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政府や会社のせいにして、「自分なりの働き方改革」から目を背けていませんか?

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サイボウズ式編集部より:チームワークや働き方に関するコラム「ブロガーズ・コラム」。日野瑛太郎さんのコラムです。

最近は「働き方改革」という言葉をいたるところで耳にするようになりました。この言葉が本格的に広まり始めたのは2016年9月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」が設置されてから。それから約1年が経過し今では多くの企業が「働き方改革」に取り組んでいます。もしかしたら、あなたが働いている会社でもまさに今、進行中かもしれません。

もっとも、この「働き方改革」のせいで、実は迷惑を被(こうむ)っているという話もよく聞きます。

業務内容の見直しや人員調整などを一切行わず、単純に残業時間だけ規制したために今度は毎日早朝出勤をするようになったとか、プレミアムフライデーには午後3時に会社の外に出なければならないので近くのカフェで終わらなかった仕事の続きをこっそりしているとか、改革によってむしろ苦しくなってしまう例も少なからずあるようです。

このような現実に直面して、政府や会社の経営陣が唱える「働き方改革」に失望している人もいるのではないでしょうか。特に若手の人は、自分ではどうすることもできない現実にモヤモヤすることも多いのではないでしょうか。

今回は、そんな不評も少なくない「働き方改革」のあり方について考えてみたいと思います。

「働き方」を決めるのは政府や会社の経営陣なのか

現在、「働き方改革」の名の下に進められている政策や施策は、そのほとんどがトップダウンのアプローチによるものです。たとえば、労働時間を規制する法律や同一労働同一賃金を定めるガイドラインは、国が会社に対して「これは守りなさい」と上から強制するものですし、会社が残業上限時間を設けたりプレミアムフライデーに退社を促したりするのも、やはり会社が社員に対して「これは守りなさい」と上から強制するものです。

このようなトップダウンによるアプローチは、もちろん重要です。会社と比べて立場が弱い労働者を守るために法律によって会社の行動に制限を課すことは必要ですし、会社が社員に対してトップダウンでルールを設けることも、そのルールの内容が実情に合っている限り効果は大きいと言えます。

一方で、トップダウンによるアプローチはいったんルールとして定めてしまうと、個人の事情を無視して問答無用で導入されてしまうという問題もあります。

たとえば、プレミアムフライデーは月末金曜日の午後3時に仕事を切り上げるという制度ですが、果たして本当に全員が月末金曜日の午後3時に仕事を切り上げたいと考えているかは疑問です。人によっては、本当に仕事を早く切り上げたいのは月曜日だったり水曜日だったりするかもしれません。それならこのような一斉休業よりも、有給の時間単位取得を認めたほうが効果的だとも考えられます。

そもそも、個人の「働き方」を政府や会社の経営陣が決めるというのは少し変な感じがします。本来、自分の働き方を決めるのは自分以外の何者でもありません。トップダウンで政府や会社が個人の柔軟な働き方をサポートする施策を打ち出すことは有効ですが、何よりも大事なのは個人個人が「こんなふうに働きたい」と考えて自らの働き方を変えていくボトムアップによるアプローチです。

現在、政府や経済団体が主導して行っている「働き方改革」には、このボトムアップによるアプローチという視点が大きく欠けているのではないでしょうか。

自分なりの「働き方改革」を考えてみる

世間で進行中の「働き方改革」が全然ピンとこないという人は、政府や自分の会社の経営陣が言うことはいったん忘れて、ぜひ自分なりの「働き方改革」について考えてみていただきたいと思います。

働く時間はどのぐらいがいいのか、働く場所はどこがいいのか、そしてどんな人と一緒に働きたいのか。「働き方改革」を自分事として実行するには、まず自分なりの理想を定義することが必要です。

その上で、今の会社でどうすればその「理想の働き方」に近づくことができるかを考えてみます。たとえば、毎日毎日、残業ばかりで早く家に帰りたいのに帰れないというのであれば、自分の身の回りの不要な業務を選別したり、勇気を出してあふれそうな仕事を断ったりすることなどがありえるでしょう。

このように、自分ができる範囲で仕事のやり方や仕事との向き合い方を変えていくのも立派な「働き方改革」です。

もちろん、個人で変化させられる範囲は会社の経営陣がトップダウンで施策を導入することに比べれば、かなり狭い範囲に限られます。それでも自分の意志で働き方を変えていくほうが、上からの一方的な命令で働き方を変えられることよりもずっと楽しいはずです。

ボトムアップでもう少し大きな改革をしたいのであれば、仲間を作って組織に働きかけるという方法もあります。

たとえば、僕は会社員時代に「定時帰宅部」という集まりを結成したことがあります。これは職場内の帰りづらい空気の払拭(ふっしょく)を狙ったもので、定時になったら部員はお互いに声をかけ合ってなるべく早く退社するようにしました。その結果、職場内に巣食っていた「残業するのがあたりまえ」という空気はだいぶ緩和されました。自分ひとりでは難しくても、仲間をつくれば組織は変えられるかもしれません。

2015年10月26日定時後の「帰りにくい空気」とどう向き合うか

働きやすい会社に転職するのもひとつの「働き方改革」

個人の範囲でやれることはやった。仲間も作って頑張った。それでもどうやらうちの会社は変わる気配がまったくない──悲しいですが、そういうことはよくあります。

それならばもう、思い切って自分がもっと働きやすいと思う会社に転職を検討してはいかがでしょうか。これだって立派な「働き方改革」だと僕は思います。

これだけ「働き方改革」が叫ばれている中で、旧態依然とした働き方を続けて変わろうとしない会社は、いずれ淘汰される運命にあります。そういう会社を離れてもっと働きやすい会社に行くことは、マクロに見れば労働市場の健全性に貢献しているとも言えます。

そうやって多くの人が「もっと自分らしく働ける職場」を目指すようになれば、ボトムアップによる「働き方改革」は今よりもずっと進むことになるでしょう。

そもそも「働き方改革」は何のための改革なのでしょうか? それは日本経済再生のためでもなければ、今働いている企業を繁栄させるためでもありません。究極的には、個人の幸せのためにあるのです。

政府や会社の「働き方改革」がピンと来ないと思ったら、あくまで自分はどんなふうに働けたら幸せなのか、という視点に立ち返っていただきたいと思います。その上で、自分なりの「働き方改革」を少しずつでもいいので実行していきましょう。

イラスト:マツナガエイコ

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