記事

衆院選の民意は安倍退陣=安倍政権の少数派支配を可能にする小選挙区制という魔法の装置

 今回の衆院選挙の結果について、「自民大勝」や「自民圧勝」などという見出しが全国紙を飾っていますが、相変わらず、実態は「安倍政権の少数派支配」にほかなりません。



 上記の右の表は、Primus Pilusさんが「全国統一区で完全比例代表制(ドント式)で465議席だったら、各党の議席数が何議席になるか調べてみた。」ものです。そうすると、自公の合計で「215議席」になりますから、3分の2どころか、過半数の233議席にも届いていないのです。なので、選挙制度さえ民主的ならば、安倍政権は退陣だったわけです。

 このことは、私が行ったインタビューの中で、中野晃一上智大学教授が次のように指摘しています。

 少数派支配を可能にする「魔法の装置」=小選挙区制


 小選挙区制の構造的な欠陥は、「多数派支配」という体裁はとっていますが、実際には「少数派支配」を可能にするシステムであるという点にあります。

 小選挙区制での選挙結果のほとんどで相対多数の票は、絶対的に見れば少数なわけです。今回の選挙でも有権者の自民党への絶対得票率でみると、比例代表制は17%、小選挙区制は24%ですから、自民党に投票した有権者は4人に1人にも達していないわけです。それを小選挙区制は議席の上では多数派に変えてしまう。そういう意味では小選挙区制は「魔法の装置」といえます。

 この「魔法の装置」による結果をもって「多数派支配」だとか、「圧勝」だと言われても、本当の意味での民意が表出されている議席ではないわけです。

 民主主義とは別物の小選挙区制


 民主主義というのは、みんなで決めようということが原点にあるわけですから、そもそも民主主義は単なる「多数派支配」とも違います。もちろん実際にはみんなですべてを合意するのは難しいから、多数決を便宜的な手段とすることに一定の合意がある場合もあります。しかし、多数決でさえなく少数決になってしまう小選挙区制の選挙結果はもう民主主義とはまったく別物であると言わざるを得ません。ここに小選挙区制がもたらす大きな問題があると思います。

 [安倍政権の少数派支配 ? 多数決さえなく少数決となる小選挙区制は民主主義とは別物|中野晃一上智大学教授]

 今回の衆院選の「自民大勝」「自民圧勝」という結果も、この「魔法の装置」である小選挙区制によって作られた「安倍政権の少数派支配」です。安倍政権は「少数派支配」にもかからず、この間、憲法違反の戦争法や共謀罪などを強行してきたわけで、この点からも安倍政権は民主主義の破壊者です。加えて指摘すると、こうした民主主義とは別物の小選挙区制度下の今回の選挙においても、上の表の左にあるように、自公は318議席から313議席へと前回より減って、改憲阻止勢力は38議席から69議席へと今回は増えているのですから、そういう意味でも今回の選挙結果の内実は「自民大勝」「自民圧勝」などではないのです。

(井上伸)

あわせて読みたい

「衆院選2017」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    国民を馬鹿にした昭恵夫人の一言

    天木直人

  2. 2

    橋下氏「政府許してはならない」

    橋下徹

  3. 3

    配達が無言 ヤマトAmazon撤退で

    山本直人

  4. 4

    大阪市より慰安婦像を選んだサ市

    長尾敬

  5. 5

    よしのり氏 枝野氏の発言は問題

    小林よしのり

  6. 6

    逆DV アウトレイジな妻に泣く夫

    PRESIDENT Online

  7. 7

    日馬暴行騒動は仁義なき情報戦

    文春オンライン

  8. 8

    加熱式タバコの増税は時代に逆行

    宮崎タケシ

  9. 9

    レコ大も紅白も1年間休止すべき

    メディアゴン

  10. 10

    議会に子連れ出席で仕事できるか

    井戸まさえ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。