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21世紀の広告媒体としては終わっている新聞業界

 22日付けの地味な産経新聞電子版速報記事から。
09年広告費、初めてネットが新聞抜く 電通調査
2010.2.22 15:13

 電通が22日発表した平成21(2009)年の総広告費は前年比11・5%減の5兆9222億円となり、2年連続で前年を下回った。媒体別では新聞が18・6%減の6739億円と落ち込む一方で、インターネットは1・2%増の7069億円となり、初めてネットが新聞を上回った。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100222/biz1002221514019-n1.htm

 「媒体別では新聞が18・6%減の6739億円と落ち込む一方で、インターネットは1・2%増の7069億円となり、初めてネットが新聞を上回った」そうであります。
 決算総崩れの落ち目の新聞が総広告費でまだネットに抜かれていなかったのかと「いまさら感」漂う地味な記事ですが、電通が発表した11頁のプレスリリースはこちらのPDFファイルであります。
2009 年の日本の広告費は5 兆9,222 億円、前年比11.5%減

―2 年連続で減少、インターネット、衛星メディア関連以外の各媒体が減少―
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2010/pdf/2010020-0222.pdf

 いや示唆に富む内容でございました。
 今回はこの広告代理店発表の資料を徹底検証いたしましょう。
 実に興味深い検証結果がえられるのであります。

 このプレスリリースには添付資料があります、まずは8頁にある『表2 媒体別広告費』から2007年から2009年の媒体別広告費推移を抜粋しました。過去三年間の増減額、増減%も参考までに計算してみました。
【表1 過去三年媒体別広告費推移(億円)】
媒体2007年2008年2009年増減(額)増減(%)
■総 広 告 費70,19166,92659,222▼10,969▼15.6%
★マスコミ四媒体広告費35,69932,99528,282▼7,417▼20.8%
1)新聞9,4628,2766,739▼2,723▼28.8%
2)雑誌4,5854,0783,034▼1,551▼33.8%
3)ラジオ1,6711,5491,370▼301▼18.0%
4)テレビ19,98119,09217,139▼2,842▼14.2%
★衛星メディア関連広告費603676709△106△17.6%
★インターネット広告費6,0036,9837,069△1,066△17.8%
1)媒体費4,5915,3735,448△857△18.7%
2)広告制作費1,4121,6101,621△209△14.8%
★プロモーションメディア広告費27,88626,27223,162▼4,724▼16.9%
1)屋外4,0413,7093,218▼823▼20.4%
2)交通2,5912,4952,045▼546▼21.1%
3)折込6,5496,1565,444▼1,105▼16.9%
4)D M4,5374,4274,198▼339▼7.5%
5)フリーペーパー・フリーマガジン3,6843,5452,881▼803▼21.8%
6)P O P1,8861,8521,837▼49▼2.6%
7)電話帳1,014892764▼250▼24.7%
8)展示・映像他3,5843,1962,775▼809▼22.6%

 電通では広告媒体を新聞・雑誌・ラジオ・テレビの「マスコミ四媒体広告費」、衛星放送・ケーブルテレビなどの「衛星メディア関連広告費」、そしてネットの「インターネット広告費」、その他の「プロモーションメディア広告費」と4つに大分類しているわけですが、顕著な傾向が読みとれるわけです。
 総広告費が過去3年で70,191億から59,222億と10,969億、パーセントにして15.6%ダウンする中で、「衛星メディア関連広告費」、「インターネット広告費」はそれぞれ17.6%と17.8%と広告費を伸ばしているのに対し、「プロモーションメディア広告費」と「マスコミ四媒体広告費」はそれぞれ16.9%、20.8%と広告費を急落させています。

 媒体ごとの明暗がはっきりしていますね。
 特に「マスコミ四媒体広告費」の中の新聞・雑誌の落ち込みようは気の毒なほどです。
1)新聞9,4628,2766,739▼2,723▼28.8%
2)雑誌4,5854,0783,034▼1,551▼33.8%

 まあこの世界不況のおりですから、企業が広告費を抑制しているのは事実ですが、新聞・雑誌の落ち込み方は他の媒体から比べて突出しているようです。
 ・・・

 過去9年に渡る推移を見てみましょう。
 2001年からの推移が9頁の『表3 媒体別広告費(2001年〜2009年)』で示されていますので、ここからその間の媒体別の広告費の増減を計算して表にしてみました。

【表2 過去9年媒体別広告費推移(億円)】
媒体2001年2009年増減(額)増減(%)
■総 広 告 費60,58059,222▼1,358▼2.2%
★マスコミ四媒体広告費38,88628,282▼10,604▼27.3%
1)新聞12,0276,739▼5,288▼44.0%
2)雑誌4,1803,034▼1,146▼27.4%
3)ラジオ1,9981,370▼628▼31.4%
4)テレビ20,68117,139▼3,542▼17.1%
★衛星メディア関連広告費471709△238△50.5%
★インターネット広告費7357,069△6,334△961.8%
1)媒体費7355,448△4,713△741.2%
2)広告制作費----1,621△1,621----
★プロモーションメディア広告費20,48823,162△2,674△13.1%
1)屋外2,9923,218△226△7.6%
2)交通2,4802,045▼435▼17.5%
3)折込4,5605,444△884△19.4%
4)D M3,6434,198△555△15.2%
5)フリーペーパー・フリーマガジン----2,881△2,881----
6)P O P1,6981,837△139△8.2%
7)電話帳1,652764▼888▼53.8%
8)展示・映像他3,4632,775▼688▼19.9%

 どうでしょう、この9年間で総広告費の推移を眺めてみると驚くべき傾向が示されます。
 総広告費は60,580億から59,222億と2.2%微減しているのですが、大分類では「衛星メディア関連広告費」が50.5%UP、「インターネット広告費」は961.8%UP、その他の「プロモーションメディア広告費」も13.1%UPしている中で、一人「マスコミ四媒体広告費」だけが、38,886億から28,282億と10,604億も激減、27.3%DOWNしていることがわかります。

 中でも新聞の落ち込み方は目を覆うばかりです、ワーストの電話帳広告と並べてみましょう。
新聞12,0276,739▼5,288▼44.0%
電話帳1,652764▼888▼53.8%

 21世紀に入り電話帳広告が半減したのは理解できます、固定電話から携帯電話へ人々の電話の利用形態が大きく変化する中で、駅の公衆電話は消え電話帳の発行部数自体激減していることも大きいのでしょう。
 主流の広告媒体としての歴史的使命は終わったともうしていいでしょう。
 電話帳と同様、同じく過去9年で広告費が半減近く急落した新聞はどうでしょう。
 この広告代理店の資料で検証する限り、未来は極めて厳しいようです。
 21世紀の広告媒体としては終わっているようです。


(木走まさみず)

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