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【読書感想】ふしぎな総合商社

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ふしぎな総合商社 (講談社+α新書)

ふしぎな総合商社 (講談社+α新書)

Kindle版もあります。

ふしぎな総合商社 (講談社+α新書)

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内容紹介
総合商社。それはじつはバブル期以降の急成長業界であり、「ポストバブルの勝ち組」である。伊藤忠商事、住友商事、丸紅、三井物産、三菱商事。バブル崩壊以降、五大商社のすべてが、吸収合併もされず、会社名も変わらず、とりわけ2001年以降、利益もバブル発生前の約10倍に拡大させてきた。誰もが知っているけれど、実態はよく知らない総合商社。その本当の姿を知ると、ビジネスの本質も見えてくる!

 僕自身は、なんとなく出身大学の医局に入ってしまったので、大学時代に会社訪問や説明会、入社試験などの就職活動を経験していないんですよね。  今は、医学部の学生も、研修を希望する病院へのマッチングがあるので、就職活動的なものと無縁ではいられないみたいですが。  就職活動って、大変そうだな、というのと同時に、未知の世界であるがゆえの、漠然とした憧れ、みたいなものもあったのです。  今から考えてみると、やる気も実力もない(あるいは、長続きしない)僕にとっては、間違って「自分を成長させてくれるはずの、厳しい会社」などに就職しなくてよかったのでしょう。

 「総合商社」といえば、三井物産とか伊藤忠商事とか、ものすごくデキる、そして、気合の入った人たちが、身体を張って世界各地に出かけていって、さまざまな資源を確保したり、現地の手練れの人々と丁々発止のやりとりをして、商品を買い付けたり売り込んだりする、というイメージがあるのです。  しかしながら、そういう、深田祐介さんの『炎熱商人』や山崎豊子さんの『不毛地帯』で描かれていたような商社マンというのは、現在はもう、絶滅危惧種になっているようです。  「貿易・売買・口銭ビジネス」というのは、もはや商社の収益の柱ではなくなってしまった。

 著者は、1980年代半ばから、30年間三井物産で働いた経験をもとに、「商社(総合商社)」が、時代に合わせて仕事を変えていくことで、生き残るどころか、大きな利益をあげるようになったことを紹介しています。

 もともと、取り扱う商品・サービスが多岐にわたり、しかも本社が消費者と直接接することがほとんどないので、一般の消費者には、わかりにくかった。
 それに加え、2001年以降、商社は、そのビジネスの形態を大きく変えてしまった。だから、知っていると思っている人の認識も、いまの実態とはかけ離れていることが多い。
 商社は、バブル以後の急成長業界であり、知られざる「ポストバブルの勝ち組」である。バブル崩壊で衰退した業界・会社はあまたあるけれど、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の商社のトップ5社は、吸収合併もされず、会社名も変わらず、利益もバブル発生前の数百億から数千億円へとざっと10倍くらい飛躍的に拡大した。

 5商社平均の連結純利益(連結税後利益:税引後の最終利益)の、1986~2017年の30年間の推移を見てみよう。商社は、バブル発生まで、1社の年間純利益は、数百億円のレベルだった。その後バブル崩壊のダメージを手ひどく受け、1996~2000年では、5社5年の純利益平均がほぼゼロに近い赤字にあえぐ。ところが、2001年以降、収益が急成長し始め、05年から1社当たり純利益1000億円、07年からは2000億円を超え始める。

 2001年からの7年の短期間で純利益が赤字から2000億円台に到達するというのは、グローバルで見ても一企業で見ても珍しい急成長ぶりである。しかも、同業界のトップ5社でそれができている。2007年には業界5位の丸紅も、純利益が1000億円を超えている。シリコンバレーでも、一つの業種・分野でこんなに急成長して大きな利益を出している企業群はないだろう。
 これほどの高収益・高成長業界であるにもかかわらず、一般の人だけではなく、ベテランのビジネスパーソン、ビジネス系記者、経済・経営の学者でも、商社がどういうビジネスの仕方をしているのかよくわかっていない。

 商社が、バブル崩壊のあと、こんなに「再発展」していたなんて、僕はまったく知りませんでした。  この新書を一冊読めば、「いまの商社は、どういう仕事をして、稼いでいるのか」の概略がわかるようになっているのです。  

 種明かしをすると、現在、商社の業績評価の基準は、本社単体の売上高ではなくて、連結決算の当期純利益(税後利益)になっている。つまり、営業部ごとに計算している連結当期純利益さえいい数字が出ていれば、売上高がゼロでもいい点数がついてボーナスもたくさんもらえる。

 魚往昔評価の基準が、単体売上高から連結当期純利益に変わったのは、商社が利益を得る方法(業態)を変えたからだ。この30年ほどでモノを売って儲ける売買仲介型から事業投資型に劇的にビジネスモデルを変えてきた。モノを買ったり売ったりすることよりも、新しい事業を立ち上げたり、出資した事業会社の収益の持ち分を利益とすることのほうが大きくなってきた。

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