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なぜ一流の人は短時間睡眠でも平気なのか

睡眠を「一日のご褒美」と考えている人は、一流にはなれない。一流のビジネスパーソンは、睡眠を「投資」と捉えて、「明日のためには、どう眠ればいいか」と未来志向で考える。だからといって、睡眠時間を増やせばいいわけではない。8項目のチェックリストから、「疲れの取れる眠り方」を確認していこう――(全9回)。

■人間の「疲労」には3種類ある

睡眠不足で集中力を欠き、ミスを連発してしまう――。睡眠が仕事のパフォーマンスに影響を与えることをビジネスパーソンは経験的に知っていますが、そのことは医学的にも説明ができます。

人間の疲労は3種類あります。1つ目は肉体的疲労です。肉体的疲労とは、筋肉を動かすためのエネルギーが不足している状態。車でいえばガス欠です。



2つ目は精神的疲労です。人間関係などのストレスで気分が沈んだりイライラしたりすることがあれば、心が疲れているサインです。

そして3つ目が、神経的な疲労です。長時間のデスクワークなどで緊張状態が長く続くと、眼の神経や脳に疲労が溜まって注意力が散漫になったり、物覚えが悪くなったりします。これらの疲れが密接に絡み合って、人間のあらゆる活動のパフォーマンスを低下させていきます。

これらの疲れすべてのメンテナンスに関係しているのが睡眠です。たとえばお風呂は筋肉の疲れに効果的ですが、脳の疲れが完全に取れるわけではありません。心のストレスはカラオケで発散できますが、体にはむしろ負荷がかかるかもしれません。一方、睡眠は万能選手。しっかり眠ることで、体、心、脳のメンテナンスがまんべんなくできます。

具体的に説明しましょう。睡眠には、深い眠りであるノンレム睡眠と、浅い眠りであるレム睡眠があることはよく知られています。ノンレム睡眠のときは、全身のあらゆる部位でメンテナンスが行われます。痛んだ筋肉の修復や血流停滞の解消が行われるのも、この時間帯。つまりノンレム睡眠は肉体的疲労を回復する睡眠です。

一方、レム睡眠のときは脳が活動を続けて記憶の整理を行っています。起きている間に処理しきれなかった悩みは、この時間帯に脳が整理を試みます。レム睡眠は、いわば心と脳の疲れを取るための睡眠です。ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に訪れますが、どちらが欠けてもダメ。両方が揃って体、心、脳が回復するのです。

■1日の計画はどこから立てるか

では、どのような睡眠を取れば、仕事でいいパフォーマンスを発揮できるのでしょうか。まず考えていただきたいのが、睡眠の位置づけです。ビジネスパーソンの多くは、睡眠を1日頑張ったことに対するご褒美の1つとしてとらえています。「今日はたくさん頑張って疲れたから、ゆっくり寝よう」というわけです。

一方、一流のビジネスパーソンは違います。彼らにとって、睡眠は投資。「明日はこういう仕事があるから、快眠していいパフォーマンスを発揮しよう」と未来志向で考えます。睡眠をご褒美としてとらえているのか、投資としてとらえているのか。それは1日のスケジュールを書いてもらうとわかります。

ご褒美だと考えている人は起床から1日を組み立てますが、投資と考えている人は前夜の就寝から1日を考えます。翌日に最高のパフォーマンスを発揮するためにどう眠ればいいのかを考えるのが、成果を出すビジネスパーソンの思考なのです。

■なぜ短い時間でも疲れが取れるのか

睡眠が仕事への投資だからといって、とにかくたくさん眠ればいいと考えるのは早計です。最適な睡眠時間は人によって異なります。

ナポレオンは3時間のショートスリーパーで、アインシュタインは10時間のロングスリーパーでした。睡眠は究極の個人習慣であり、何時間眠るべきという「べき論」で語っても意味がありません。むしろ意識したいのは睡眠の質です。

布団に入って横になっている時間に対して実際に眠っている時間の割合を「睡眠効率」といい、一般の人が目指すべき合格ラインは85%以上といわれています。一流の人たちは睡眠効率が非常に高く、睡眠時間が短くても快眠して疲れを取り除いています。日中に集中力を発揮できるのも、質の高い睡眠をしているからです。

■正しいのは どっち? あなたの「睡眠」の常識をチェック!

裴英洙さんの監修のもと、8項目のチェックリストを作成しました。睡眠の質を高めるため、ぜひトライしてみてください(編集部)。

Q1.睡眠時間を確保しているのに疲れが残る。どうしたらいいか?

A.通勤中に寝るのをやめる
B.寝具を変える

Q2.明日は大事なプレゼンがある。どうすべきか?

A.明日に備えて早く布団に入る
B.いつもどおり過ごす

Q3.ランチ後に襲ってくる睡魔。どう対処すべきか?

A.食事量を減らす
B.思い切って昼寝する

Q4.今日は飲み会。翌日に疲れを残さないためには?

A.お酒と一緒に水分を摂る
B.帰宅後熱い風呂に入る

Q5.今晩は徹夜することになりそう。疲れを最小にするには?

A.15~20分程度の仮眠を取る
B.栄養ドリンクを飲む

Q6.夜中に何度も目が覚めてしまう。どう対処したらいいか?

A.睡眠薬を飲む
B.悩みや不安を抱えていないか見直す

Q7.なかなか寝付けない。ぐっすり眠るにはどうしたらいいか?

A.寝酒を一杯ひっかける
B.ぬるめの風呂に入る

Q8.いびき、歯ぎしり、加齢臭……夫婦仲と快眠を両立するには?

A.思い切って夫婦別室にする
B.同じ寝室を続ける

※各項目の答えは連載で解説していきます。次回更新は9月17日の予定です。

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裴 英洙(はい・えいしゅ)
医師・医学博士、MBA。ハイズ代表取締役社長。金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科で博士課程を修了。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了。著書に『一流の睡眠――「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』など。

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(医師・医学博士 裴 英洙 構成=村上 敬 撮影=尾関裕士)

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