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中国人は訪日前に何を検索しているのか バイドゥ 国際事業本部 検索事業部長 和田彩美氏 - 中島恵 (ジャーナリスト)

 中国最大の検索エンジン「百度(バイドゥ)」は全世界の検索エンジン市場で、グーグルに次いで第2位。日本でいえばヤフーやグーグルのように中国人が日常的に検索で使っているサイト。中国での検索の90%が百度だといわれている。

バイドゥは中国で最も有名な検索サイト

――国際事業本部の事業内容から教えていただけますか?

和田氏:日本のお客様向けに、百度の中国語の広告を販売しています。広告はリスティング広告、アドネットワーク広告、インフィールド広告と呼ばれるものがメインです。やや専門的な話になりますが、リスティング広告とは、あらかじめ指定したキーワードを、ユーザーが検索した際に提出されるクリック課金型の広告メニューのことです。百度リスティング広告では、テキストのみの表示のほか、表示オプションを設定すれば、複数枚の画像の掲出、サブリンクの設置、タイトルに企業アイコンを表示させることが可能です。アドネットワーク広告は複数の広告媒体を集めて広告配信のネットワークを作り、それらに広告をまとめて配信する仕組みです。インフィールド広告では、百度モバイルアプリ「手机百度」のトップ画面に「テキスト+画像」「テキスト+動画」形式の広告を表示します。

 主にこれらを活用して、中国語での検索で自社をピーアールしている日本企業のお客様が増えています。

――中国語での広告に興味を持っている日本人も多いと思います。

和田氏:インバウンド関係では越境ECを行っている、あるいはこれから行いたい企業や、中国人観光客に商品やサービスを買ってほしい企業などが関心を示していると思います。アウトバウンドでは、中国で商品やサービスを販売したい企業などがあります。業種でいえば、メーカー、地方自治体、商業施設、百貨店、専門店、小売店などですね。

――具体的にはどういう問い合わせがありますか?

和田氏:リスティング広告を始めとする百度広告の出稿の仕方についてお問い合わせをいただくことも多いのですが、中国のデジタルマーケティングへの取り組み全般に関するお問い合わせをいただくこともあります。中国はマーケットの規模が大きく、取り組むべきだと認識しているけれど、その手法や方法、とるべき策がわからない、という日本企業は多いようです。

――ふだん中国語で検索しない日本人にはわかりにくい面もありますが、中国人の検索の仕方は、日本人とは違う特徴があるのでしょうか?

和田氏:大きく異なる点があります。それは、日本人は単キーワードでスペースを空けて検索するのに対し、中国人はスペースを入れないで検索するという特徴があるということです。たとえば、日本人は「北京 レストラン」というようにスペースを空けて検索しますが、中国人は「北京レストラン」というふうに検索します。また、センテンスで検索することも多いです。たとえば、「日本に行ったらどんなお土産を買うか?」などのセンテンスで、そのまま検索します。もちろん中国語です。こういう検索の仕方は、日本にはない特徴といえます。

――なるほど。そういう使い方の違いを知っていないといけませんね。しかし、私の知人は以前、「自分たちの商業施設は、そもそも中国で名前がまったく知られていないので、検索されることもないので、どうしたらいいのか」と悩んでいました。認知されることが第一歩ですね?

和田氏:そうです。いかに中国人から「存在」を認知されるか、きちんと自社のブランディングができているかは重要な問題といえます。日本に来ようと考えている中国の方が、事前に百度で検索し、情報を調べるとします。「日本銀座買い物」というキーワードで検索したとき、その検索結果として自社の正しい情報が表示されているか、その情報を表示させるための手段として、冒頭でご紹介したように、検索結果に広告を表示させる、リスティング広告という手段があります。まず、自分たちの会社名やブランド名を「百度」で検索してみて、検索結果にはどんな情報が表示されているのか、把握することも大事だと思います。

 検索は能動的な手段で、中国人がどういうふうに検索のアクションを起こし、探しているのか、そしてそのニーズにきちんと答えられているのか。もしかしたら、自社の情報がきちんと表示されておらず、競合の情報が表示されていれば、そちらに流出してしまう可能性もあります。知らないうちにビジネスチャンスを逃してしまっていることもあるかもしれません。

――中国人はパソコンとスマホ(モバイル)のどちらで検索しているのでしょうか?

