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痴漢をするのは「ザ・サラリーマン」 「痴漢本」著者×被害告白女性対談(上)

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痴漢を性依存症として位置付け、治療にあたっている大森榎本クリニック(東京都)の精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんは『男が痴漢になる理由(イースト・プレス)』を上梓し、各種メディアで話題を呼んでいる。

一方、ウェブメディア「BE INSPIRED!」は、痴漢の被害に関して顔出しで告白する記事を掲載した。痴漢被害を告白した中の一人に、筆者の知人でもある、アーヤ藍さんがいた。

多くの痴漢加害者と関わってきた斉藤さんと被害経験のアーヤさんの対談を全3回にわたりおおくりする。

顔出しで告白した意味は?

渋井:顔出しで痴漢被害体験をメディアに載せることになった経緯を教えてください。

アーヤ:ウェブメディアで働く知り合いが、自分のフェイスブックで「痴漢に関する記事を書きたい。体験談を募集します」と投稿していました。「たいしたことはないけれど、私の体験でよければ」と返信しました。

性暴力を直接受けると、「汚れた」かのように見られてしまうことがあります。痴漢は直接の被害ではないと思ったのです。私は軟禁状態に置かれたこともあります。確実に閉じ込められたわけではないけれど、恐怖で逃げ出せない状況でした。このことの方が喋るハードルが高いですね。

渋井:痴漢も直接の被害ですよね?

アーヤ:私がさっき言った「直接の被害」というのは、「挿入行為がない」ことを意味していました。触れられたということだけを持って、結婚するときに、障害にならないのではないかということです。

斉藤:いわゆる性被害体験になる人はいます。もちろん、痴漢で結婚ができなくなりましたというエピソードは聞いたことがないですが、電車という交通機関の利用を断念する人。また、一過性の男性不信に陥る人はいます。

アーヤ:痴漢は、本人の心の傷があるとは思うけれど、他人から「汚れている」とは思われにくいのではないでしょうか?「痴漢被害にあった相手とは結婚したくない」という人は少ないと思う。私自身、「痴漢にあったことがあるなら結婚しません」という人とは結婚したくないので、いいかなとも思います。

斉藤:様々なWeb媒体で性被害体験の記事を見ることが増えましたが、痴漢被害の記事は少ないですよね?

アーヤ:誰も語らないですよね。件数が多いからか、普通のことに思えてしまう。「声をあげても痴漢がなくならない」という諦めがあるのではないでしょうか。

「男が痴漢になる理由」を上梓した斉藤章佳さん(撮影:渋井哲也)

斉藤:記事の反応はどうでしたか?

アーヤ:「私も嫌なことをされたことがある」という女性側からのリアクションはありました。告白記事を掲載したメディア側の意図は、痴漢をした本人を責めるため、ではありません。自分のこととして感じてほしい。だから敢えて感情を排して淡々と情景描写をする形で書きました。記事で発信した人たちの共通の意思でもあると思います。

ところで、この本、「男が痴漢になる理由」を読んで思ったのは、誰もが加害者になり得るということです。特定の誰かの問題ではないと思いました。性暴力関連の本は何冊か読んだことあるんですが、その多くで「性欲が原因ではない」とされていました。しかし、痴漢については、そうした認識はなかったですね。

被害女性に諦めムードがある?

斉藤:「自分しか被害にあってない」と考えると、とんでもないひどいことされたとは思いますが、「私もされた」と周囲から聞くと、「痴漢する人はいるものだ」といって諦める。春になったらそういう人が出てくるものだというようなニュアンスが近いかもしれません。でも、痴漢はオールシーズンでますけどね。

アーヤ:自分だけが特別な被害者ではないから、声高にするのは恐れ多いなとどこか思ってしまうんですよね。

斉藤:怒りはわかなかったのですか?

アーヤ:私の場合、満員電車で後ろに密着されている状態。体をずらして、性器の部分を押し当てられていた。意図したものなのかはすぐに判断できずに混乱状態でした。後から「あれは痴漢だったんだ」と思い、怒りが湧きました。

痴漢の告白記事が出る1週間前ぐらいにも、すいているホームを歩いていたら、すれ違った男性に手の甲を触れられて、そのまま通り過ぎられました。わざわざ反応するのもどうなのかとも思いましたが、この本を読んで、エスカレートしていく最初のほうなのかもしれないと思いました。

斉藤:巧妙な手口ですね。痴漢でいうと手の甲で、能動的にさわっている人もいるが、そこまでではない人もいる。潜在的な痴漢層で、電車を降りる時にわざと体の一部が接触するように、自然にみせかける人もいます。痴漢された相手も「これだけ密集していれば触れてもしょうがない」と思わせるテクニックがあります。そこから更に悪質な痴漢に発展するケースはありますね。

アーヤ:薬物とアルコール依存と似ているとも書かれていたことがわかりやすかったです。「きょうで終わり」「ちょっとだけだから大丈夫」というものから発展していく...。

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