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「おもてなし」の心への疑問

東京にいるといろいろな「違和感」に出くわすことがあります。私の感性が日本的ではなくなっているからかもしれませんが、そればかりではないような気もします。最近気がついた事例をもとに少し考えてみましょう。

その1
都内で新しく建築していたアパートに自転車で行った際、工事業者の出入りがあったので隣の家の入口にかかるように一時的に止めていました。すると、その隣家のご主人から自転車が自分の敷地前にあるとクレームされたのですが、その表情と言い方が高圧的でとても嫌な印象でした。「なんでうちの敷地の前に自転車を止めるんだ」的な言い方であります。もちろん、悪気があったわけではないし、一時的置いただけでした。そもそも他人の敷地内に止めたわけではなく、その方の家の前の公道に置いただけに「すみません」と言ったもののしっくりこない状況でした。

その2
夜、自転車に乗って歩道を普通に走行していたところ、前方からガタイの大きいサラリーマン氏と思しきスーツを着た方が歩道の真ん中を闊歩しています。狭い歩道ですので真ん中を歩かれると自転車をかなりよけてもその人に当たるぐらいになります。しかし、そのサラリーマン氏はなんと、わざと自転車の私にぶつかってきたのです。「よけろ」という恣意でしょう。そして、そのサラリーマン氏が私に言いがかりをつけます。顔が赤かったので飲んでいたのでしょう。ストレスも溜まっていたのでしょうか?実に嫌な思いでした。

その3
家の玄関にある樹木の剪定をしたのですが、どうも小枝の一つが隣地に落ちてしまったようです。気がつかなかったのですが、翌朝、その隣家の方が「なぜ、取りに来ない」「なぜ、詫びに来ない」と剣幕です。小枝については失礼をしたのですが、そういうものの言い方にこのオヤジ、おかしいな、でもこんなオヤジに言い返す暇はない、即座に判断し、その場を取り繕いました。

まだいろいろあるのですが、この三つの共通点はトラブルの相手が中年から高年の男性であります。そして口の利き方がどれも本当に酷いのです。カナダではこういう経験はまずなく、どの人もニコニコして普通に口が利ける人たちばかりです。なぜ、日本のオッサンはこうも器量が狭いのか、ろくに言葉もしゃべることができないのか、情けない限りであります。

日本で商品を買ったりサービスを受けたりすると異様に丁寧であることに皆、感心をします。そしてそれは「おもてなし」の心があるからだ、と言います。私は「本当かい?」とあえて疑問を呈します。

クレーマーがいたり上から目線の客がいたり、ちょっとでも対応が悪いとSNSに書くわ、会社に連絡するわ、怒鳴り散らすわ、と手に負えない客がいるので最悪の事態を避けるために店側として最善の策を尽くすということではないか、という気がしてなりません。

例えば「おもてなし」の典型である旅館ではヒューマンタッチのサービスをその客がお帰りになるまでずっと保たねばなりません。良い印象を持ってもらえるかどうかは第一印象が重要です。だから仲居さんは丁寧なごあいさつで気持ちよくお迎えするのでしょう。仲居さんがいないホテルでもスタッフが荷物を部屋に持っていき、部屋、食事、風呂などの説明を丁寧にしていきます。しかし、あれはもてなす気持ちよりそれをしなくてはあとあと困るからではないでしょうか?「説明がなかった」とのクレーム防止です。

以前にも書きましたが、「もてなす」は日本に限らず世界のどこにでもあります。そういう意味では私の人生で一番もてなされたのはアメリカ人の方からでした。「おもてなし」は一般にビジネスを通した顧客対応ですが、アメリカでの私の経験はもっとハートがこもっていてビジネスなど関係なく、困っても助けてくれるという安心感がありました。

日本ではマニュアルにのっとった「おもてなし」が主流でしょう。言葉こそ丁寧ですが、ある一定の線を超えることはまずありません。(もちろん、「おもてなし」を売りにビジネスをしているところは異様なほどのもてなしをすることもありますがそれは例外的存在です。)

冒頭に書いた3つの例は何を意味するかと言えばもてなす=きちんとした言葉遣いや相手を思いやる気持ち、つまり宗教的に書けば「愛があるか」であります。日本はどうもすべてが損得勘定、おまけに自分中心主義的なところがないでしょうか?

皆さんが1年に一度、神社にお参りに行って何を祈願するかと言えば「受験合格」「就職」「金持ちになりたい」「〇〇が買えるように」…といった自分への願望が多いでしょう。それも1年に一度です。私は日本に行けば必ず明治神宮に行きます。そして祈願するのではなく、お礼をしに行くのです。「ありがとうございます」と。

日本に行くたびに気になるのは「狭い心」かもしれません。相続で揉める身内同士とか隣人とのいざこざなどは聞いていて疲れてしまいます。マンションの鉄の扉とコンクリートに囲まれた場所に自分の存在を完全に仕切ってしまうライフスタイルにおいて「閉じこもるのがお好き」という気がします。特に男性はリタイアすると外の世界に接しなくなる人も多くみられ、老害が気になる今日この頃であります。

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