親の立場の方々からは、

 ・待機児童問題解決の財源が足りない、という話の中で、無償化を先にしたら待機児童問題が悪化する

 ・待機児童以外にも、学童保育等、全く足りない保育サービスがあって、そこにもお金が足りないと言っているのに、どういうつもりなのか

 という意見が相次ぎました。

 しかし、唯一諸手を挙げて賛成している委員たちがいました。

 それが幼稚園団体から選出された方々です。

【幼稚園団体の幹部になる元総理、閣僚たち】

 彼らは

 「幼児教育無償化が、保護者の最も高いニーズ」

 「10数年前から幼児教育無償化を要望してきた。安倍総理にも署名を渡して、今回前進したことは嬉しい」

 ということを仰っていたのでした。

 調べてみると、全日本私立幼稚園PTA連合会が率先し、主に自民党及び政府に対しロビイングを繰り返してきていたのでした



 さらに、全日本私立幼稚園PTA連合会の会長は河村建夫議員(自民党・元官房長官)、副会長は遠藤利明議員(自民党・オリパラ担当大臣)、山本順三議員(自民党・国土交通副大臣)、そして森喜朗元総理を顧問に迎えています。

(出典:全日本私立幼稚園幼児教育研究機構

 幼稚園業界を代表する全日本私立幼稚園PTA連合会の会長、副会長、顧問に、元総理や大臣たちが就任し、自らの業界を利する幼児教育の無償化を血税1.2兆円を使って推し進める、というのは、公正さを欠くのではないでしょうか。

【幼稚園業界が無償化に走る背景】

 幼稚園業界が、なぜ無償化を訴えるのか。

 それは、就労人口構造の変化によるものです。

 このグラフが示すように、幼稚園ユーザーである専業主婦世帯数は1970年代後半から低下し続け、2008年頃からは共働き夫婦世帯数に逆転されます。



 そこから差は広がっていき、今や下降の一途を辿っています。



 それを反映して、定員充足率(定員が埋まっている率)を見てみると50%未満という「ガラガラ園」の率は、私立保育所がわずか1.6%なのに対し、私立幼稚園は14%で保育園の9倍、国公立幼稚園に至っては26.5%で保育園の17倍という状況です。

(出典: ベネッセ教育総合研究所http://berd.benesse.jp/up_images/textarea/06_3.pdf

 つまり、市場の縮小とともに稼働が悪くなり、経営的に成り立たなくなる幼稚園が続出していく状況に対し、幼児教育無償化というのは幼稚園業界にとって救世主であったのです。

【完全無償化が3歳以上な理由】

 幼稚園に通うのは3歳以上。一方、政府の無償化案も3歳から5歳は完全無償化で、0から2歳は低所得層のみの無償化です。

 同じ無償化でも幼稚園に通う子は全面無償化で、保育園に通う子たちは半分だけ無償化、という扱いの違いが、こうした政治的関係性の違いによってもたらされるのだとしたら、それは果たして公正性が担保されていると言えるのでしょうか。

【無償化自体はよし。ただし量もセットで】

 しかし勘違いして頂きたくないのは、私は幼児教育の無償化自体には反対していないのです。全ての子ども達は幼児教育・保育の恩恵が受けられるべきで、その政策的投資対効果も非常に高いものになると、以前から繰り返し申し上げてきました。

 また、安倍政権が高齢者福祉偏重から、「全世代型社会保障への転換」をあげていることにも大きく賛同しており、消費税財源を子ども達のために使おうという志には、100%エールを送っています。

 よって、幼児教育無償化自体は良いのです。

 だがしかし、かたや保育園に入れないで困っている親が、病児保育を使えないで困っている親が、夜間の預け先がなくて困っている親が、学童保育が足りなくて困っている親が、障害児を預けられずに24時間家に閉じ込もらざるを得ない親がいるのです。

 こうした最も弱い立場に人たちに保育を提供した上で、経済的に厳しい状況にいる家庭から無償化していって頂けまいか。

 全面無償化ありき、なのではなく、例えば「低所得者層の全面無償化」に切り替えていって頂き、足りない保育インフラの拡充に消費税財源を振り向けてほしい、と考えています。

 また、消費税財源だけでは足りない分に関しては、「こども保険」や事業主拠出金、教育国債等、全ての手を尽くして財源を確保していくべきです。

 いずれにせよ、「すべての子ども達」が保育・幼児教育を受けられる環境を創る、ということを、為政者の方々には忘れないで頂きたいと思います。

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