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ついにJTBまで参入する民泊ビジネス ホテルへの影響は?

【今後は立地やアクセス、快適性も求められる民泊】

 住宅の空き部屋などに有料で客を泊める「民泊」。これまでは許可が必要な旅館業法の手続きを経ない違法な“ヤミ民泊”業者が横行し、近隣住民とのトラブルや宿泊客への暴行事件など数々の問題を起こしてきた。

 だが、そんな民泊ビジネスも晴れて「合法化」されるため、名だたる大手企業も続々と参入を表明。あらゆる業態を巻き込み、早くも激しいシェア争いが起きつつある。

 合法化とは今年6月に成立した住宅宿泊事業法(民泊新法)のことを指す。観光庁が来春にも施行予定のこの民泊ルールとはどんな内容なのか。

「民泊を営む家主に都道府県や政令市などへの届け出を義務付け、宿泊者名簿の作成や衛生管理、苦情への対応も徹底させる。また、民泊物件の仲介業者や家主不在の空き家管理者にも国への登録を義務付ける。基本的に年間営業日数は180日以内と定め、違反があれば業務停止のほか、6か月以下の懲役か100万円以下の罰金が科される場合もある」(不動産専門紙記者)

 もちろん、細かい物件の規定や違反行為、各自治体が個別に定める条例との兼ね合いは今後の検討課題となるが、ひとまず来年には民泊が国のお墨付きも得て解禁されることになる。そこで民泊ビジネスを有望な収益源にしようと虎視眈眈と狙っているのが大手企業だ。

 例えば、大京やレオパレス21といったマンション・アパート大手のほか、京王電鉄なども民泊ビジネスに参入。仲介事業では、6月に楽天が不動産情報サイト「ライフルホ-ムズ」を運営する会社と民泊仲介の共同子会社を設立した。

 また、民泊マッチングサイトで先行する米エアビーアンドビーが7月にみずほ銀行と業務提携したり、KDDIの子会社が自社運営のホテルサイトに高級民泊物件を掲載すると発表したりと、ここにきて一気に民泊ビジネスの動きが慌ただしくなっている。

 そして、9月11日には、なんと旅行会社大手のJTBが宮城県仙台市に本拠を置くIT企業の「百戦錬磨」と業務提携を結び、民泊事業に乗り出すと発表した。JTBは〈古民家・空き家等の遊休資産を宿泊サービス提供施設として活用する民泊サービス事業に向けた広範な提携〉と説明している。

 業界を問わず、さまざまな企業が触手を伸ばす民泊ビジネスだが、「JTBの参入発表はいろいろな意味で衝撃的」と話すのは、ホテル評論家の瀧澤信秋氏だ。

「JTBは既存のホテルや旅館といった伝統的な宿泊施設と共存共栄してきたイメージだけに、それら宿泊施設と利害関係が対立する民泊への参入には違和感を覚える業界関係者も多いと思います。

 その一方で、いまJTBが置かれた立場を如実に表しているともいえます。JTBは実店舗も持つ旅行代理店として団体旅行や海外旅行に強いとされてきましたが、近年はFIT(個人手配の海外旅行)なども増える中、宿泊予約サイトを代表とするOTA(オンライン専門の旅行会社)の隆盛にさらされています。民泊といえばまさにオンライン販売が主流のため、多様性を持つ旅行会社へ脱皮したいという狙いもあるのでしょう」

 民泊の登場によって、旧来型の宿泊ビジネスが脅かされる時代──。もっとも影響を受けるのはホテル業界だろう。

 近ごろ訪日外国人の急増で都市部のホテル不足や料金上昇が問題になっているが、そこで脚光を浴びているカプセルホテルやホステル、レジャーホテルは民泊に市場を奪われかねない施設といえる。

「大都市部で民泊は安い宿泊施設としての位置づけだけに、低廉な料金体系のカプセルホテルや簡易宿所との競合が懸念されます。民泊の営業利益率は人件費がかからないことからカプセルホテルやホステルを超えるというデータもあります」(前出・瀧澤氏)

 それだけではない。主要なシティホテルも客室稼働率が低下するなど“民泊インパクト”を受ける恐れがある。瀧澤氏が続ける。

「東京都心のホテル稼働率は近年上昇傾向が続いてきましたが、2016年は一転、鈍化・下落傾向となりました。あるリサーチでは、ホテル予約減の数字と民泊利用者数が相関関係にあると指摘しているほどで、やはり民泊のインパクトは相当だといえます。

 ここにきて民泊事業者の競争激化により、特に都市部で一般のホテルに求められるような立地やアクセス、快適性などが重視されるようになってきました。ノウハウや資金力がある事業者がホテルライクな民泊を手掛ける規模によっては、シティホテルへの影響も少なくないでしょうね」

 では、既存のホテルが民泊に顧客を奪われないためにはどうしたらいいのか。その答えは、やはり付加価値の追求以外にはなさそうだ。

「訪日外国人客は“泊まれればどこでもいい”と割り切って宿泊特化型のビジネスホテルを利用する人も多くいますが、その一方で“泊まるだけではつまらない”という声もあります。

 そこでコト消費にフューチャーした宿泊特化型ホテルが出てきていますし、そもそも多様な機能を持つシティホテルは、ゲストへ旅の体験を提供できる装置でもあるので、差別化はできるはず。

 ただ、最近は茶道など日本文化が体験できる民泊プランも登場しているので、既存宿泊施設のさらなる付加価値向上が、シェア堅持の大きなカギとなるでしょう」(瀧澤氏)

 東京オリンピックが開催される2020年には2000億円の市場予測もある民泊マーケット。果たして旅行者の多様化するニーズに応えてどこが主導権を握るのか。日本の宿泊慣習を一変させる事態も考えられるだけに、目が離せない。

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