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「カニはいるけどカネはない」 ダジャレ知事に聞く 鳥取県の”勝手に広まる”PR戦略

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「スタバはないけどスナバはある」「カニはいるけどカネはない」「蟹取県」など、ダジャレを利用したPRで話題となる鳥取県。知事自らがダジャレPRを行うきっかけとなったエピソードや、日本財団と進めている地域おこし事業について、鳥取県の平井伸治知事に話を聞いた。

BLOGOS編集部

アキバ生まれの鳥取県知事 きっかけは18年前の鳥取赴任

—— すでに10年目と、鳥取ではすっかりお馴染みの平井知事ですが、出身は鳥取県ではないとお聞きしました

平井伸治知事(以下、平井):私自身は東京の秋葉原という電気街、今で言うと外神田という地名のあたりが出身なんです。子どもの頃は2年に1度の神田祭に出て神輿を担いでいましたね。下町ですから、今で言うところの悪ガキだったのかなと思います。

—— 生まれ育った東京を出て、鳥取県知事になったきっかけは

平井:平成11年に鳥取県に赴任することになったんです。今でも覚えているんですが、夕方、飛行機が鳥取空港に降りていくと、日本海から水蒸気がもうもうと上がっていて、どこまでが海でどこまでが空なのか分からないような感じだった。そういう幽玄な景色の中で「これからどうなるんだろう」なんて思いながら、空港に降り立ったのを覚えています。

住み始めてみると、あちこちに温泉があったり、海があったり、4-50分も運転すればスキー場にも行ける。食べ物をスーパーで買おうと思うと、新鮮な食材が東京では考えられないくらい安く買える。住みやすいところだなと感じていました。ただ、残念ながら全国にその良さが知られていない。私が最初に来た頃は、高速道路もあまり繋がっておらず、周囲の県からも「不便なところ」と見られていたんじゃないかと思います。

そのあと1度東京に戻って、ニューヨークに赴任していたんですが、以前鳥取で仕事をしていたときに一緒にまちづくりをやっていた方や、地元の議員さんに声をかけていただいて、また鳥取県に戻ってきました。それをきっかけに県知事の仕事を預からせていただいているところです。

—— 赴任当初、鳥取の人の印象はどうでしたか

平井:やっぱり山陰の人は優しいですよね。ただ自己主張があまり上手でない。よく言われるのは、鳥取の人に県内の見どころを聞いても「さあ、何もないとこですから」と答えられてしまうと(笑)。自分の身のまわりにある宝石をあまり主張されない、そういうタイプの県民性かなと思います。

BLOGOS編集部

「スタバはないけど日本一のスナバはある」偶然が生んだダジャレPR

—— 鳥取県はユニークなPRで知られていますが、中でも知事のダジャレはたびたび話題になっています

平井:知事として県の課題に真面目に取り組んではいたのですが、どうしてもうまくいかなかったのが情報発信でした。外に向けて発信しようとしても予算がなく、代理店を使った大きなキャンペーンなどは打てなかった。鳥取は、「カニはいるけどカネはない」県ですので(笑)。知恵しかないんですよね。

—— 早速ありがとうございます(笑)。きっかけはやはり、「スタバはないけどスナバはある」でしょうか

平井:あれは本当に偶然だったんです。ある時、お隣の島根県にスターバックスさんが店舗を出店されました。たぶんこういうのは東京の人の心をくすぐるんでしょうね、テレビ局の方たちも喜んで行列を取材されてまして(笑)。

その際、鳥取県にあるテレビ局さんから取材依頼がありました。私は取材は全てお受けする方針だったのですが、県の職員が「これはさすがにちょっとどうかと思います」と言うんですよね。それで企画書を見ると「島根県にスターバックスができて、唯一スタバのない県となった鳥取県知事の見解を問う」と。

こっちも悔しいですから、受けるにしても反論してやろうと考えたんです。「鳥取には有名なバリスタがいて代官山にも出店している」とか。ところが放送時間の関係もありますから、取材意図に合わないところはどんどんカットされてしまった。それで最後に残ったのが「スタバはないかもしれませんけども、日本一のスナバ(砂場)はあります。鳥取大砂丘です」というフレーズでした。

このダジャレがネットで拡がったようで、マスコミの間で「スタバだスナバだ」と話題になっている。でもなんのことかわからない。それもそのはずで、その放送局は鳥取県にはネットされていなかったんですね(笑)。県民の全く知らないところでニュースが流れていた。

—— その後、ダジャレPRがお馴染みになったんですね

平井:自虐風のペーソス(もの悲しさ)が効いた言葉遊びを地方の知事がやると、いかにも「田舎が強がってあんなことを言っている」という構図になって取り上げてもらえて、全国にも飛び火していく。それがわかって、我々も広報戦略を変えたんです。

以来、色々とこういうネタを使わせていただいます。「セブンイレブンはなくてもいい気分になれます」とか「ドン・キホーテがなくてものんきにやってます」とか。ところがこういうことを言っていると取り上げたお店が順番に出来ていくんですね(笑)。でもいまだに出来ていないのが牛丼の松屋さん。なので今は「松屋はなくても松葉ガニがいる」と(笑)。

そうこうするうちに「ダジャレ知事」と呼ばれるようになりました。言葉ひとつではあるんですが、こういう売り込み方もあるんだなと思っています。

—— ネットには拡散力がある一方で、失敗すると炎上してしまうケースもあると思います。気をつけていることはありますか

平井:炎上も多少はいいんじゃないかと思っています。私どもも2度ありまして、あるキャンペーンでピンクの機関車とピンクの駅を作った際に「けしからん」と炎上気味になりました。でもその時にもたくさんお客さんが来てくれた。

炎上には話題が勝手に広まる作用もありますから、道徳的に悪いことをしていなければ、あまり恐れない方が良いと思います。ネットでは特にそうですが、少し騒ぎを起こしたくらいのほうが、話題として取り扱っていただけるのかなと思います。

[ PR企画 / 日本財団 ]

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