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第48回総選挙「紙面総括」して見えてきた、小池百合子の瞬間風速 選挙翌日の朝日・産経の論調を比べ読み - プチ鹿島

 第48回衆院選終了。

 不思議な選挙であった。

 投票日(22日)の産経新聞は「安倍政権5年 審判は」と1面で問うていたのだが、その下の「『最後の訴え』に聞き入る聴衆ら」という写真はバスタ新宿前で演説する立憲民主党の枝野幸男代表らであった。SNSでも話題になったこの1面。


産経新聞 10月22日1面

 産経なら安倍首相の写真でいきたかっただろうに、インスタ映えならぬ1面映えする熱気のある写真を選んだらこうなってしまったのだろうか。なんかチグハグ。

選挙期間中の本音がポロポロと

「圧勝」のはずの自民党本部の表情が険しかったのも不思議だった。日本列島に台風直撃という事情を差し引いても「手ごたえがないのに勝ってしまった」という事情があらわれているようにみえた。

 さっそく翌日の記事をみると、

《自民党幹部は「首相が一番嫌われていたが、小池さんが追い抜いて首相は2番になった。小池さんに感謝しないといけない」と語る。》(朝日新聞 10月23日)

《首相に近い閣僚でさえ「演説では『安倍政権』と言わず、『安定政権』への支持を求めた」と漏らした。》(同)

 と、選挙期間中の本音がポロポロと。

若狭勝の“告白”の波紋

 今回の「不思議な」選挙。象徴する人物をあげるとしたら希望の党の若狭勝氏だろう。

 小池百合子氏の片腕として、主役級の扱いで言動が連日注目されていた若狭氏。しかし投票箱を開けてみれば落選。

 え……!?

 いかにイメージ先行だったかよくわかる。若狭勝=希望の党そのものだったと言えまいか。


若狭氏と小池氏 ©石川啓次/文藝春秋

 そんな若狭氏について選挙後に次の記事があった。

「若狭氏明かした 百合子氏不出馬知っていたから『次の次』発言戦略的だった」(日刊スポーツ 10月24日)

 希望の党失速の原因の1つとなった「(小池氏の出馬は)次の次」発言について、

《私は小池さんが出馬しないのを知っていたから、戦略的に言った》

《公示直前に期待が一気にしぼむより、早めにクールダウンさせる必要があった》

 と若狭氏が“告白”しているのだ。

「小池氏は出馬するつもりだったのかどうか」をめぐる冒険

 実は「小池氏は出馬するつもりだったのかどうか」については、今も新聞によって「説」は分かれている。

 選挙翌日(23日)の「産経」と「朝日」は対照的な解説をしていた。

 まず産経。

 民進党の前原誠司代表は10月5日の小池氏との会談まで「『小池は最終的に出馬を決断する』と信じ込んでいた」と書く。

《これには訳がある。2人が極秘に合流構想を温めていた9月下旬、小池は仲介人を通じて「都知事を辞任する選択肢もある」との意向を伝えていたからだ。直後の9月25日、小池は希望の党の旗揚げを宣言し、自ら代表に就任した。》

《 だが、小池はもっと打算的だった。「政権交代が確実でない限り、都知事職は投げ出さない」。側近らによると、これが一貫した小池の本音だったという。》

 政権交代が可能そうなら小池氏は出馬を考えていた、という産経の解説である。


選挙翌日の各紙朝刊1面

 一方、同じ日の朝日はこう書く。

《小池氏の国政進出計画はもともと二段構えだった。まず、この衆院選で一定の勢力を得て、安倍晋三首相を退陣に追い込む。次に、自民党も巻き込んだ政界再編に乗り出し、次の衆院選で自らが立候補して政権を奪う――との構想だ。》

《公示前に、NHKの番組で政権をめざす時期をたずねられた若狭氏が「次の次(の衆院選)ぐらい」と答えたのは「本当のことを言ってしまった」(小池氏周辺)。この発言で小池氏が今回の衆院選を政権選択選挙と位置づけていないとの受け止めが広がった。小池氏は党代表、知事として崖っ縁に立たされた。》

 朝日の解説は若狭氏自身による日刊スポーツでの告白とも合致する。では「小池氏の国政進出計画はもともと二段構えだった」というのが真相なのだろうか。

 いや、ここにこそ、今回の「政局」混迷ポイントが匂う。


産経(手前)は「前原氏誤算」、朝日(右側)は「『排除の論理』誤算」

コロコロ変わる女帝と脱力感と

 前原氏・若狭氏の両者の認識も、産経・朝日の解説も、どちらも「合っている」のではないだろうか?

 つまり、瞬間瞬間で“風”を読んでコロコロ変わる女帝・小池氏にみんな振り回された。そんな脱力感が漂う実態が読み取れて仕方がないのである。

 同じ日の「産経」「朝日」解説の好対照ぶり。どの時点の情報を入手したかで解説も異なるのであろう。

 私はそう読みました。

(プチ鹿島)

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