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【特別寄稿】維新のいう「教育無償化」のからくり - 海老原嗣生

消費増税は必要ない!

「日本のこころ」以外の野党はこぞってそう叫ぶが、中身は心もとない。

その財源は、希望の党の「企業の内部留保課税」を除けば、「無駄遣いの削減」に帰する。

考えると大平内閣での大型間接税論議から日本はずっと、「無駄を省けば」論議を繰り返してきた。その最後っ屁が、旧民主党時代の政権獲得時のマニフェストで、「特別会計200兆円をたたけば、16.8兆円の財源が確保でき」、それにより、高速道路も無償化、子供手当も貧富の差なく全子育て家庭に配られるとまで豪語された。

その後の民主党政権ですべて「無理」であり、マスコミが注目した事業仕分けでは、恒久財源は16.8兆円の1割にも満たない、スズメの涙となる。

旧民主のあまりの失態に、こうした「無駄削減」論は大衆迎合型の大風呂敷だと、選挙民もさすがに気づき始めた。だから、今回の選挙戦で「増税しない」戦略はあまり指示を集められていない。

そうした中で、異色を放つのが維新の主張だ。テレビや街頭演説で松井知事は、「維新は大阪府政で、教育無償化を増税せずに成し遂げた。まずは身を削る改革により、財源は確保すべきであり、増税はやらなくてよい」と主張する。

その概略は下記、日経新聞の記事でわかる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22053170Q7A011C1EB1000/

ここまでの実績を言われると、「やはり無駄削減で増税は不要か」という気になる。

ただ、この話は2つの問題がある。

まず、教育無償化について、本当に実現できているのか、というと、その実態は大阪市と守口市だけで、一部無償化の門真市を加えても大阪府の3市にとどまるというもの。

詳細は下記記事をご覧いただきたい。
http://npo-iasia.org/2017/10/factcheck8/

ちなみに、3市の人口を合わせても、大阪府全体の3割にしかならない。3割のことを「府政」というのはいささか問題があるだろう。

続いて2つ目の問題。

それにしてもなぜ、大阪は一部でも教育無償化が成り立ったのか。

その理由を示すデータを記しておく(こちらは社会保障のプロである慶応大学の権丈善一先生からいただいた)。 添付したグラフを見て欲しい。

海老原嗣生
大阪と他府県の歳出レベルを比較したものだ。

橋下さんの知事時代、大阪の歳出がどんどん削減されたことは、評価すべきこと。ところが、絞り切ったあとの現状でも、ようやくそれは他府県平均にようやく追いついた程度。

つまり、今まであまりにも無駄遣いが多すぎただけ。それ絞った維新府政をけなすことはできないが、全国で見れば、「大阪ほど無駄遣いしていないから、お金は出てこない」となるだろう。それでも府全体の3割しか教育無償化は成り立っていないのだ。

しかも、直近は再び経常収支率は他自治体よりも悪化し始めている。

松井さん、自治労相手に血の出る削減を維新が果たしたことは事実だろう。でも全国では無理だ。それほど余資がない。

だから「無駄削減で財源捻出」論は成り立たない。何より、こんな話では、もう票は稼げない。

それが、今回の選挙結果でよくわかると思う。

海老原嗣生(えびはら つぐお)
雇用ジャーナリスト・株式会社ニッチモ代表取締役。株式会社リクルートキャリアフェロー(特別研究員)、株式会社リクルートワークス研究所特別編集委員。「Works 」(リクルートワークス研究所)編集長、「HRmics 」(リクルートエージェント)編集長を歴任。
株式会社ニッチモ

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