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新エスタブリッシュメントリストの意味するもの

THE 2017 NEW ESTABLISHMENT—–「2017年の新たな支配者」。この見出しに惹かれて100人に及ぶランキング記事を最後まで見て楽しみました。

掲載したのは政治・経済からハリウッド、カルチャー、セレブまでカバーする日本でも知られた雑誌Vanity Fair。出版不況の中で、まだ100万部以上もある有力誌の一つです。

アメリカ人の視点から、アメリカ人の政治、経済、社会生活等に強い影響を及ぼしているであろう人物を年齢とともに一言コメントを付して並べているのですが、当ブログにも登場するようなIT/デジタル、メディア関係者がやたらと多いのです。

トップテンはこうなっています。

6位にランクインした、トランプ大統領のロシア疑惑解明のために特別検察官に任命されたロバート・ミュラー元FBI長官以外は全員、ITおよびメディア関係者と言っていいでしょう。

著名人ばかりですが、簡単に選ばれた理由を付記します。

まず10位のマーティ・バロン氏とディーン・バケー氏。それぞれワシントンポストとニューヨークタイムズの編集局長です。トランプ大統領に敵視されながら、ホワイトハウス内のゴシップや安全保障問題でスクープを連発していることが評価されました。

9位、Netflixのヘイスティング氏は、アマゾンやアップルの攻勢が強まる中で依然、存在感を示し、有料視聴者の半分は米国外という点が凄い、ということです。

8位のスティーブンソン氏はAT&TのCEOとして9兆円に及ぶタイムワーナー買収を仕掛けていることがポイントで、昨年の番外からの急上昇です。

7位のアイガー氏は業績好調のウォルト・ディズニーカンパニーの社長、CEO、会長職を長く務め、66歳と米国の経営者としては高齢ですが、今春、来年まで延長された契約がさらに2020年まで続くという観測が出るほどの実力者のよう。

6位のミュラー氏は前述の通り。5位のマスク氏は火星移住に向けたロケット開発、今の所、人気の電気自動車Teslaの全自動化推進、地下超高速通路のハイパーループなどマルチタレントぶりが注目されます。

4位、ペイジ氏はご存知、グーグルの共同創業者ですが、今は全自動カーの開発に注力しています。

残るApple・クック氏、FaceBook・ザッカーバーグ氏、Amazon・ベゾス氏のベストスリーには説明不要でしょう。いずれも絶好調の世界企業トップ。ベゾス、ザッカーバーグ両氏のランクは昨年と同じですが、クック氏は11位からランクアップです。

結局、ミュラー氏以外は全員がIT/デジタル、メディア関係者に偏重していますが、この傾向は11位から30位まで見てもほぼ同じことです。

そのうちの超有名人を何人か挙げると、FaceBook/シェリル・サンドバーグ(12位)、Alibaba/ジャック・マ(15位)、NewsCorp/ルパート・マードック(16位)Google/サンダー・ピチャイ(20位)と続き、29位には懐かしいネットスケープ開発者で今はベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセン氏の名前も見えます。

我らが孫正義氏は、昨年のランク外から24位に大浮上です。世界最大1000億ドルのテックファンド”Vision Fund”が評価されました。

ここまでくると、いくつかのビッグネームがないことが気になります。例えばマイクロソフトのビル・ゲイツ氏のような。実はこのランキングには「New」とついているように、昨年、今年に目立った人物を取り上げていて、かってのEstablishmentの大物は HALL OF FAME、つまり「殿堂入り」ということで記録されています。

ゲイツ氏は2018年に殿堂入りしました。同じ年にはインテルのアンディ・グローブ、2兆円以上の資産を持つ投資家ジョージ・ソロス、化粧品エスティ・ローダーのローダー兄弟、GEのジャック・ウエルチ、CNN創業者のテッド・ターナーの各氏、著名テレビキャスターだったバーバラ・ウォルターズ女史といった錚々たるメンバーがいます。

2009年以降には、マイクロソフト共同創業者のポール・アレン、ビル・クリントン元大統領、映画スターのトム・ハンクス、ルイヴィトンのバーナード・アルノー、ニューヨーク市長だったマイケル・ブルームバーグ、グーグルのセルゲイ・ブリン氏などの名前もあります。そして今年は「インターネット・トレンド・レポート」で有名なメアリー・ミーカー女史、ラッパーのJay-Zなど6人が殿堂入りです。

ちなみに、Vanity Fair社は先週2日から4日までロサンゼルスのビバリーヒルズで New Establishment Summit を開催しました。未来を開くイノベーションについての議論を、政治、ビジネス、メディア、テック、エンタメ業界の大物を集めて行うという趣旨です。

始めて4年目ということですが、この参加費がなんと6,500ドル。それが完売したとあります。会場のThe Wallis Annenberg Center for the Performing Artsの座席数を調べたら500。しめて325万ドルの売り上げになる計算です。さらにスポンサーがBMW以下10社もついていますから、相当な収益が上がったことでしょう。自前コンテンツをネタにしっかりサイドビジネスに仕上げる手法、見上げたものです。

懐かしい名前をたくさん見て、ついつい長くなりましたが、このランキング表の冒頭にこういう記述がありました。

In 2017 it seems that everyone is in everyone else’s business, and the list foreshadows the coming battles as various industries, and the titans who captain them, increasingly weave together into one.

ーーーこのリストは、多様な産業とそれを仕切る大物たちが急速に織り交ざり一つになるにつれて起きる来るべき戦いを予見しているのかも。

まあ、拙い訳ですが、今年のIT/デジタル、メディア業界の人物に偏重したリストには意味があるのだと示唆していると受け取りました。乗り遅れたら生き残れない、と。

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