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日産、“ビッグ3”入りに向けて試練到来

やっぱり、日産もまた、1000万台の壁にぶち当たったというべきでしょうね。

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※会見する西川廣人さん(10月2日)

日産は、完成車の検査を無資格の従業員に担当させていた問題で、2日、会見を行いました。未登録車3万4000台については、再点検完了後に登録を再開するとし、3日、無事に再開しました。既登録車については、対象となる24車種、約121万台をリコールします。

無資格の従業員が検査をしていた工場は、追浜、栃木、日産自動車九州、日産車体、さらにオートワークス京都、日産車体九州と、車体組み立てを行う国内全6工場におよびます。正直、乗車する人の命を預かる自動車メーカーとして、信じられない甘さです。

会見の席上、社長兼CEOの西川廣人さんは、「徹底的に検証して対策を立てたい」と話しました。

いつから、なぜ、どのように無資格の従業員が完検に携わるようになったのか。また、なぜ“常態化”し、外部から指摘されるまで気づくことができなかったのか。現場の作業員らは、違反だと知っていたのか、知らなかったのか。また、どのレベルの管理者まで知っていて、なぜ、現場の認識はここまで甘いのか……、疑問は尽きません。

再発防止策も含めて、今後の調査と対応が問われます。

もっとも、今回の問題は、エアバッグの異常破裂のような安全性にかかわるリコール問題とは、質が違います。西川さんは、会見のなかで、「ご迷惑をおかけしたことは大変申し訳ない」としながらも、「検査そのものは確実に行われ、保安基準は十分満足していて、お客様にとって安心、安全に使っていただけるクルマであることは間違いありません」と、繰り返し強調しました。

実際、同じ工場で生産されていても輸出するクルマ、また海外工場での生産に関しては、国内とは制度が違うために何ら問題はなく、当然、リコールの必要もないわけですからね。

そうはいっても、完検は社内資格をもつ登録者が行うとする国交省との「お約束」に背いたという点で、日産にコンプライアンス上の問題があるのは間違いない。「言い訳無用」といわれれば、それまでです。

日産としては、技術や品質の欠陥ではないことを示して消費者の不要な不安を抑える。さらに、コンプライアンス、ひいてはマネジメントの不備については、真摯に、かつ徹底的に調査し、早期に対策を打ち出すことが、ブランドを傷つけないためのカギになります。

それにしても、好事魔多し。

直近、自動車市場における日産の存在感は、一気に増していました。

不正があった三菱自動車を買収した効果から、2017年の上半期の世界販売台数は、トヨタや独フォルクスワーゲン(VW)、GMを抑えて、ルノー・日産アライアンスは初の世界首位に立ったところでした。

国内市場においては、日産は、「技術の日産」を前面に打ち出し、昨年以降、自動運転レベル2を搭載した「セレナ」や「エクストレイル」、エンジンで発電してモーターで走る「ノートe-POWER」を次々と市場に送り出しました。「ノート」は、月間の新車販売において、日産の車種としては約30年ぶりに首位を獲得。先月には、日産の象徴ともいえる電気自動車「リーフ」を全面刷新のうえ、自動運転レベル2や自動駐車システムを搭載して、10月に発売と発表しました。

さらに、先月15日には、ルノー・日産に三菱自動車を加えたアライアンスの中期計画を発表。このブログでも触れたとおり、アライアンスの世界販売台数は、2022年に1400万台に達するという、とんでもない予測を発表したんですね。

じつは、日産が今期1000万台に達すると聞いたとき、大丈夫だろうかとふと思いました。というのは、トヨタ、VW、GMが、みな1000万台を目前に、オペレーションやマネジメントの問題にぶつかってきたことは、これまで何度も書いた通りです。しかも、そのなかで、いきなり1400万台とぶち上げたカルロス・ゴーン会長には、驚かされた。

案の定というべきか、その1400万台構想の発表から3日後の18日、日産の工場に、国土交通省の抜き打ち立ち入り検査が入ったわけです。結果、奇しくも看板車種新型「リーフ」の発売日である10月2日に、社長が会見で頭を下げることになった。

しかも、西川さんは現在、日本自動車工業会の会長を務めており、今月末には、東京モーターショーを控えています。

要するに、最悪のタイミングの抜き打ち検査だったわけですが、ここはなんといっても、不備があった日産が悪い。

トヨタ、VW、GMが、いずれも過去に大規模リコールや不正事件を起こし、それを乗り越えて現在があることを思えば、ルノー・日産にとっての今回の問題は、1000万台の壁に挑む者がこえなければならない試練といっていいでしょう。いってみれば、現状のままでは、1000万台のオペレーションは“ムリ”だという警告ですよね。

いかに信頼を回復し、いかに次代の自動車メーカーのオペレーションを築き、ピンチをチャンスとするか。この難局を切り抜けることができるかどうか。4月に社長兼CEOに就任したばかりの西川さんの手腕が、問われる場面です。

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