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アフリカに北朝鮮制裁の「違反国」が目立つ理由:北朝鮮問題のグローバルな余波

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 北朝鮮によるICBM発射や水爆実験を受けて、国連安保理は9月11日にこれまでになく厳しい制裁を決議。北朝鮮の反発や、制裁の強化そのものをめぐる日米と中ロの駆け引きが目立つ一方、北朝鮮制裁は世界のめだたないところにまで影響をおよぼしています。

 最新の制裁決議の6日前の9月5日、国連の専門家パネルは北朝鮮制裁に関する報告書を発表。このなかでは、2006年の北朝鮮制裁の導入以来2017年8月に至るまで、10ヵ国以上のアフリカの国が制裁に違反してきたと報告されました。

 一般的に経済制裁は、「抜け道」があると効果があがりにくくなります。北朝鮮がアフリカのいくつかの国を「抜け道」にしていることは、これまでにも指摘されてきたことです。

「北朝鮮がアフリカを制裁の抜け穴にしている」:国連報告が示す懸念と「抜け穴」をふさぐために必要なこと

 しかし、北朝鮮をめぐる制裁が加速度的に強化されているなか、このテーマはこれまで以上に重要性を帯びてきており、9月以降英語メディアで頻繁に取り上げられるようになっています。例えば10月25日、CNNは「北朝鮮のアフリカ・コネクション」と題する記事を掲載しています。

 なぜアフリカには「違反国」が目立つのでしょうか。また、「抜け道」を防ぐことは可能なのでしょうか。

「違反国」はどこか

 9月の報告では、シリアに加えて以下のアフリカ7ヵ国が国連決議に基づく武器禁輸に違反してきたと報告されています。

 アンゴラ、コンゴ民主共和国(DRC)、エリトリア、モザンビーク、ナミビア、ウガンダ、タンザニア(アルファベット順)

 さらに、同報告書では、各国で著名な政治家などの銅像を製作することで北朝鮮の宣伝活動を担ってきた美術製作会社、万寿台創作社が以下の7ヵ国で活動していると報告されました。

 アンゴラ、ベナン、ボツワナ、マリ、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエ

 重複する国もあり、合計ではアフリカ11ヵ国がリスト化されています。

 もちろん、アフリカのほとんどの国は制裁に協力しており、北アフリカを含むアフリカ大陸54ヵ国(モロッコがその領有権を主張し、日本が国家として承認していない西サハラを除く)のうち、「違反国」は約5分の1に過ぎません。

 とはいえ、地域レベルでみたとき、他の地域と比べてアフリカに北朝鮮制裁の「違反国」が目立つことは確かです。そこには、大きく4つの理由があげられます。

もともと「脅威」とみていない

 第一に、アフリカでは北朝鮮に対する警戒感が総じて薄いことがあげられます。イランに対する警戒で日本とヨーロッパの間に大きな温度差があるように、北朝鮮に対する日米の警戒感が世界全体で共有されてきたわけではありません。少なくとも今年になって北朝鮮がICBM発射や水爆実験を行う以前、特にアフリカの多くの国にとって東アジアの対立は縁遠いもので、北朝鮮は必ずしも「脅威」ではありませんでした。

 2016年段階で北朝鮮は158ヵ国と国交がありましたが、ここには英仏などヨーロッパの大半の国とともに、全てのアフリカの国が含まれていました。さらに、2016年段階で国内に北朝鮮大使館を置く国は47ヵ国あり、アフリカの国がこのうち3分の1に近い13ヵ国にのぼります。これらは北朝鮮に対するアフリカの警戒感の薄さを示します。

 一方、日米との対立が続く北朝鮮にとって、多くの国と国交があることは「国際的に孤立していないこと」を強調する手段となります。その意味で、貧困国が多くとも、国連加盟国の約4分の1を占めるアフリカは、北朝鮮にとって重要な足場といえます。北朝鮮政府は10月28日、その核兵器が「北朝鮮の主権を脅かす大国」に向けられたもので、アフリカを標的にしていないとアフリカ向けの声明で発表しています。

 ただし、アフリカ各国からみて北朝鮮はとりわけ親しみのある国とも限りません。平壌に大使館を構える24ヵ国のうち、アフリカの国はエジプトとナイジェリアだけで、これは各国の財政事情によるものとみられます。ともあれ、多くのアフリカ諸国からみた北朝鮮は「特に重視すべき相手ではないが、とりわけ警戒すべき相手でもない」といえるでしょう。

冷戦時代からのつき合い

 第2に、アフリカには北朝鮮と歴史的に深い関係にある国が多いことです。特に国連報告で取り上げられた11ヵ国の政府・与党の多くは、冷戦時代に東側陣営から支援を受けた経験をもちます

 例えば、アンゴラの与党・アンゴラ解放人民運動(MPLA)、エリトリアの与党・エリトリア人民解放戦線(EPLF)、モザンビークの与党・モザンビーク解放戦線(FRELIMO)、ナミビアの与党・南西アフリカ人民機構(SWAPO)、ジンバブエの与党・ジンバブエ・アフリカ民族同盟・愛国戦線(ZANU-PF)などはいずれも、もとをただせば冷戦時代に西側が支援する政府や組織と戦火を交えたゲリラ組織で、その時期に北朝鮮を含む東側から軍事・民生の両面で援助を受けた経験をもちます。また、タンザニアの革命党(CCM)は内戦こそ経験していないものの、冷戦期に東側から援助を受けていました。

 冷戦期に北朝鮮は「中国の後ろにくっついて」アフリカへの進出を開始。軍事援助やインフラ整備などを通じて、各国政府との関係を築いてきました。一方、奴隷貿易や植民地化だけでなく、独立後の政治的・経済的な介入もあって、西側先進国からの投資・援助を期待しながらも、その影響力が大きくなりすぎることに警戒感をもつアフリカの国も少なくありません。

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 北朝鮮との関係を指摘された国のほとんどは、必ずしも西側先進国と敵対的ではありません。しかし、この歴史的な関係に基づく人的ネットワークと西側からの「独立志向」は、アフリカで「違反国」が目立つ大きな背景になっているといえます。

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