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DeNA参入で変わる歴代プロ野球親会社「業種」勢力図

一部にはいまだ反発などもあるものの、横浜ベイスターズが2012年度から横浜DeNAベイスターズになることがほぼ確定したようである。DeNAもIT系の企業と見なすならば、現在のプロ野球オーナー企業の中ではSoftbank・楽天と合わせて三社がIT系ということになる。

7年前、東北楽天ゴールデンイーグルス誕生時(Softbank参入前)に、わたしはこのような一覧をまとめていた。

このとき、わたしは書いた。「IT系企業がプロ野球球団のオーナーになるというのは、時代を反映しているような気がする。......ということは、歴代のプロ野球の親会社の業種を見れば、世相が浮かび上がってくるだろうか? と思い立って、ごく簡単ながら、これまでのプロ野球オーナー会社の業種をまとめてみた」。

今回の勢力図の変化もやはり世相を表わしているように思われる。楽天・SoftbankというIT系2社の参入以来、西武ライオンズのオーナーが関連企業内で変化した以外には大きな変化はなかったが、DeNA参入で勢力図がまた少々塗り変わったようだ。

そこで、前回の集計を修正した上で、今回は新たに視覚的に一覧できる塗り分け図を作成してみた。

歴代プロ野球親会社「業種」勢力図

歴代プロ野球親会社「業種」勢力図

この勢力図は、見てのとおりプロ野球オーナー企業の業種別に数を集計して塗り分けたものである。PDF版はこちら(A3サイズで作成してあるので印刷時は適宜縮小してください)。

たとえば「松竹ロビンス」は田村駒治郎という「個人」と松竹という「映画」会社がオーナーだったので、「個人0.5、映画0.5」でカウントしている。これと同時期に「大映スターズ」(オーナーは大映=「映画」)があったので、合計で「映画1.5」と計算している。また、広島東洋カープは「地域0.5+自動車0.5」でカウントしている(東洋工業→マツダ=「自動車」を実質上の親会社と認めた)。

図の塗り分けに関しては視覚的なデザインレイアウトも考慮し、同じ色の枠が上下にもつながるように並べてある。

詳細は以下のとおり。参考にしたのはWikipedia日本語版 Category:野球チームの各記事ならびにプロ野球データ管理室:球団変遷である。間違いなどあればご指摘ください。

戦前

 最初のプロ野球7球団は、新聞4社・鉄道3社から始まった(後援含む)。その後の流れでは個人所有もみられる。戦争が始まると軍需産業系も。

  • 1936 新聞4、鉄道2.5、個人0.5
    • 東京巨人(讀賣新聞)
    • 大東京(国民新聞)
    • 名古屋(新愛知新聞)
    • 名古屋金鯱(名古屋新聞)
    • 大阪タイガース(阪神電気鉄道)
    • 阪急(阪急電鉄)
    • 東京セネタース(貴族院議員有馬頼寧+西武鉄道後援)
  • 1937 新聞3、鉄道2.5、歯磨0.5、球場1、個人1
    • 大東京→ライオン(田村駒治郎+ライオン歯磨)
    • +後楽園イーグルス(後楽園)
  • 1938 新聞3、鉄道3.5、歯磨0.5、個人2
    • 後楽園イーグルス→イーグルス(高橋龍太郎)
    • +南海(南海電気鉄道)
  • 1940 新聞3、鉄道3.5、歯磨0.5、個人2
    • 東京セネタース→翼軍
    • 大阪タイガース→阪神
    • イーグルス→黒鷲軍
  • 1941 新聞2、鉄道3、個人3
    • ライオン→朝日軍
    • 翼軍+名古屋金鯱軍→大洋軍
  • 1942 新聞2、鉄道3、鉄工1、個人2
    • 黒鷲軍→大和軍(大和工作所=鉄工所)
    • ※新愛知新聞と名古屋新聞が合併して中部日本新聞に。
  • 1943 新聞2、鉄道4、鉄工1、個人1
    • 大洋軍→西鉄軍(西日本鉄道)
  • 1944 新聞1、鉄道3、軍需1、個人1
    • 名古屋軍→産業軍(理研工業=軍需産業)
    • 南海→近畿日本(近畿日本鉄道)
    • 西鉄軍・大和軍解散

戦後

 戦後は鉄道・新聞・映画あたりが中心となって復興。

  • 1946 鉄道3、新聞2、工場1、個人2
    • 東京巨人(讀賣新聞)
    • 産業→中部日本(中部日本新聞)
    • 阪神(阪神電気鉄道)
    • 阪急(阪急電鉄)
    • 近畿日本→近畿グレートリング(近畿日本鉄道)
    • 朝日→パシフィック(田村駒治郎)
    • +セネタース(西園寺公望オーナー、横沢兄弟の個人運営)
    • +ゴールドスター(田村駒系列の工場)
  • 1947 鉄道4、新聞2、工場1、個人1
    • 東京巨人→読売ジャイアンツ
    • 阪神→大阪タイガース
    • 近畿グレートリング→南海ホークス(南海電気鉄道)
    • パシフィック→太陽ロビンス
    • セネタース→東急フライヤーズ(東急)
    • 阪急→阪急ベアーズ→阪急ブレーブス
  • 1948 鉄道3.5、新聞2、映画0.5、工場1、個人1
    • 太陽ロビンス→大陽ロビンス
    • 中部日本ドラゴンズ→中日ドラゴンズ
    • 東急フライヤーズ→急映フライヤーズ(東急+大映球団)
  • 1949 鉄道4、新聞2、映画1、食品1、個人1
    • 急映フライヤーズ→東急フライヤーズ
    • 金星スターズ→大映スターズ(大映)
    • +まるは球団(大洋漁業)

