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シェアで恥をかかない嘘ニュースの判別法

ネットは私たちに「全世界とつながる自由」を与えた。しかし、それは「全世界から見られるリスク」でもある。SNSでの気軽な「投稿」や「シェア」が、あなたの信用を貶めることになるかもしれない。広報のプロが、 注意するべき「5つのポイント」を解説する。

■わが身を守る、情報モラルの「超」基本

私は「広報」のプロフェッショナルです。広報とは、「広く報(しら)せる」の文字通り、「新製品が出ます」「新しい取り組みを始めました」「こんな事業を行っています」といった情報を社内外に広め、「選んでいただく」=「ブランドを高める」ための仕事です。

広めるべき情報を峻別し、「攻め」と「守り」のバランスをとりながら「真意を伝えるコミュニケーション」が求められる仕事です。私はこの仕事をとおして、「広めるべき情報」と「出さない情報」を区別する癖をつけてきました。


ネットでは誰でも気軽に情報を発信することができます。「投稿」だけではなく、「シェア」や「リツイート」という形で、その情報の拡散を手助けすることもできます。しかし、その結果が「デマ」や「偽ニュース」を広めることになれば、拡散を手助けした人の責任も問われかねません。

昨年は、英国のEU離脱やアメリカのトランプ大統領の誕生など“衝撃的” なニュースが相次ぎましたが、それにあわせて多くの「偽ニュース」が発生しました。

また日本でも、「キュレーションメディア(まとめサイト)」における記事の盗用や著作権侵害が注目を集めました。振り返れば、2011年の東日本大震災でも、たくさんのデマが拡散してしまったことが思い出されます。

量、質、ともに大量の情報が氾濫する時代だからこそ、間違いや信憑性のない情報を無自覚に拡散してしまうことは避けたい。目新しい情報やうわさ、耳打ちされた話などを広めるときは、最低限、正しい情報なのか、拡散すべきものなのかを、いったん立ち止まって確認することを習慣づけたいものです。

■シェアする前に要チェック!「5つの確認ポイント」

入手した情報をうのみにせず、複数の角度から正確性を確認し、信頼性の高い情報を発信する視点やプロセスには次の5つのポイントがあります。

□情報源、発言者の信頼度
□元ネタを確認する
□複数の情報を比較する
□「他人の作品」の利用には許可をとる
□ 間違えたら「訂正」、状況が変われば「追記」

では、細かくみていきましょう。

ポイント(1)情報源、発言者の信頼度を調べる

ネットには、有象無象の情報があふれています。多くの人の関心が高い健康情報などは、次から次に新しい説や方法、商品が出てきます。ということは、古い情報もあふれているということです。たまたま目にした情報が、古いものだと知らずにシェアしてしまい、実は誤った情報だった、ということはありませんか?

また、ネットの記事には、最近の記事なのか過去のものなのか、区別がつかないものがあります。すぐにツイートをしたり、ブログのネタに使ったりするのではなく、いつの時点での発信なのかを確認するようにしましょう。特に注意すべき点は以下の3つです。

・いつ、どこで、誰が、何のために発表したものか?
・書いた人や情報を発信している企業やメディア、サイトの運営者は誰か?
・その人や組織は、信頼性、正確性、公平性において問題ないか?

ポイント(2)元ネタを確認する

「情報源の確認」と共に、できれば事実をさかのって確認することをおすすめします。引用資料の場合は、基の資料を確認する。つまり「誰かがこう言っていた」という二次情報を使うのではなく、当事者や公的資料などの一次情報を参照するということです。

例えば、特定の人のプロフィールやエピソードを載せる場合は、本人の公式サイトやブログを確認する。あるいは、企業や組織に関するニュースや不祥事を話題にするなら、その会社のホームページで当事者側の見解や見通し、事件や不祥事の場合は事実を認めているのか、謝罪しているのか、それとも誤解だと主張しているのか、当事者の公式見解を確認してから発信するようにします。

