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いろいろ考えてみましたが、やはり医療保険はオススメできない

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先日は、後田亨氏の『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』を紹介しました。後田氏は医療保険には否定的です。
私は自書である『毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資』の中で、投資資金の捻出元として医療保険に加入しないこと(解約すること)を挙げました。

その後も色々考えてみましたが、やはり医療保険は不要という立場です。

医療保険は、保険が有効な分野ではない

「発生確率が低く、いざ実現すると損失が大きいもの」が保険に適しています。月に数千円の掛け金で死亡時に数千万円が用意可能な死亡保険などはまさに遺族のためのものです。

逆に「発生頻度が高く、いざ実現しても損失が小さいもの」は保険に適していません。
この典型的な例は食費などでしょう。人間は生きている以上、食事をします。自給自足している人は別にして、食事のための費用が発生する頻度は非常に高い。またその金額も少額なのが一般的です。

仮に「食費保険」という保険があったら加入しますか?
保険会社も利益を上げるためには保険会社の取り分を乗せてきます。先日の後田氏の本によるとその手数料は約30%程度とあります。
「食費が発生した時に月5万円を上限に食費保険金を受け取れる食費保険、保険料は月額6万円」みたいな保険になるかと思います。道楽は別にしてまともな保健機能を期待して加入する人はいませんよね。

食費はさすがに極端ですが、基本はこの考え方です。日用品の食器に保険をかける人はほぼいません。壊れたら貯金から買い替えます。頻繁に起こりえる&金額が小さいものは保険ではなくあえて受け止めて手元資金から出すという「受容」の態度が適しています。

車に関係する保険でも、対人保険は何かあった時に賠償金が1億円を超えることもあるので加入が進められますが、車両保険ならば加入せずに修理したり買い替えたりという人がけっこういます。車両保険に加入していても、保険を使うとその後の保険金が増えるので保険を使った方が損か得かという話をよく聞きます。

一家の大黒柱が亡くなった時の死亡保険金を受け取るべきか/受け取らないべきかという議論は聞きませんが、車両保険のように使わない方がいいのではないかというタイプのものが保険に適しているのか……という疑問が浮かびます。

医療保険に入っているから病気の時にお金で苦労する、ということもある

私は原則として医療保険不要と考えています。しかし、世の中では「いざ病気や怪我をした時に医療保険に入っていれば」という声もあります。

しかし、この病気や怪我に備えるというのは正確ではありません。
「医療保険」とはうまい名前を付けたもので、まるで病気や怪我に備える保険にような響きがありますが、これらの保険は必ずしも病気や怪我に備えら得るものではありません。
現実には医療保険に入っていたせいで病気や怪我時に苦労するということも起こりえます。

医療保険という名がついていますが、基本は「入院保険」です。
入院に対して日額×入院日数の保険金が出ます。あとは手術時にその入院日額の10倍などの一時金といったのが典型的な医療保険です。
入院に対して保険金が出るのですから、大きな病気になって治療が長引いて多額の医療費がかかっても通院に対しては保険金は支払われません。(通院保険は除いて考えています)

つまり、仮に夫婦で毎月2500円ずつ、世帯で合計6万円/年を医療保険に払っていたとすると、10年後には保険料を60万円支払っています。この時に病気になって通院治療をした場合、医療保険に入っていても保険金はもらえません。医療保険に加入せずに保険料として支払っていた60万円が手元にあれば、この病気の医療代を払う助けになったかもしれません。

医療保険に入らなければ医療費を出せたかもしれないのに、医療保険の保険料のせいで医療費の支払いに苦しむというケースです。

世の中には無数のリスクがあるのに、一部のリスクにだけ備えていていいの?

リスクA, リスクB, リスクC, リスクD, リスクE, リスクF…と世の中には多くのリスクがあります。その中で「死亡時」「入院時」「がんになった時」といったように特定のケースだけに注目するのは危険です。
つい、特定のリスクに対しては目の前に保険があるせいで、いきなり商品選びに入ってしまいがちですが、現実には他にもリスクはあり、備える優先順に備え方があります。

医療保険に入っていたせいで通院治療費が厳しくなったというストーリーのように、特定のリスクに備えることで他のリスクでダメージが大きくなるということもあります。

死亡時、入院時、がんになった時、病気で働けなくなった時…と備えるのはいいでしょう。では大病ではないが失業して収入が減った時、うつ病で働けなくなった時にはどう備えましょう。また、日額5000円や1万円程度の入院代相当の金額の負担であれば冷蔵庫の故障などもあるかもしれません。

月2万円や3万円の保険料を払って死亡時や入院時に備えるのは構いませんが、それによって他のリスクへの備えが手薄になっていてはリスクマネジメントの観点から見たらバランスがよろしくありません。

「いやいや、うちはそのような保険料を支払っても、通院、うつ病、失業、急な損害賠償、車などの故障などに備えはばっちりだよ」というなら別ですが、それは貯蓄など余裕がある人ができることとも言えます。1か月や2か月の入院代が困るという人が医療保険の保険料を払っていたら、通院治療になった場合にどうすればいいのでしょうか…。

保険という機能が向いていない「入院」について保険で備える必要は非常に薄いように思います。
世の中には医療保険が役に立った事例でお涙頂戴→保険加入を勧める営業手法もありますが、実際には医療保険に入っていたお金があれば助かったのに……という事例もありますよね。

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