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大企業の健保組合、公務員の共済組合などは中小企業に比べて保険料率が低い。余裕のある人はもう少し負担を - 「賢人論。」第46回鈴木邦彦氏(後編)

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日本医師会の常任理事・鈴木邦彦氏をゲストに招いた「賢人論。」もいよいよ最終回。中編「“かかりつけ医”の役割は広い。高齢者の疾病や心身・生活を理解し、ときには介護サービスを紹介することが求められている」とは話題を変え、後編では、高齢化でかさむ医療費への対策、そして“終活”をテーマにお話を伺った。超高齢社会を乗りきるためには、私たち国民一人ひとりのモラルとリテラシーがカギとなりそうだ。

取材・文/佐藤 舜(編集部) 撮影/公家勇人

消費税、社会保険料の増加は避けられない

みんなの介護 中編「“かかりつけ医”の役割は広い。高齢者の疾病や心身・生活を理解し、ときには介護サービスを紹介することが求められている」でも少し触れましたが、高齢化の進行によって日本の医療費は年々膨らむ一方です。今後ますます需要が増す医療財源を確保するには、どうすれば良いでしょうか?

鈴木 高齢化が進んでくると、避けられないことなのですが、国の医療費や介護費が増加します。それでも、1人あたりの医療費は世界の中ではまだ低く抑えられている方なのです。第一次ベビーブームの世代、第二次ベビーブームの世代と、高齢化のピークが大きく2つあって、それをどう乗り切るかが課題です。

期待したいのは「社会保障と税の一体改革」で、これは地域医療構想や地域包括ケアシステムを構築していくことと、消費税率を上げて財源を確保することがセットになったものです。消費税率10%への引き上げが2019年10月に予定されていますが、過去すでに二度延期になっています。今度こそぜひ実現していただきたいと思います。

みんなの介護 やはり、国民の負担はもう少し増えそうでしょうか。

鈴木 社会保障のメインの財源はやはり社会保険料ですから、払う余裕のある方にはもう少し負担していただきたいと考えています。特に大企業の「健保組合」や公務員の「共済組合」はまだ保険料率が中小企業・零細企業の「協会けんぽ」の10%に比べて低いのです。もう少し、そこから財源が出てくるといいと思いますし、まだやり方はあると思います。

あとは、医療費の節約ですね。同じ病気を治療するのでも、診療所や中小病院で治療するのと大病院で治療するのでは全然コストが違います。ですから、なるべくかかりつけ医機能をもつ診療所や有床診療所、中小病院での診察を促していくことが大切です。

みんなの介護 例えば、かかりつけ医を受診した場合の治療費を安くするとか…?

鈴木 そういう考え方もありますが、「誰がかかりつけ医になるか」が非常に難しいのです。日本の場合は、1人の患者に対して1人のかかりつけ医、ということが制度としては決まっていません。疾患ごとにかかりつけ医を持っている患者さんもいらっしゃいますので、1人には決められないのです。そういう意味で、医療機関の役割分担のために一番良いのは、大病院と、かかりつけ医機能を持った診療所や有床診療所、中小病院の間に差をつける、というやり方ではないでしょうか。

みんなの介護 できるだけ患者さんが地域の医療機関(診療所・有床診療所、中小病院)へ流れるように促し、大病院は“砦”として温存しておく、というイメージですね。


現行の医療保険3割自己負担は限界

鈴木 今の急性期の大病院は、ベッドの数が多いのです。軽い病気の方も診察に訪れるし、その気になれば入院することもできる。そこを、なるべく中小病院、有床診療所や在宅で診るように変えていけば“最後の砦”である大病院に余裕が生まれます。日本の医療費の半分弱は大病院で使われていますから、その大病院のベッドの数を減らすことで医療費を抑えることもできるのではないでしょうか。

例えば肺炎を診ると、中小病院なら1日あたり2~3万円で済むところが、大学病院だと8~10万円かかる。それくらい違うものなのですよ。そのへんはある程度の役割分担が必要でしょうね。脳卒中で倒れたら、治療のために一旦、大病院に入院する。その後病状が良くなって、リハビリが必要なら地域の回復期リハビリテーション病棟を有する病院に移る、という風に使い分けるのです。

みんなの介護 その他、風邪などの軽い病気で診察を受ける場合の受診料を値上げする、というアイデアも出ているようですが。

鈴木 そういうことをおっしゃる方もいますが、私は賛成しません。一見軽い病気でも、その中には重い病気の兆候が隠れているかもしれないですから。見くびらずに丁寧に診ていかなければいけないと思います。そもそも、本当に“軽い病気”だったのかということは、治るまでわからないですからね。

みんなの介護 自己負担率そのものを上げるのは好ましくない、というのが鈴木さんの見解ですか。

鈴木 現行の自己負担3割が限界でしょう。ドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国では、むしろもっと低いです。

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