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神戸製鋼所の相次ぐデータ偽装の代償、数社から負担請求の動きも

 データ偽装が相次ぐ(株)神戸製鋼所(TSR企業コード:660018152、兵庫県、東証1部)は、10月20日午後6時半から都内のホテルで記者会見を開いた。会見では新たに発覚したグループ会社の不適切行為と品質自主点検の妨害行為を明らかにした。
 10月8日にデータ偽装を公表以降も、11日、13日と新たな偽装が発覚し、17日には米国司法省から書類提出を要求されたことが明らかになっている。とどまるところを知らないデータ偽装がどこまで広がるのか。東京商工リサーチ(TSR)では独自にデータ偽装問題の取材を続けている。

神戸製鋼所会見、会見する梅原副社長(中央)
神戸製鋼所会見、会見する梅原副社長(中央)

新たな2つのデータ偽装

 20日の会見で明らかにしたグループ会社の不適切行為は(株)コベルコマテリアル銅管(TSR企業コード:296142646、東京都、年商444億円)による出荷した銅及び銅合金の継目無管の引っ張り強度や結晶粒度の検査データ書き換えだ。納入先は4社で、期間は2016年9月~2017年8月。出荷重量は25t。納入先の具体名は公表していない。

 出荷分ではJISマーク表示製品の偽装も発覚した。ただ、偽装前の検査値はJIS規格を満たし安全性に問題はないとしている。
 なお、2016年9月より前の出荷製品について、JISの認証機関である一般社団法人日本品質保証機構からJIS規格を満たしていないものがあると指摘されていたことを明らかにした。神戸製鋼所はこれまで法令違反はないとの立場だったが、揺らぐ可能性がある。

 また、子会社の神鋼鋼板加工(株)(TSR企業コード:290712815、千葉県、年商29億円)では、厚板加工品の板厚測定の未実施や測定データをねつ造していた。2015年11月~2017年9月の間に1社に対し、3,793tを出荷したという。納入先の具体名は公表していない。

自主点検の「妨害行為」も

 同時に公表されたグループ会社の品質自主点検の妨害行為は、アルミ・銅事業を手がける長府製造所(下関市)の押出工場で発覚した。自主点検や緊急監査の際、データ偽装を報告していない事例が確認されたという。対象製品はアルミ押出品で、出荷量などは確認中としている。

梅原副社長らが記者会見

 20日の記者会見には、梅原尚人副社長ら経営幹部3名が出席。報道関係者は100名以上が集まった。
 会見の冒頭、梅原副社長は一連のデータ偽装を謝罪するとともに、13日の会見に出席した川崎博也代表取締役会長兼社長が体調不良のため本日の会見には出席できないと述べた。川崎会長の体調は快方に向かっているという。

 梅原副社長は「我々の信頼は大きく失墜した。地道に努力して信頼を回復するしかない」との決意を明かした。しかし、データ偽装製品の納入先や最終製品の具体名は一切開示せず、記者が「いつまで消費者でなく納入先のメーカーばかりみているのか」と詰め寄るシーンも見られた。

データ偽装製品の納入先数

 神戸製鋼所は、データ偽装された製品の納入先は約500社と説明している。今回、新たに3事案を公表したが、コベルコマテリアル鋼管と長府製造所の偽装はすでに公表した納入先に含まれており、神鋼鋼板加工の納入先1社が約500社に追加される。

 今後もデータ偽装が発覚する可能性を問われると、梅原副社長は「まったくないとは言い切れない」と答えた。次々と発覚するデータ偽装や自主点検の妨害行為などで統治能力の限界を晒すが、問題の沈静化には時間がかかるとの見通しを示唆したともいえる。

自主点検、緊急監査の信頼性

 神戸製鋼所が独自に進めている自主点検や緊急監査でも妨害行為が明らかになり、自浄能力に疑問の声も上がっている。

 神戸製鋼所では、自主点検はチェックを受ける部署とは別部署の従業員が点検するため、恣意的な判断は避けられており、一定の客観性は保たれて有効との立場を示している。このため、妨害行為はあったが、これまでの点検や監査をすべてやり直す考えは現時点ではないという。

 神戸製鋼所は、2016年11月にものづくり推進部の品質統括室に監査専門部門を立ち上げ、2017年4月より本格的に品質監査を行っている。だが、全数監査は物理的に難しく「抜き取り」が中心。ここから漏れた分に同様の「妨害行為」が発生する(している)可能性は拭いきれない。

資金繰り、受注への影響

 日を追うごとに問題が拡大しているが、ビジネスへの影響はないのか。
 神戸製鋼所は会見で「(データ偽装に関連する)訴訟は現時点でない。ただ、納入先は色々な形で検証などのコストがかかっており、数社から負担を求められている。(負担について)現在協議中である」と述べた。

 受注への影響については、「(一部製品の)出荷停止があり、その分は数量減だ。他社への転注はまったくないわけではないが、どの程度なのか分からない」と述べ、受注活動に影響が出ていることを認めた。

 神戸製鋼所の取引先にTSRが行ったヒアリングでは、「顧客が神戸製鋼所以外の製品を指定するようになった」との声がある。また、防衛相、国土交通省では神戸製鋼所の線材使用の状況を確認しているという。
 まだ大きな流れになっていないが、「安全」と「品質」への信用を失った代償は着実に広がっている。

神戸製鋼所の本社
神戸製鋼所の本社

 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年10月23日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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