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なぜ食糧廃棄が起きるのか? 食料自給率38%の真実

2017年、選挙戦の真っただ中ですが、原発の是非が争点になっています。生活のためのエネルギー問題は深刻です。そして、もう一つのエネルギー、人が生きるための生存エネルギーとでも言いましょうか、日本の食料、その自給率が38%に落ちたそうです。(寄稿:ダニエルGフィールド)

食料はいたるところで棄てられているのに不思議です。一方、生活のためのエネルギー自給率は資源エネルギー庁によれば、これはもう6%しかないそうです。
 
今回、なぜ食料自給率が38%しかないのに、なぜ畑では作物が、スーパーやコンビニでは食品が、家庭では食べものが廃棄されているかの不思議を第一部で、第二部では数パーセントしかないエネルギーの自給で日本の明日はあるのかを解説します。

第一部:食料自給率って何だろう

食料自給率にはカロリーベースの計算方法と売り上げベースの計算方法があります。38%と言うのはカロリーベースの計算方法によるものです。

カロリーベース総合食料自給率:「日本食品標準成分表2015」に基づき、重量を供給熱量に換算したうえで、各品目を足し上げて算出。これは、1人・1日当たり国産供給熱量を1人・1日当たり供給熱量で除したものに相当

◆熱量(カロリーベース)自給率の計算方法◆
・国民一人一日当たりの国産熱量(913kcal)
熱量ベース総合自給率___________X100=38%
・国民一人一日当たりの供給熱量(2,429kcal)
1人1日当たり国産供給熱量(913kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,429kcal)=38%
出典:農水省 食料自給率レポート「平成15年度 食料需給表」

しかしこれを見ると日本人は平均して一人当たり(2,429kcal)を毎日摂取していることになります。 そんなに取っていたかなあと思ってしまいます。それで日本医師会のホームページを見て、医師会が考える必要カロリーとはどんなものかを見ることにします。

日本医師会はウェブサイトで下記のような表を発表しています。

性別/年齢/身体活動レベル/Kcal/日
男/6~7歳/レベルⅡ(ふつう)/1534
女/18~29歳/レベルⅠ(低い)/1665
男/30~49歳/レベルⅢ(ふつう)/2677
女/50~69歳/レベルⅠ(高い)/1650

これを読むと、医師会の提唱するカロリーは表1「推定エネルギー必要量の例」日本医師会ホームページからすると日本人が必要としているカロリーは2,000カロリーもないように思えます。ではなぜ20%も多いカロリー数を農水省は発表しているのでしょう。

「農水省は日本人に不必要なカロリーを与えて1億2000万人を全員メタボにしようと思っている?」、「いやこれはいくら医師会が止めても日本人は食いしん坊だから現実として食べてしまう量なんだ?」そんな声が聞こえてきそうです。でも良く見てください。

どこにも日本人が必要とするカロリーが1日(2,429kcal)なんてどこにも書かれていないではないですか。 上の表の分母の2,429kcalはちゃんと(国民一人あたりの1日の供給熱量と書いてあります。でも供給熱量ってなんだ?となります。

供給熱量とは与えられる熱量です。つまり、食べても食べなくてもいいけど差し出される熱量なのです。「ああ、だから食べ残すのだ」そうです。だから日本では2割を遥かに超えた食料が余って捨てられているのです。

このことを分かりやすく解説している文書があります。農林水産省が平成21年に発行したジュニア水産白書です。ここでも子どもに分かりやすい自給率の計算方法を教えています。カロリーベースで計算されています。

■農水省が子どもに教えている食料自給率とは?

自分の国の食べ物が自分の国でどれくらい作られているかを表す割合を食料自給率といいます。

これを子どもが見ると、日本人が生きるには毎日2,473kcal必要だが、日本国内では1,012kcalしか生産できないと言っているようにとれる。

以上の数字を読み解くと、「食料自給率」とは 決して国民が必要なカロリーの自給率ではなく、出回っている食料の内の国産比率にすぎない事が判ります。

したがってここからも供給過多が見て取れます。市場経済論理からすれば、農地は益々放棄されることになります。 エネルギーの自給率が13%(原子力発電は燃料を海外に頼っているので自給率から省く)しかないのに対して食料の自給率はとても高い事が判ります。

■生産額ベースの食料自給率

カロリーベースの自給率が国民が必要としているカロリーの国産割合でないことは先の説明でお分かりになったと思います。

さて、生産額ベースの食料自給率のお話をいたします。

日本ではあまりなじみのない計算方法ですが、他の国の多くはこの生産額ベースで自給率を計算しています。

生産額ってなんでしょう。生産額とは「農産物価格統計」というお役所が決めた農産物の価格が農家の庭先、といっても分かりづらいですよね。つまり農家が農協を始め色々な買い手に売る値段のことですが、その重量を金額に換算した合計金額を言うのです。

まだ分かりすらいですね、平たく言えば売れても売れないでも生産した額の事です。その合計額を輸入品と比べた額が生産額ベースの食料自給率なのです。それが平成28年度は68%だったと言うわけです。これだと決して低くはないのです。

一年前の平成27年の8月の農水省が発表したグラフを見てみましょう。28年度の統計はまだできていないそうなので、すみません。

資料:農林水産省「食料需給表」平成27年8月

これを見ると日本はイギリスや料理の国イタリアなどと同じか少し高いです。それではなぜ他の先進国が生産額を使うのに日本だけがカロリーで自給率を語るのでしょうか? 

一つには日本の後進性があるのではないでしょうか。後進性?日本は世界第三位の経済大国ではないか?今はそうなのですが、戦前はそんなに豊かな国ではなかったし、敗戦後の都会での食料不足を考えるととても先進国とは言えませんでした。

飢えがすぐ隣にいたので日本だけがカロリーベースなのだと思います。今、飽食の時代に生きて、食料の廃棄率が世界一となった日本がカロリーベースで自給率を、さらには飢えと関係のない自給率事態をお国の一大事とかたること自体いかがなことかとも思います。 

食料は大切ですが、もはや現在の日本ではエネルギーや工業製品と同列に扱ってよいのではないでしょうか。

■輸入しなければ自給率は100%

市場に出回っている食料の内から輸入品を差し引きしたのが食料自給率です。だから「自給率をあげよう」と叫ぶのなら、輸入をしなければよいのです。現に貧しい国の方が食料を輸入するお金がなくて自給率がたかくなちゃったりしているのです。自給率が低くて飢餓が内国はお金持ちの国の証拠です。そして日本は輸入がゼロでも植えない国なのです。 もちろん日本では取れないキャビアやフォアグラ、トリュフなんか食べられませんよ、ステーキだって9割がた諦めなくてはいけないでしょう。しかし食卓はとてもヘルシーになるのです。成人病なんてどんどん減ると思います。

図1「国内生産のみで食料を供給するときの1日のメニュー例」平成21年版 ジュニア農林水産白書

■農水省も教えています

もし食べ物が輸入できなくなったら、どんな食事になるのかな?毎日の食事がどうなるか、朝食、昼食、夕食ごとに調べてみましょう。また、ときどきしか食べられないものは何かについても調べてみましょう。だから皆さんの食卓は豊かです。しかしその輸入がストップすると食卓はこのように貧しくなると言っていますが、この献立は非常にヘルシーです。

でもなんでサラダや野菜炒めを献立にいれないのかなあ。

そもそも食糧自給率って国際紛争や災害や戦争の時に国民の安全を保障するために有るのでしょう。贅沢なんか慎まなくてはね。

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