バイドゥのスマホサイト

和田氏:百度の検索データとしては、モバイルが伸びてきています。中国のモバイルインターネット人口は現在、約6億9000万人、百度の検索アプリ「手机百度」のユーザー数は月間約6億人以上です。中国のモバイルインターネット人口の9割近い人々が利用していることになります。

――中国人の検索の仕方が変化しているということはあるのでしょうか?

和田氏:はい。よく中国人の消費は「モノ」から「コト」へ移行しているといわれていますが、キーワードも同じで、以前は日本に関するキーワードでしたら「東京旅行(中国語では东京旅游)というような漠然としたビッグワードで検索が最初に行われていたのに対し、昨今はより絞られたキーワードで検索するようになってきています。

 「この〇〇ブランドのバッグはどこで買えるのか」というようなピンポイントでの検索もよくありますし、「日本交通攻略」「日本お土産攻略」「日本銀座攻略」など、「攻略」というキーワードを組み合わせることによって、効率的に、早く目的にたどり着けるよう工夫して検索している傾向があるようです。検索が熟練化してきているともいえると思います。

――最近の日本に関する検索で急上昇しているキーワードなどはありますか?

和田氏:美術館の名前などはよく検索されるようになってきているのでは、と感じます。大きな美術館よりも、むしろ小さくて個性的な美術館など、意外なところが検索されているようです。旅行が成熟化していく中で、すでに大きな観光地などは回り、もっと自分たちの趣味に合うものや、何かのメディアで見ておもしろそうだったところなど、知る人ぞ知るところに行ってみたい、という人も多いと思います。

 しかし、中国人から検索されている側は、その事実をまったく知らない、ということがよくあります。ある時期、中国人観光客が押し寄せてびっくり、ということもあるかと思いますが、受け入れ準備が整っていないので、彼らの求めに応じられない、右往左往してしまう、ということもあるでしょう。せっかく検索してもらっても、受け入れ準備ができていないと、他へ流れてしまうなど、チャンスを逃すこともあり得ます。検索結果に対して最適な情報を提供していけることが望ましいと思います。

バイドゥ 検索事業部長 和田彩美氏

――自分たちが中国人に検索されているかどうか、どのようにしたらわかるのでしょうか?

和田氏:先ほども申し上げましたが、自社や自社ブランドの中国語の名称で、百度で検索してみることがいいと思います。検索してみて、まったくヒットしないかもしれませんし、意外と上のほうに出ているかもしれません。キーワードでリスティング広告を出稿している競合の情報が表示されるかもしれません。その検索結果によって、自分たちの「立ち位置」がわかると思います。「百度指数」というツールがあるのですが、ある程度のボリュームがあれば、これでトレンドをチェックすることができ、そこで表示されたグラフを使って分析をすることができます。このツールを使って「大阪旅行」(中国語で大阪旅游)を調べてみると、2012年に急激に大阪に行った観光客が増えたことがわかります。このような方法で、少なくとも半年、あるいは1年という少し長いスパンで、自社や自社ブランドが中国人にどのように検索され、注目されているのかをチェックすることができ、対策を立てることができると思います。

――客観的に分析することが大切なのですね。

和田氏:その通りです。検索はあくまでも相手がそこに興味を持つから行う行為であって、逆の立場になって考えなければいけません。また、自社のサイトを作るときにも、中国語(大陸で使われている簡体字)で用意する必要があります。何を訴えたいのか、どういう層に見てほしいのか、を明確にして作ることが必要です。受け皿をしっかり作っておけば、検索されて、訪れてきてくれたときにも対応ができます。中国人観光客というと、国慶節や春節に注目が集まりがちですが、現在では年間を通じてやってきます。

 広告出稿はひとつの手段です。まずは、会社としての中国向けデジタルマーケティングやインバウンドの戦略を立て、百度をご活用いただきながら、目標に向けた獲得やブランド認知施策に、長期的に取り組んでいただければと思います。

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