2リーグ制開始

 当初は鉄道・新聞が強かったが、1960年代後半から食品系が伸びる。

  • 1950 鉄道系7、新聞4、映画1.5、食品1、個人0.5、地域1
    • 読売ジャイアンツ(讀賣新聞)
    • 中日ドラゴンズ(中日新聞)
    • +毎日オリオンズ(毎日新聞)
    • +西日本パイレーツ(西日本新聞)
    • 東急フライヤーズ(東急)
    • 大阪タイガース(阪神電鉄)
    • 阪急ブレーブス(阪急電鉄)
    • 南海ホークス(南海電鉄)
    • +近鉄パールス(近畿日本鉄道)
    • +国鉄スワローズ(鉄道協力会・鉄道弘済会・日本通運・日本交通公社)
    • +西鉄クリッパース(西日本鉄道)
    • まるは球団→大洋ホエールズ(大洋漁業)
    • 大映スターズ(大映)
    • 大陽ロビンス→松竹ロビンス(田村駒治郎+松竹)
    • +広島カープ(親会社なし)
  • 1951 鉄道系7、新聞3、映画1.5、食品1、個人0.5、地域1
    • 中日ドラゴンズ→名古屋ドラゴンズ
    • 西鉄クリッパース+西日本パイレーツ→西鉄ライオンズ(鉄道)
  • 1953 鉄道系7、新聞3、映画1.5、食品0.5、地域1
    • 大洋ホエールズ+松竹ロビンス→大洋松竹ロビンス(大洋が松竹を吸収合併)
  • 1954 鉄道系6、新聞3、映画2.5、食品0.5、個人1、地域1
    • 大洋松竹ロビンス→洋松ロビンス
    • 名古屋ドラゴンズ→中日ドラゴンズ
    • 東急フライヤーズ→東映フライヤーズ(東映)
    • +高橋ユニオンズ(高橋龍太郎)
  • 1955 鉄道系6、新聞3、映画2、食品1、鉛筆0.5、個人0.5、地域1
    • 洋松ロビンス→大洋ホエールズ(松竹が撤退)
    • 高橋ユニオンズ→トンボユニオンズ(トンボ鉛筆と提携)
  • 1956 鉄道系6、新聞3、映画2、食品1、個人1、地域1
    • トンボユニオンズ→高橋ユニオンズ
  • 1957 鉄道系6、新聞3、映画2、食品1、地域1
    • 大映スターズ+高橋ユニオンズ→大映ユニオンズ
  • 1958 鉄道系6、新聞2.5、映画1.5、食品1、地域1
    • 大映ユニオンズ+毎日オリオンズ→毎日大映(大毎)オリオンズ
    • この年から12球団が定着。
  • 1959 鉄道系6、新聞2.5、映画1.5、食品1、地域1
    • 近鉄パールス→近鉄バファロー
  • 1961 鉄道系6、新聞2.5、映画1.5、食品1、地域1
    • 大阪タイガース→阪神タイガース
  • 1961 鉄道系6、新聞2.5、映画1.5、食品1、地域1
    • 近鉄バファロー→近鉄バファローズ
  • 1963 鉄道5、新聞3.5、映画1.5、食品1、地域1
    • 国鉄スワローズから国鉄が撤退、産経新聞とフジテレビが出資(※フジ・サンケイグループ全体で「新聞」としてカウント)。
  • 1964 鉄道5、新聞3.5、映画1.5、食品1、地域1
    • 大毎オリオンズ→東京オリオンズ
  • 1965 鉄道5、新聞3.5、映画1.5、食品1、地域1
    • 国鉄スワローズ→サンケイスワローズ(フジ・サンケイグループに正式に移る)
  • 1966 鉄道5、新聞3、映画1.5、食品1.5、地域1
    • サンケイスワローズ→サンケイアトムズ(ヤクルトが運営に参加)
  • 1967 鉄道5、新聞2.5、映画2、食品1.5、地域1
    • 東京オリオンズから毎日新聞撤退。
  • 1968 鉄道5、新聞2.5、映画2、食品1.5、自動車0.5、地域0.5
    • 広島カープ→広島東洋カープ(東洋工業=マツダと地域の球団)
  • 1969 鉄道5、新聞2.5、映画1.5、食品2、自動車0.5、地域0.5
    • 東京オリオンズ→ロッテオリオンズ(大映+ロッテ)
    • サンケイアトムズ→アトムズ(経営権をヤクルトが握る)
  • 1970 鉄道5、新聞2、映画1.5、食品2.5、自動車0.5、地域0.5
    • アトムズ→ヤクルトアトムズ(ヤクルト単独)
  • 1971 鉄道5、新聞2、映画1、食品3、自動車0.5、地域0.5
    • ロッテオリオンズの親会社が正式にロッテ単独になる
  • 1973 鉄道4、新聞2、食品3、不動産2、自動車0.5、地域0.5
    • 東映フライヤーズ→日拓ホームフライヤーズ(不動産・パチンコ)
    • 西鉄ライオンズ→太平洋クラブライオンズ(ゴルフ場開発会社が冠)
  • 1974 鉄道4、新聞2、食品4、不動産1、自動車0.5、地域0.5
    • 日拓ホームフライヤーズ→日本ハムファイターズ
  • 1977 鉄道4、新聞2、食品4、ライター1、自動車0.5、地域0.5
    • 太平洋クラブライオンズ→クラウンライターライオンズ(廣済堂グループ傘下の会社)
  • 1978 鉄道4、新聞2、食品4、ライター1、自動車0.5、地域0.5
    • 大洋ホエールズ→横浜大洋ホエールズ
  • 1979 鉄道4、新聞2、食品4、不動産1、自動車0.5、地域0.5
    • クラウンライターライオンズ→西武ライオンズ(コクド=観光施設・不動産・建設)

