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ハード起点の絶望的な製品をつくり続ける日本メーカー

10月4日のイベント「Made by Google」で、グーグルは多くのハードウェア製品を発表しました。そのタイトル通り、グーグルはソフトウェア起点でハードウェアを見直す、見直して製品化する取り組みを強化しています。これまで不可能だと信じていたことが可能になるかもしれない。その「誰もが信じている嘘」に気づくことができれば、その後ろに隠れている未来の真実を発見できる(ピーター・ティール)。グーグルはAIファーストでハードウェアを徹底的に見直し、誰もが真実だと考えていることを、これから嘘にしようとしているのです。

これは、日本メーカーにとって大きな驚異だと思います。ハードウェア起点では、機能の追加や性能の向上といった「正常進化」しか考えることができません。それは他社の製品と比較することが容易で、新製品の企画会議での合意も得やすい。そして、過去の製品の陳腐化戦略というお呪いを唱えながら、絶望的な製品をつくり続けることになります。

機械学習によって、AIの技術開発が飛躍的に進みました。膨大なデータを教材にして、ソフトウェア(AI)が画像や言語などのパターンを学習することによって、与えられたデータから「何かを推論する」ことを高精度で行うことができるようになりました。そして、音声データからテキストを推論する「音声認識」や、テキストからその意図を推論する「自然言語処理」、写真に何(誰)が写っているかを推論する「画像認識」といった単機能のAIを応用し組み合わせた、スマートスピーカーや自動運転車などの新しい製品が生まれています。

しかし、まだ日本のメーカーは、AIを応用した一般消費者向けの画期的な製品を考え出していません。アマゾンやグーグルの音声アシスタント、AlexaやGoogle Assistantに対応したスマートスピーカーが、日本のメーカーからもぞろぞろと発表されていますが、それらはアマゾンやグーグルの製品を真似ただけ、クラウドのAIと音声データをやりとりするだけのハードウェアです。AIブームだからと、とりあえず作ったというような製品です。「おい、ウチもAIの製品は出せないのか?」

日本のメーカーは、ソフトウェア起点で、AIファーストで、自社の主力製品を徹底的に見直すべきではないでしょうか。「誰もが信じている嘘」を発見するには、既成の理論や概念にとらわれず、自由に考え新しいアイデアを考える水平思考が必要です。そして、その産業分野に詳しいドメイン・エキスパートが取り組むべきです。AIの技術者である必要はありませんが、その可能性(できることとできないこと)を深く理解していなければなりません。いくらAI技術者やデータサイエンティストを集めても、「誰もが信じている嘘」を発見することはできないでしょう。彼らの出番は、それを発見した後です。

「クルマはガソリンで走るのです」

石油会社の古いコマーシャルでの加藤和彦さんの軽妙な語り口のナレーションでしたが、それはテスラの電気自動車によって嘘になりました。エンジンがモーターに変わっただけでなく、その制御の多くがソフトウェアで行われています。最近、フランスとイギリスが、ガソリンエンジンで走るクルマの販売を2040年までに禁止するという方針を相次いで打ち出しました。ガソリンで走るクルマも絶望的な製品になり始めていますが、法律やインフラなどの課題のためにしばらくの猶予はありそうです。

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