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「会社のメール」は3カ月で消去すべきか

(ジャーナリスト 村上 敬 答えていただいた人=弁護士 戸田謙太郎 図版作成=大橋昭一)

■「ありませんでした」では済まない文書

国会で取り上げられた、いわゆる「加計学園問題」では、官僚が残したメモの存在に注目が集まった。公文書管理のあり方が問われたわけだが、民間企業も他人ごとではない。保存が義務づけられている文書は「存在を確認できなかった」では済まないからだ。



代表的なのは経理・税務関係の文書。たとえば貸借対照表や損益計算書などは10年の保存が必要。これらの文書がなければ、銀行から融資も受けられないだろう。また、請求書や見積書、仕入伝票などは保存期間7年。これらの書類に不備があれば、税務署から青色申告の承認を取り消されるおそれがある。

このほか、株主総会や取締役会の議事録は10年。中小企業ではまともに株主総会を開催せず、形式的に議事録をつくるところもあるが、虚偽記載は100万円以下の過料。不備があれば、M&Aの際にデューデリジェンスでダメ出しを食らうリスクもある。

■「何となく残っている文書」が盲点

法律で保存が義務づけられている文書は、ルールに従って保存すればいい。逆に難しいのは、日々飛び交う内部メモや電子メールだ。これらの文書は意識的には保存されていないかもしれないが、多くの会社でサーバーに自動保存されていて、訴訟等の際の証拠になりうる。企業としてどう取り扱うのが適切なのか。国際法務に詳しい戸田謙太郎弁護士は、米国企業の対応について次のように解説する。

「アメリカの民事訴訟では、相手方から文書提出要求があれば、個人のメモや電子メールも含めて関連するものをすべて提出しなければなりません。『見つからなかった』と隠ぺいすれば制裁もあります」

ただ、メモや電子メールをすべて保存して必要なものを探し出すのはコストがかかるし、そもそも残されている文書が自社に有利な資料ばかりとは限らない。それを踏まえて現実的な対応をしている企業が多いという。

「アメリカでは、一定期間経過したメールをサーバーから自動削除している企業が多いです。訴訟の可能性を認識した後は自動削除を停止する必要がありますが、すでに削除したものは不問。こうした仕組みで、効率的な文書管理と訴訟対策を両立させています」

メールの送受信から3カ月程度、短い会社だと、2週間でメールを削除する会社もあるようだ。

日本にも文書開示の制度はあるが、アメリカに比べると緩やか。自社に不利な文書は開示せずに済むケースが多いため「とりあえず何でも残しておけ」というスタンスでメールを管理している企業が多い。しかし、海外と取引がある企業は要注意だ。

「国際仲裁における文書開示のルールは米国のルールに近い。海外企業とトラブルになったときに日本国内と同じ感覚でいると、痛い目に遭う危険性があります」

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