1979~1988

1979年以降、10年間にわたって変化がなかった。この時期のチームをまとめなおすと、

  • 鉄道4
    • 阪神タイガース(阪神電鉄)
    • 阪急ブレーブス(阪急電鉄)
    • 南海ホークス(南海電鉄)
    • 近鉄バファローズ(近畿日本鉄道)
  • 食品4
    • 横浜大洋ホエールズ(大洋漁業)
    • ヤクルトスワローズ(ヤクルト)
    • ロッテオリオンズ(ロッテ)
    • 日本ハムファイターズ(日本ハム)
  • 新聞2
    • 読売ジャイアンツ(讀賣新聞)
    • 中日ドラゴンズ(中日新聞)
  • 不動産1
    • 西武ライオンズ(コクド)
  • 自動車0.5+地域0.5
    • 広島東洋カープ(マツダ)

90年代の再編

 鉄道系が弱化。業種は多種多様に。

  • 1989 鉄道2、新聞2、食品4、不動産1、自動車0.5、地域0.5、スーパー1、金融1
    • 南海ホークス→福岡ダイエーホークス
    • 阪急ブレーブス→オリックス・ブレーブス(リース・金融)
  • 1991 鉄道2、新聞2、食品4、不動産1、自動車0.5、地域0.5、スーパー1、金融1
    • オリックス・ブレーブス→オリックス・ブルーウェーブ
  • 1992 鉄道2、新聞2、食品4、不動産1、自動車0.5、地域0.5、スーパー1、金融1
    • ロッテオリオンズ→千葉ロッテマリーンズ
  • 1993 鉄道2、新聞2、食品4、不動産1、自動車0.5、地域0.5、スーパー1、金融1
    • 横浜大洋ホエールズ→横浜ベイスターズ(大洋漁業がマルハに改名)
  • 1999 鉄道2、新聞2、食品4、不動産1、自動車0.5、地域0.5、スーパー1、金融1
    • 近鉄バファローズ→大阪近鉄バファローズ

2000年以降の再編

 地域密着型も増え、新しい時代の業種を反映している。

  • 2002 鉄道2、新聞2、テレビ1、食品3、不動産1、自動車0.5、地域0.5、スーパー1、金融1
    • 横浜ベイスターズの親会社がマルハからTBSへ移行
  • 2004 鉄道2、新聞2、テレビ1、食品2.5、不動産1、自動車0.5、地域1、スーパー1、金融1
    • 日本ハムファイターズ→北海道日本ハムファイターズ(食品+北海道地域企業の出資)
  • 2005 鉄道1、新聞2、テレビ1、食品2.5、不動産1、自動車0.5、地域1、金融1、IT2
    • オリックス・ブルーウェーブ→オリックス・バファローズ(吸収)
    • +東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天)
    • 福岡ダイエーホークス→福岡ソフトバンクホークス(Softbank)
  • 2006 鉄道1、新聞2、テレビ1、食品2.5、ホテル1、自動車0.5、地域1、金融1、IT2
    • 西武ライオンズの親会社コクド(西武グループ)再編により、子会社だったプリンスホテルが親会社コクドを合併。球団オーナーもプリンスホテルになる。
  • 2009 鉄道2、新聞2、テレビ1、食品2.5、自動車0.5、地域1、金融1、IT2
    • 西武ライオンズ→埼玉西武ライオンズ(プリンスホテルから西武鉄道に移行)
  • 2012 鉄道2、新聞2、食品2.5、自動車0.5、地域1、金融1、IT3
    • 横浜ベイスターズ→横浜DeNAベイスターズ

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