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中国でキャッシュレス化が爆発的に進んだワケ - 高口康太(ライター・翻訳家)

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 最近、中国のキャッシュレス社会化が話題となっている。

・中国人の眼に映る今の日本は「20世紀」のままだった…|現代ビジネス(2017年6月13日)
・中国「超キャッシュレス社会」の衝撃、日本はもはや追う側だ|ダイヤモンド・オンライン(2017年7月10日)
・スマホ大国・中国、日本のはるか先を行くワケ|読売新聞(2017年8月16日)

 中国の先進的なキャッシュレス社会、スマートフォン活用に驚き、日本社会に警鐘を鳴らす報道も少なくない。メディアだけではない。実際に中国を訪問した人の多くがその利便性に衝撃を受けている。

 一方で中国を訪問したことがない人からは、報道を見てもぴんと来ないという声を聞く。「Suicaやおサイフケータイとは何が違うのか?」「QRコードだと何がそんなに便利なのか?」「スマートフォンのバッテリーが切れたら支払いができなくなるのって不便じゃないの?」「現金と比べて何が便利なの?小銭が不要になるから?」「中国は偽札が多いからモバイル決済が流行ったそうだけど、日本はそんな心配はないから不要なのでは?」などなど、根本的な疑問を聞かれることが多い。

 中国のキャッシュレス革命を褒めたたえる記事はあっても、こうした根本的な疑問に答えたものは少ないように思う。そこで本稿では今、中国で何が起きつつあるのか、その全体像をお伝えしたい。


写真を拡大 アリババの創業者ジャック・マー(馬雲)氏。2017年7月10日、第2回世界女性創業者大会にて。

モバイル決済は便利なスマホ利用の入り口

 「一口にモバイル決済と言っても、中国と日本では状況が異なります。中国ではパソコンが先進国ほど普及しませんでした。いわばパソコンとインターネットの時代を跳び越えて、スマートフォンとモバイルインターネットの時代が到来したのです。日本ではパソコン向けのサービスがいろいろあるでしょうが、中国ではすべてがスマートフォンに集中している状況です」

 筆者は7月、中国IT大手アリババ集団の関連会社で、モバイル決済アプリ「支付宝(アリペイ)」を展開するアントフィナンシャル(浙江省杭州市)を訪問した。上記の説明は同社広報担当である楊昕韻さんの発言だ。


写真を拡大 写真は杭州市のアリババ本社。広大な敷地内にジャック・マー(馬雲)氏ら経営陣が執務する伝統的家屋がある。

 最初に用語について説明しておこう。キャッシュレスとはクレジットカードや電子マネーを含む、現金以外の手法による決済を指す。一方、モバイル決済とはスマートフォンを使った決済を意味する。近年、中国で急成長を遂げているのはモバイル決済だ。

 2012年以後、中国では爆発的にスマートフォンが普及した。モバイルインターネットユーザーは今年6月末の時点で7億2400万人に達している(『第40回中国インターネット発展状況統計報告』、2017年7月)。モバイルインターネットの成長に伴い、すべてのサービスがスマホファーストを目指すようになった。日本では専用スマホアプリがないネットサービスも多いが、中国ではまずスマホアプリが第一だ。その結果としてスマートフォンの利便性は他国にないほどのレベルに達している。


写真を拡大 杭州地下鉄の切符販売機

 モバイルインターネット活用のハード的インフラがスマートフォンならば、モバイル決済はソフト的インフラである。モバイル決済を利用することで、さまざまなサービスを平易に利用することができるわけだ。各種アプリを利用するたびに信頼できる会社なのかと不安に思いながらクレジットカード番号を打ち込む日本とは手間が違う。モバイル決済は便利なスマホ利用の入り口だ。これが「日本と比べて何が便利なのか?」との問いの回答となる。

 モバイルインターネットで便利になったジャンルは無数にあるが、我々外国人旅行者にとってもっとも印象的なのは鉄道切符の購入ではないか。かつては鉄道切符を買うのにも半日がかりだった中国だが、今では数分間、スマホを操作するだけで予約から決済まで終了してしまう。さらに先日から駅弁のスマホ予約も始まるなど、サービスは充実する一方だ。

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