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民進党、希望の党の議員・党員は今こそ徹底的な議論を!

 総選挙が終わり、全体としては自民が引き続き2/3以上を得て圧勝、個別には立憲民主の小さな独り勝ちという結果になりました。

 「過半数を取る。」「名を捨て実を取る。」と言う勇ましいスローガンを掲げて、野党第一党の民進党が所属する党の議員・支部長を一切公認せず、党籍を離脱させて希望の党の公認で選挙をするという奇手で挑んだ希望の党、民進党は、過半数どころか公示前57議席を割り込む50議席の敗北に終わり、それぞれの党で執行部批判が吹き荒れています。

 これに対して、「両院議員総会で了承したのに前原氏を批判するのはおかしい。」「自分で政策協定書に署名した以上、政策に異を唱える資格はない。」という批判が寄せられていますが、私は、それらの批判は、少なくとも前原氏の決定に対しては、全く実態に即していないもので、民進党、希望の党の議員・党員は、今こそ、適正な批判を含む議論を徹底的に行うべきだと思います。

 「両院議員総会で了承した。」「政策協定書に署名した。」と言いますが、前原氏が、民進候補者が離党して希望の党の公認で闘うという奇手を発表したのは、総選挙の僅か12日前です。この時点で候補者の公認権は前原氏にあり、時間的に前原氏の解任、新代表の選任は不可能です。異を唱えたところで、異を唱えたものは公認されないだけ、党からの資金も無く、討ち死にどころか死に場所すらない状況に陥りかねません。この様な状況で、代表の打ち出した奇手に反対することは実質上不可能であり、前原氏はほぼ間違いなくそういった状況になることを意図的に狙ってこのタイミングに発表したものと思われます。

 いわば前原氏は、意図的に党所属議員・党員の議論・批判を封殺して自らの奇手を押し通したのですから、その封殺の効果が失した今、議論・批判が噴出するのは当然で、「両院総会で了承したはずだ。」などという「批判の批判」は全く当を得たものではないと私は思います(尚前原氏の名誉のために申し添えると、前原氏本人は、そのような「批判の批判」は行っていません。もとより民進党、希望の党に批判的であった方々が、民進党非難の理由に「批判の批判」を追加したように見受けられます。)。

 一方で「排除という言葉がきつかった。」「党運営が独裁的だった。」等々の理由で小池代表を責めるのは、流石に違うと私は思います。メディアで大きく取り上げられていなかっただけで、小池代表は当初より安保・憲法問題で意見を異にする人は入党させない旨を発言していましたし、地域政党都民ファーストの独裁的な党運営は総選挙のはるか前から報道されていました。前原氏と異なり、小池代表は、その選別傾向や独裁的党運営を意図的に隠してはいません。それを知っていて入った人は勿論、知らずに入った人も、今後改めるべきだという建設的な議論は問題ないとして、それを越えて小池代表の責任だと問責する資格はなく、自らの不明を恥じるべきだと、私は思います。

 勿論、適正な批判を含む議論は、それ自体が目的ではなく、今回の失敗から最大限の教訓を得て、次に生かすものであるべきです。議論や批判それ自体を「潔くない」「我慢すべきだ」という「批判の批判」は前出の通り経緯からして実態に即していませんが、それ以上に、失敗がなぜ起こり、その失敗をどう防げばよく、その失敗から何を学び、今後どうやって捲土重来を期すかの議論から目を背けてしまうことになります。繰り返しになりますが、民進党、希望の党の議員・党員は、今後のためにこそ、適正な批判を含む議論を徹底的に行うべきだと私は思います。

 その観点から、私は、今回の選挙から、民進党、希望の党が学ぶべき点として、新潟県の選挙結果も踏まえ、以下の4点を挙げたいと思います。

1.今回の失敗の最大の原因は、上述した通り、党代表が単独で、公認権を盾に、実質的な党の解体、合併と同等の決定をできたことにあります。実のところ同様の事態は、今回の民進党、希望の党に限らず、維新の党やみんなの党等の小党の合従連衡でも見られてきたことで、民主的政党の在り方として望ましくないと私は思います。

