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医師の準強姦に対する無罪判決…、というだけの報道ではもやもやしか残らない

 最近、強姦事件で世間を騒がせるようになった医師、医学部生ですが、その1つの事件で、無罪判決が出ました。
酔った女性への準強姦罪、問われた医師に無罪」(読売新聞2017年10月26日)

「判決で佐々木裁判長は、女性が、M被告や元研修医(32)(準強姦罪などで懲役5年の判決確定)ら男性3人と飲酒をして泥酔状態となり、抵抗できなくなっていた間に被害に遭ったと認定。一方で、相当の酩酊(めいてい)状態にあった女性が記憶している話し方や声の特徴のみで、M被告が暴行したと判断するには疑問が残ると指摘し、「人違いの可能性がないとは言い切れない」と述べた。」
 準強姦ですから、その被害に逢った女性は酩酊だったりで抵抗できな状態ですから、当時の状況を正確に再現することが困難な場合もあるでしょう。もちろん酔って抵抗できないとしても相応に記憶が残っていることもあるでしょうし、その記憶に基づく証言がどの程度、信用できるのかという証拠の評価の問題です。

 この問題は、著名な伊藤和子弁護士がツイッターで感想を述べられています。

それに対して、他の弁護士から推定無罪についてどのように考えるのかという批判も寄せられているところです。

 新聞記事でしか今のところ知りようがないのですが、強姦行為そのものをしたのかどうかについて、その被告も関与していたことについて合理的な疑いを入れない立証がなされない限りは有罪認定はできません。無罪判決は当然です。

 無罪推定の原則とは、例え10人の犯罪者を逃すことがあっても1人の無辜を処罰してはならないというものですから、灰色グレーはすべて無罪です。

 それ故に判例の結論は、この新聞記事を限度という前提ではありますが、それだけでおかしいということになりません。

 なお、本記事については、当時の罪名に従っていることをお断りしておきます。

 しかし、違和感はありませんか。私は、この無罪判決の報道には違和感を覚えました。
 狭いマンションの一室で酔った男が被告人もいれて3人というのですが、その中の1人が酔った女性を強姦しているわけで、被告はその場にいたというのです。しかも偶然にいたわけではありません。最初から主犯格は女性を酔わせて強姦する目的だったというものですが、無罪となった被告が主犯格との関係についてどのような主張をしたのか、などが気になります。判決はあくまで被告人が強姦行為をしたとするには合理的な疑いが残るというものです。

 検察側は共謀の上、犯行に及んだとして起訴していますから、共犯者(実刑判決確定)の供述はあるのかどうかということになります。被告人自身は起訴事実を否認していますから、共謀の事実も当然に否認しているでしょう。
「M被告は昨年8月、東京都大田区のマンションで、元研修医の男(32)=同罪などで懲役5年確定=と共謀し、20代の女性を酒に酔わせて抵抗不能にさせ、暴行したとして起訴された。」(時事通信2017年10月26日
 強姦行為そのものに関与していなくても強姦行為を共謀し、その女性を抵抗できない酩酊状態にさせることに同じように協力していた場合、あるいは、主犯格の犯行を容易にしたような場合には、仮に強姦行為そのものを実行していなくても共同正犯ないしは幇助となります。

 ところで飲酒させる行為が実行行為と認定できるような態様になると準強姦というよりは強姦そのものにもなり得ます。

 但し、飲酒を無理やり、強要するような場合でなければ、暴行・脅迫という要件を満たさないでしょう。だから準強姦での起訴になったものと思います。

 それ故に酩酊状態を作り出すことの共謀があったとしても実際の実行行為は準強姦の場合には姦淫行為そのものになるでしょうから、酩酊状態を作り出すことの共謀という構成としては無理が出てきます。あくまで準強姦での起訴ということであれば、酩酊状態を作出し、その場で主犯格が強姦行為をしやすいように幇助したということの方が合っていると思います。

 要するに、実際に行っていないから無罪、その前提についての事実認定についてはそれは良いとしても、飲酒自体が実行行為ではないとはいえ、被告人が飲酒させることにも関与したのかどうか、酩酊状態にさせて主犯格が強姦行為をしやすくしたと言えるのかどうかなど幇助についての判断は報じられていません。検察はそのような幇助レベルでは処罰は求めていない、ということで裁判所の判断を求めなかったということなのかも含め、報道では全くわかりません。

検察側は共謀の上、犯行に及んだとして起訴していますから、共犯者(実刑判決確定)の供述はあるのかどうかということにな この判決報道の違和感は、単に偶然に居合わせたということではない、最初からそういった場面にいた被告が止めることはなく、また強姦行為そのものはやってないというだけで無罪という結論しか、この報道ではわからないという点です。

 ここが非常に大きな違和感を持ったところです。これは推定無罪の問題ではありません。
 誰もが抱く違和感は、この点ではないでしょうか。

 なお、無罪であろうと、この医師の行ったことは非難に値するのは当然のことです。
元警察官らの集団強姦事件に対する全員の不起訴処分 納得できないのは当然

とにかく酒を勧めてくるやつは要注意だ
アルハラ酒強要強姦セクハラ

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