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女性の健康、企業成長のカギ

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女性の活躍推進イニシアティブ(WHI)登壇者と参加者 ©Japan In-depth編集部

Japan In-depth編集部(大川聖)

【まとめ】

・現代は女性の活躍推進があらゆるところで求められている。

・まず男女の身体の違いを正しく理解することが大切。

・健康の問題をタブー視せず、語ることができる社会を作っていくべき。

女性の健康推進、と言われても、なぜ女性だけ?と思う人もいるかもしれない。しかし、これまで女性の健康そのものに社会が目を向けてこなかったことも事実だ。

そうした中、「女性の健康推進イニシアティブ(Woman’s Health Initiative)」設立シンポジウムと題するイベントが、9月13日、東京・千代田区の衆議院第一議員会館にて開催された。

参加者は、企業経営者、人事戦略役員及び役職者、働き方改革・健康経営・女性活躍推進・ダイバーシティ担当者等約300名に及んだ。

女性の健康推進イニシアティブ(WHI)とは、生理的多様性に配慮した女性活躍推進の促進や働き方の改革を目的に、「女性の健康の推進」を行うことを宣言し、その重要性を社会に発信していく取り組みだ。また社内外において「女性の健康」の施策に積極的に取り組むことを奨励し支援する企業らをWHI企業ネットワークと呼ぶ。

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▲写真 イベント最初に登壇した、総務大臣/女性活躍担当大臣/内閣府特命担当大臣の野田聖子氏 Photo by Japan In-depth編集部

シンポジウムでは、初めに野田聖子氏(総務大臣/女性活躍担当大臣/内閣府特命担当大臣)が「政府は安倍総理を筆頭に女性活躍推進を進めており、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするという数値目標がある。」と述べた。

一方で、不妊治療で体外受精をしなければならない状況になる背景は問題にされてこなかった、と指摘。男女雇用機会均等法により、女性も働けるようになったが、「女性は頑張ったとしても女性であることを捨ててキャリアを選ばなければならなかった。」と述べた。

その上で野田氏は、「これからのダイバーシティでは、(男女は互いの身体の)違いを分かったうえで女性の健康も考えるべき」と述べ、女性の健康が守られることは、経済・こどもたちにも良い影響をもたらすため、「様々なポテンシャルがあり、まさに成長戦略の1丁目1番地と捉える。健康を確保できるように企業体・組織・日本の在り方について議論してほしい」と呼びかけた。

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▲写真 WHI企業コンソーシアムプロデューサー/NPO法人GEWEL副代表理事の小嶋美代子氏 Photo by Japan In-depth編集部

続いて、小嶋美代子氏(WHI企業コンソーシアムプロデューサー)は「日本の今の最重要課題はダイバーシティの戦略であり、女性の活躍推進でもある。特に女性の活躍を阻むあらゆる問題を解決することへの挑戦は企業にとっても日本にとっても重要である。」と述べた。

そして、企業が女性の健康推進に取り組むべき理由として以下を挙げた。

  • 女性活躍の推進

女性活躍のアクションにコミットすることがすべての企業に当然に求められる時代に。

2、健康対策の拡大

女性の就業人口が増えている一方で、企業の健康対策は男性労働者をモデルとする設計から脱却できていない。

3、労働力の確保

人手不足がバブル期以上に深刻化。女性の採用を拡大し、長期的に活躍し続けられる環境を作ることは企業にとって死活問題。

小嶋氏は、「企業は、それぞれの従業員や社会に対して、人生の選択肢を提供し続けることができる。ライフイベント、身体リズム、病気と仕事の両立等、多様な生き方に合った選択肢を企業が提供することで、個人のQOL向上につなげていく」と述べ、企業が女性の健康を考える重要性を改めて強調した。

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▲写真 NPO法人日本医療政策機構 代表理事/東京大学名誉教授の黒川清氏 Photo by Japan In-depth編集部

次に、黒川清氏(NPO法人日本医療政策機構 代表理事 / 東京大学名誉教授)より、キーノートスピーチ「日本の女性の健康施策の展望」が行われた。

黒川氏は、非嫡出子を例に挙げ、「日本は2%以下である。赤ちゃんが生まれた時の登録は正式に結婚している人でないと具合が悪いと皆が思っている社会制度になっている。一方、ヨーロッパ、アメリカは30~40%、北欧では50%超が非嫡出子。」と述べ、「憲法24条で男女平等謳われてきたのに社会制度は変わっていない。」と指摘した。

また、日本の産業界、役所は、同じ業界内で他企業に転じることや異論を唱えるのが難しいというマインドが戦後も変わってないため、「男性にも悲惨な状況がある」と述べた。

女性の社会進出について黒川氏は、北欧では女性が役員や管理職など重要なポストに就く割合を決めている国もあるのに対し、「日本は議題にも上がらない」と指摘した。

黒川氏は、「女性のピルの服用率を上げる等の避妊をしっかりする」ことで、いわゆるできちゃった婚を含む望まない妊娠による中絶、こどもへの虐待、いじめの防止にもつながる、と述べた。

20年前に低用量ピルが出てきた時、副作用ばかり気にして、日本だけが許可していなかった、という。黒川氏は、現在もピルは婦人科の先生に処方してもらわなければならないことに対して疑問の声を上げた。中絶は10代、20代が多い現状に対し、「カウンセリング等環境を整える」必要性も指摘した。

また、現在停滞している経済について、「経済を向上させるには、ダイバーシティを進めていかなければならない。」と述べ、消費者の半分は女性であるため、男性ばかりで決めていてはもう成り立たないことを強調した。

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▲写真 経済界リーダーズセッションの様子。Photo by Japan In-depth編集部

第一部は、経済界リーダーズセッションが行われた。テーマは、「企業が女性の健康推進に取り組むべき理由」。パネリストは、出口治明氏(ライフネット生命保険株式会社 創設者)津村佳宏氏(株式会社アデランス 代表取締役社長COO)、烏野仁氏(デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社 代表執行役社長)。モデレーターは高田和男氏(日本テレビ解説委員/医療ジャーナリスト)。

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▲写真 ライフネット生命保険株式会社 創設者の出口治明氏 Photo by Japan In-depth編集部

出口氏は、データをみると、「先進国におけるサービス産業は3割を超え、ユーザーは女性が6,7割超えている。」と述べ、消費者は主に女性であるという事実を見過ごしてはならないことを指摘した。

また、日本政府は「女性が輝く社会」という表現を用いているが、北欧ではクォータ制を導入しており、すでに制度を作り実践していることを強調した。また、「男性と女性の体が違うというのがfact(事実)である。それに合った対応をしなくてはならない。」と主張した。

介護の問題についても、「若者が高齢者の面倒を見ることはもうない」とし、「健康寿命を延ばすには働き続けることだ」と述べた。そして、「年齢、性別を考えない社会、企業を作るべきである」と改めて強調した。

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