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外患はないが内憂はある

前原代表を「政治的ハラキリ」…ザ・タイムズ紙

 日本の衆院解散について、世界各国のメディアも小池百合子東京都知事の台頭を伝えるなど関心を寄せている。

 政権与党への不満が表面化した欧州諸国の選挙と比較する視点も見られた。

 米ブルームバーグ通信は、安倍首相が衆院解散に踏み切った理由について、28日の配信記事で「北朝鮮が日本列島を越えてミサイルを発射した後、支持率が上昇したことに乗じたものだ」と分析した。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で「(安倍氏の)戦略は裏目に出るかもしれない」と論評。6月に総選挙に打って出て敗北した英国のメイ首相を引き合いに出し、「似ている?」と首相の決断を皮肉った。

 英国メディアの多くは小池氏に焦点を当て、「日本初の女性首相候補」と紹介した。ザ・タイムズ紙は、民進党の前原代表が新党への事実上の合流を決めたことについて「政治的ハラキリ」と表現。「政治風景が一変し、結果の予想が不可能になった」と指摘した。

 さて昨今の北朝鮮情勢を受け、アメリカでは国防予算の大幅増が圧倒的多数で可決、軍需産業各社の株価が急上昇しているそうです。一方で日本は安倍内閣の支持率が上昇に転じたわけですが、北朝鮮のミサイル実験が世界に与える影響とは何なのでしょうね。とりあえず、それが「危機」でないことだけは確かだと思います。

 もちろん愚かな判断を下す政治家は枚挙にいとまがありませんが、それでも責任を問われる立場であり、かつ一般の国民に先んじて機密情報を知らされる身です。そうした人々の中のトップが、「国会を解散して総選挙を行う」という決断を下したのは、今が危機的状況だからでしょうか、それとも安全だからでしょうか?

 真に危険が迫った状況で、国会を解散して政府を空っぽにする、危機への対応を放り出して選挙戦に専念する、そんな馬鹿なことをする人は――いくら政治家にだっていません。差し迫った危機がない、緊急事態ではない、それだけの確信があって始めて、解散総選挙という決断が可能になるのです。北朝鮮の悪ふざけが日本に危機をもたらす可能性は皆無、安心して国内の政争に努めましょう、そう首相は訴えていると私は理解しました。

 ……で、自民党政府にとって真の危機は北朝鮮などであろうはずもなく、時流に乗ったポピュリズム政党の台頭にあります。相手が民進(民主)党である限り負ける恐れはなかった一方、より右寄りのポピュリストが勢いを持ち出すと、それを止める力がないのが今の自民党です。だから安倍内閣としては、小池グループが体制を整える前に選挙を済ませてしまいたかったのだろうな、と。

 ところが、どこまでも国民に迷惑をかけ続ける民進党が選挙資金(政党交付金!)もろとも小池グループに首を差し出すという暴挙に出たことで状況は一変してしまいました。タイムズ紙が言うように「政治風景が一変し、結果の予想が不可能になった」わけです。「アベ政権打倒が第一」であるならばまぁ、起死回生の一手ではあったかも知れません。その代わり、国民の生活が犠牲になりそうではあります。

 これは故・民主党政権時代の発言ですが、この他にも小池百合子の特別秘書で一時は都民ファーストの会代表であった野田数なんかは「国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄」すべしと主張して大日本帝国憲法の復活を主張していたくらいです。民進党は極右グループに何もかも譲り渡すことに抵抗がないようですけれど、それは国民にとってどうなのでしょうか。この「非現実的な保守」の台頭よりも危ういものはなかなか思いつきませんね。

 「経済最優先」を掲げつつも今ひとつ経済を優先し切れていない安倍内閣ですが、今回の選挙に向けての主張は完全に「経済が後回し」になってしまった感があります。当初は消費税増税原理主義の民進党がライバルだったことから、完全に消費税増税路線に迎合した様子ですし、北朝鮮からのエールを受けて自身の趣味に走る好機とも感じている様子がうかがわれますし……

 そして政局争いの新たなライバルが自身より右寄りともなればどうなるででしょうか。まだしも安倍内閣には「建前を守る」ところがありましたが、小池一派はより先鋭的です。これに対抗するために自民党が一線を越えようとする、ぐらいのことはあってもおかしくありません。北朝鮮が日本を現実に脅かすことは考えられない一方で、日本の政治が危険な領域へと突入する可能性は否定できない気がします。

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