ウィキペディアを利用するときにも注意が必要です。ウィキペディアは不特定多数の投稿によってつくられているため、情報の信頼性や信憑性、公正性が保証されているわけではありません。情報が一方に偏っているリスクもあります。利用する際には、その点を踏まえておかなければいけません。

ポイント(3)複数の情報を比較する

1938 年10月、アメリカで、ハロウィンの特別番組として「火星人が襲来した」というラジオドラマが放送されたことがありました。「臨時ニュース」のように演出されていたため、現実のニュースだと誤解した人たちが全国の警察に問い合わせたという記録が残っています。もちろん新聞のラジオ欄などをチェックしていれば、ラジオドラマの中での演出だとわかったはずです。このエピソードは、「情報は、他の情報と照らし合わせて検証しよう」という教訓を示しています。

東日本大震災では、SNSで多数のデマが拡散されてしまいました。

「毒ガスが発生しているから気をつけて」
「酸性雨が降っているから外出しないように」
「◯◯町で倒壊した家屋の下敷きになっている人がいます」

こうした情報を目にして、「みんなに知らせなければ」と善意で拡散を手伝う人が相次ぎました。ところが、その中には誤報やデマもかなり含まれていたのです。緊急時はとくに、情報を複数のソースから確認しましょう。それがデマ拡散を防止する第一歩です。

ポイント(4)「他人の作品」の利用には許可をとる

昨年末、「キュレーションメディア(まとめサイト)」における記事の盗用や著作権侵害が注目を集めたことで、著作権に対する意識も変わりつつあります。

ネットでみつけた文章やイラスト、風景写真、動画などを、無断で「引用」すれば、執筆者やイラストレーター、カメラマンなどから著作権侵害で訴えられるリスクがあります。「引用だから大丈夫」などと判断せず、著作権の許諾について徹底することが求められています。

ポイント(5)間違えたら「訂正」、状況が変われば「追記」

情報発信に関わる人であれば、「間違ったら訂正する」ということは、当たり前のはずです。個人でも、自分の発信した情報だけでなく、拡散にかかわった情報についても、責任をもってフォローし続けることが、現実世界での信頼や評価にも影響します。たとえ読者が数十人程度の個人ブログであっても、間違いがわかったら訂正する。「この人の情報はいつも間違っている」と思われれば、現実世界での人間関係にも悪影響があるはずです。

誰にでも間違いはあります。もし訂正するときは、「何をどのように直した」と、修正履歴を残していおくと、透明性や信頼性を確保することにつながります。

修正履歴の例:
記事掲載当初、本文中で「H大学での講演」としていましたが、
正しくは「S大学での講演」です。お詫びして訂正します。
本文は修正済みです[年月日/時刻]

「メディアリテラシー」は、今の社会を生き抜くうえで、一人ひとりが鍛え続けていかなければならない能力のひとつとなっています。小さな習慣を積み重ねることで、「発信者としてのモラル」は保たれます。ぜひ参考にしてください。

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大谷恵(おおたに・けい)コーチ・エィ 広報スペシャリスト
上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業。商社、国際博覧会事務局、アーティストの個人事務所、輸入車メーカーなどを経て、2006年、日本を代表するエグゼクティブ・コーチング・ファーム、株式会社コーチ・エィに広報のプロフェッショナルとして入社。テレビ、新聞、雑誌、ウェブ媒体などに「システミック・コーチング」の情報を露出する他、19万人の読者をもつコーチ・エィ発行のメールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」のコラム編集、広報誌発行、書籍出版企画などを行う。エグゼクティブコーチによる人気コラム「Coach's VIEW」の編集を、10年にわたり担当。コーチとしては、企業や医療、出版、教育などの分野で活躍するリーダー層にコーチングを行う。

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(コーチ・エィ 広報スペシャリスト 大谷 恵)

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