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これから始まるであろう改憲議論に一国民として期待すること。

今年20歳になったシンガポール人の甥っ子が、除隊を目前に控えて11月に予定している2週間の日本旅行に備え、最近メールで頻繁に質問してきます。ディズニーランドではどのくらい予算をみたらいいのかとか、クレジットカードが使えるお店はどのくらいあるかとか、名古屋から京都に行くには新幹線より普通電車のほうがいいかとか、初めての友人たちとの海外旅行に胸躍らせている様子が伝わってきて微笑ましいことこのうえありません。

この甥っ子は子どもの頃から音楽や文学などが好きな内向的なタイプで、2年間のNational Service(フルタイムの徴兵期間)をうまくやり過ごせるか義妹ともども一抹の不安はありましたが、通信関係の部隊に配属されてそれなりに軍隊生活をエンジョイし、顔つきもずいぶんしっかりしてきて大人になったなと感じます。

■国家予算の2割が国防に割かれるシンガポール

周知の通り、シンガポールにはおおむね18歳〜20歳の間に男子が2年間の軍隊生活を送る徴兵制度があり、除隊後も通常は30代後半まで予備役があるため、成人男子は例外なく軍人としての義務を果たさなければなりません。

「国を守ること」「国家のために尽くすこと」は国民の義務であり、その教育のためにシンガポール国民は小学校までは国内のインターナショナルスクール等に入学することは許されません。競争につぐ競争の勉強の傍ら、政府系の学校で徹底して国民としての「義務」教育を施されるのです(有事の際の避難訓練などもカリキュラムに含まれます)。

シンガポールでは東京23区内と同程度の国土しかないのに、防衛費が約1.2兆円と日本の約5.2兆の23%程度、国家予算の19%にもなります。日本の国家予算(政府一般会計に地方自治体や社会保障基金などの歳出を加えた歳出)が約200兆円で防衛費割合が3%未満であることを考えると、いかに防衛費の比率が大きいかわかります。

さらに、日本の防衛費の約43.8%が人件費と食費等であるのに対し、シンガポールの場合は2年間の徴兵期間は小遣い銭程度の給料の支給しかなく、除隊後も訓練期間中の給料は雇用している企業も一定割合を負担していることを考えると、日本に比べ人件費負担が大幅に抑えられていることは明白です。

「国防」にどれだけお金がかかるか、シンガポールの制度を見ているとよくわかるのです。

■改憲には防衛費予算とマンパワーの徹底的議論を。

衆議院選挙が終わって今日で1週間。

「この国を、守りぬく」をスローガンに圧勝した安倍政権自民党は、筆頭に掲げた「北朝鮮の脅威から国民を守り抜きます」という公約の中で、外交、日米同盟に言及した後「ミサイル対応能力の強化をはじめ、国民保護を最優先に対応し、国民の生命と財産を守り抜きます」と記しています。この公約はイコール国防力強化といってもいいでしょう。

違憲か合憲かを棚上げするとしても、現実に英語では「軍隊」と訳される自衛隊(Self-Defence Forces)が存在し、米国の求めに応じて海外に自衛隊員を派兵可能な日米安保関連法も存在します。国家としてのintegrityを考えれば、将来的に改憲するか、可能性は非常に低いとしても、自衛隊や安保条約の根本的見直しは不可避でしょう。

しかし一方、急速に進行中の少子高齢化による、医療費や年金給付の財源をどうするのか、安倍首相が今回の選挙で棚上げにした世界一の国の借金の返済をどうするのか、具体的に数字をあげて誠実に答えている政党は皆無といっていいと思います。ましてや防衛予算を今後どうするのかもほぼ議論になりませんでした。

のみならず、実際に当面の北朝鮮からの脅威から国を守るためにどれだけのマンパワーが必要なのか、具体的には全国で人手不足の問題が深刻化する中、すでに自衛官の充足率が90%程度にとどまっている状況で、「この国を守りぬく」ためにどれだけの人数の自衛官が必要とされると想定されるのか、そのリソースを国としてどうするつもりなのか、私のような一国民にはまったく見えてきません。

これから国会で本格化するであろう改憲議論の中で、このような問題を国民一人ひとりが考えて選択できる情報を、議論やマスコミ報道を通じて広く公開してほしいと思います。

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