 これを解決する方法は比較的シンプルで、党規約に「党の、解党、合併、その他これと実質的に同等の決定をなすには、党員総会による投票によって承認されなければならない。」等の条項を入れることだろうと思います。この条項があれば、党員大会の開催と投票という物理的制限が入りますので、選挙直前に党代表が単独で突如解党、合併等の決定を行うことは、事実上不可能になるからです。そもそも民主的政党は党員全員のものであるべきであり、党の存亡を決するような重大な決定には党員総会の投票による承認が必要であるとするのは、むしろ当然であると、私は思います。

2.全国的には自民党圧勝ですが、北海道、新潟、佐賀、沖縄等野党共闘が成立していた県では、勝負は拮抗していましたし、それ以外でも野党共闘が成立した選挙区はほぼいずれも善戦していました。前原氏の「民進党の党勢が衰えたのは、野党共闘によって、安保・憲法で明確な姿勢を示せなかったからだ。」という主張は、全く現実に即したものではなく、完全な誤りと言っていいものだったという事は、事実として認めるべきだと思います。

3.その裏返しではありますが、希望の党の敗北のみならず、維新の退潮、日本の心の消滅を見ても、安保・憲法政策を目玉とした「保守2大政党」が幻想であることもまた、証明されたように思います。普通に考えて、保守政党、しかも安保・憲法を目玉に掲げた保守政党に投票したい人は、どうしたって、普段からなじみがあり、権威も権力もある与党自民党の現職(ほぼ全選挙区にいます)に投票します。

 安保・憲法政策で自民党と変わらないなら、せめて経済政策、福祉政策、社会政策で相当な違いを打ち出さなければ差別化を図れないのは当然ですが、「保守」の枠にとらわれるとそれも不自由になります。その為、差別化の方策として「しがらみの打破」や「身を切る改革」が打ち出されていると思われるのですが、それはあくまで手段の問題であって、一般有権者に響く自らに直接影響する政策目的ではありません。更に苦し紛れの差別化なのか、野党でありながら他の野党の批判に開けくれた政党も見受けられましたが、それらの批判が与党自民党を利することはあっても自らの政党の支持の向上にはほとんど全く何の効果も無かったこともまた、見事に証明されたものと思います。

4.新潟では野党共闘で野党が勝ちこしたと報道されており、それ自体は勿論その通りなのですが、それこそ地元で、中立の立場でそれぞれの陣営を見ていたものからすると、野党共闘の成立を含め色々な外部要因はあるにせよ、とはいえ、各候補の票数は、日頃の活動、地方議員をはじめとする地元の支持者と支持者との関係、そしてその基となる各候補のキャリアやキャラクターをほぼ正確に反映していたように思います。

 徹底的な議論で規約や方針を見直す事も必要ですが、やはり最も重要なのは、きちんとした候補者を選び、その候補者が挑戦者としてしっかり活動できる状況を整え、かつその候補者を支える地方議員・支持者を拡大することではないかと思います。

 以上、繰り返し私は、民進党、希望の党の議員・党員は、何と言われようと、「批判の批判」を恐れず、適正な批判を含む議論を徹底的に行うべきだと思います。「批判はするな!」という呪縛に囚われ、お互い空気を読んで、本心ではおかしいと思っている方向に進むのは、日本的組織の悪い癖です。公示12日前にはできなかった批判と議論を、今しなくていったいいつするのでしょう。「批判の批判」を恐れぬ徹底的な議論の先にこそ、真に進むべき道が見えてくると、私は思います。

 なお余談になりますが、私がかつて所属した維新では、内容としては正しいと思われる議論を提起した若手議員が、「口の利き方」を理由に党の創設者からこれでもかというほどの猛烈なバッシングにあっており、事実上議論は完全に封殺されている状態です。その先に未来があるのか、他山の石とすべきと思います。

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