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神戸製鋼データ偽装事件-複数の役員が黙認していた

11月3日夕方のNHKニュースが報じていますが、神戸製鋼さんが製品の検査データの改ざんを繰り返していた問題で、現場の従業員だけでなく、過去の複数の役員も不正を認識していたことが関係者への取材で判明したそうです。

アルミ床関連工場の従業員だった方が工場長となり、その後本社の役員に昇格したそうで、そのままデータ偽装を黙認していたとのことで、まさに10月16日のエントリーで「私が注目しているポイント」として予想していたとおりでした。この「関係者への取材」というのは、「元役員」の方で、「ほかにも知っていた役員がいる」と証言されています(調査委員会による調査結果が待たれます)。

中央経済社「企業会計」2016年8月号に掲載された拙稿「内部統制システムの構築義務:二つの裁判から考える法的責任論」では、かつての神戸製鋼所による総会屋利益供与、ベネズエラ大統領候補者への不正資金提供に関する株主代表訴訟を取り上げました。そこでも触れましたが、相当数の取締役や従業員が不正に関与していたことを根拠に、元代表取締役らには法的義務としての不正防止に関する内部統制構築義務があるとの所見が裁判所から表明されました。

元取締役の方の話によりますと、検査データの改ざんは少なくとも40年ほど前から行われていたということで、会社の経営陣の間で不正の情報が共有されず、対策が取られていなかったそうです。

つまり(役員の一部は知っていたとしても)経営トップは知る由もなかったということかもしれません。

しかし、2002年の裁判所所見では「もし元代表取締役が、これら(総会屋への利益供与や海外高官への利益提供)の不正を知らなかったとしても、元代表取締役が義務違反を免れる弁明にはならない」とも述べられています。神戸製鋼さんに高いコンプライアンス意識が求められていた2002年当時にも、今回のデータ偽装が組織ぐるみで行われ、是正されずに今日に至ったことは、きわめて大きな問題だと思います。

さらに、元役員の方は(複数の役員が不正を認識していたことを認めたうえで)「不正の背景には納期優先、コスト優先の考えがあり、工場にプレッシャーをかけた経営陣にも責任がある」と話しておられるそうです。役員もプレッシャーを感じ、不正を認識していたとなれば「不正をやってでも納期を守れ、コストを下げろ」ということでしょうか。

もしそうであるならば、もはや「組織風土」といった問題を越えて、国内外で刑事手続きに発展してもおかしくないような有事です。残る疑問としては、神鋼さんは今回の偽装データ事件について、どうして自ら公表する気になったのか、その理由です。役員さんが認識しているような事態ともなれば、「隠すことに賭ける」のが筋でしょう。この点も調査委員会の調査結果を待たねばなりませんが、まだ何か隠されているようで、とても深いナゾです。

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