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改ざんという文化

神戸製鋼所がアルミや銅製品の一部について強度などのデータを書き換えていたことが発覚しました。どうやら10年以上前からそれが繰り返され、関与していた人は過去一年間だけで数十人ということですので歴代では3桁数の社員が関与していた可能性が高いのでしょう。

それだけ多くの社員が知りうる話なら日本の企業文化からすれば上層部に何らかの報告していないはずはなく、それが文章に残っていないだけで役員レベルも知っていた可能性もあるでしょう。(というより、10年の間にそれをした人間も昇進しているはずです。)同社のデータ書き換えによる影響は新幹線からMRJなど幅広く、影響は甚大ともされます。

これら改ざんの文化は日本では年中行われ、役員がカメラのフラッシュの中、頭を下げ、国民は「またか」という情けない気持ちになります。一方であまりにも頻繁に起きると感度が下がってきていることも事実で日産の完成車検査問題は一週間前に出たばかりの話であります。

この手の問題は記憶に新しい限りでも東洋ゴム、三菱自動車、横浜のマンション立替問題につながった杭のデータ問題があります。これらは従業員レベルが改ざんの主導をしたケース。一方、経営レベルで無理を重ねたのがオリンパスの飛ばしとか、東芝の一連の事件でしょう。日経ではタカタ問題も一緒くたにしていますが、タカタはどちらかと言えばアメリカで起きたトヨタのレクサスES問題の同類かと思います。雪印の集団中毒事件もそうですね。

こう見ると日本企業は上でも下でもとにかく隠ぺい癖やよく見せたい癖があります。これだけ多くの企業で起きている問題ですので企業文化というより日本そのものの問題であると考えた方がよいと思います。

では、なぜ、日本ではこうも頻繁に起きるのでしょうか?

良くも悪くもチームワークとその責任者の腹積もりという組織が根本原因だと思っています。5-10人を束ねるチームリーダー、ないし係長は部下のミスを責められない何かがあるかもしれません。「あいつはいいやつだから」「あいつのせいではない」「こんなのを上に報告したら俺の将来はない」などなどでしょう。

実はもう一つ日本企業の最大の弱点が隠されています。それは「転勤」であります。4-5年で転勤するその仕組みは「あともう少しすれば俺も転勤。ならばここは黙って次に引き継いでおいた方がよい」となります。引継ぎを受けた人は「俺の責任じゃないから」と言いながら黙っていたり、「おれが始めたわけではなくてそうしろと前任から言われたから」と悪をそのまま抱きしめたまま同じことを繰り返してしまうのです。

日本的経営が見直され、それがニッポン株式会社の強さの根源とされています。稲森和夫氏の思想などは端的な例でしょう。もちろん、その思想によって日本航空は復活したわけで素晴らしい仕組みであることは事実です。が、こういう弱点を併せて見ようとしなかった点は落ち度だったと言わざるを得ません。

世の中、どんな理論や素晴らしい発想にも長短はあるものです。ところが人々は長所ばかりに目がいく結果、知るべき脆弱性を過少に考えてしまいます。

東芝やオリンパスのケースは「サラリーマン社長の不都合」でありましょう。タカタや雪印の場合は事実そのものを受け入れなかった恥ずべき体質であります。不都合とはその事実が明かされれば会社の屋台骨が揺らぐレベルの大激震を公表できるタイミングを逸すことです。何が怖いかと言えば公表する人が責任を取らされることでしょう。サラリーマンを30数年やってようやく勝ち得た役員の座、トップの座です。これだけのことをあと数年我慢すれば俺も悠々自適で名声があり、社史に残る社長になると思えばそうしたくなるのも無理はない、という論理です。 

もう一歩踏み込めば日本の組織社会には「NOを言わせない文化」があるように思えます。ブラック企業や過労死が常々社会問題化していますが、企業のノルマややり方が体育会系的「ガッツで乗り越えろ」になってしまっています。一方、指示された方は「NOを言わない文化」があるのも事実。どんなこともへこたれるな、という強いマインドを正攻法で乗り切れる人ばかりではなく、ちょっとズルをする人がいることを取り上げることはありません。

日本から改ざんがなくなるか、と言えば今の企業文化が続く限りなくなりません。変わる可能性として企業組織が欧米流のチームワークではなく、個人責任主義になるか、日本のチームワークに様々な国の人が入り込む多国籍主義を取ることが考えられます。私がカナダで感じることは多国籍であるがゆえに不正がしにくい文化が生まれるということです。「なあなあ」の文化は許されません。

個人的には日本的経営の抜本的改革と変化が求められる時代がやってきたのだろうと思います。どう変化させるか、いろいろアプローチはある思いますが、試行錯誤でそれが安定化するには10年や20年はかかる大仕事になるのでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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