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宇都宮日弁連会長と西尾幹二氏の奇妙なロジック

VOICEは論壇誌の中で「漸進する保守」というキャラが立ってきた気がするが、それでもまだまだ

後退する保守も顔を出す。
西尾幹二の「愛国心なき経営者は職を去れ」を読めば、“後退”と言う意味がよくわかると思う。

書く気もしないが、トヨタは米国の罠にはまった、だいたいグローバル化、脱日本なんて言葉を使う経団連の連中はけしからん、自社の利益より日本を第一に考えろ、と続く。
要するに、愛国心を忘れたからバチが当たった、ということらしい。
この人は企業の国際競争力が国力に直結しているということすら理解できていないのか。
僕は保守ってよく知らないんだけど、他の論者もこういうノリなんだろうか。
だとしたら左より救いようが無い。

まあ編集部も分かっているのか、ちゃんと「トヨタ メーカー目線の敗北」(片山修)という優れた論考も載っているのでこちらをおすすめしたい。

ちなみに、そちらの分析では西尾論文とは真逆の結論で「急激な成長の一方で、取締役が全員日本人男性という風に、質的にグローバル企業というには程遠かったこと」に求めている。誰がどう考えたってこっちだろう。

一方、文藝春秋5月号の宇都宮日弁連会長「弁護士の貧困」も負けじと凄い。
どう凄いのかというと、取り戻した過払い金の過半をピンハネするような悪徳弁護士の増加は「司法制度改革の結果、弁護士が増えて、一人頭のパイが減ったから」だそうだ!

つまり、この人の頭の中には、健全で心優しい弁護士像みたいなものがあって、それを可能とするだけの収入は無条件で(国民が)負担するべきであり、その収入額で総売り上げを割った数しか弁護士にしちゃいけないということだ。それって身分制度じゃないか。

博士が余っているから「大学院博士課程を減らそう」しか言えない大学教授もたいがいだが、どうしてこういう人達は椅子が無かったらすぐに入口を絞ろうとするのか。

新規参入で競争をうながし、サービスや生産性を向上させようという発想がどうして無いのか。

まあ、自身が手掛けたグレーゾーン金利撤廃で結果的にその手の弁護士が増えたわけで、「お上が悪い」と責任転嫁したくなる気持ちもわからんではないが、それにしても氏のダブルスタンダードぶりは目に余る。

たとえば、氏は国が支出削減の一環として進める司法修習費の貸与制(現在は国からの給付制)を以下のように批判する。

経済的な余裕のある人ばかりが法曹を目指すようになれば、それ自体問題だろう。
私が今の時代に生まれていれば、弁護士にはなれなかった。



では聞くが、志も能力もある若者が「もう定員いっぱいだから」というだけの理由で法曹に進めなくなることは問題ないのか。

論文は「労働組合等と連携して闘っていきたい」と締められているが、僕にはどうしても連合あたりと既得権死守のための反動タッグを組んで「労働者は連帯しよう」と空疎なスローガンをがなっているイメージしか湧いてこない。

さて、この両者、立場も価値観も大きく違い、おそらく一緒にされるのは嫌がるだろうが、発想はとても近いものがある。

簡単に言うと、どちらも頭の中に「こうあるべきだ」というひな形があって、現状をよりよく改善するための進歩的視点が欠落している。

今でもたまに保守か、リベラルか?なんて質問をされることもあるが、そんな区切りは前世紀の残骸なので無視して構わない。21世紀世代に必要なのは、ただ改革のみであり、上記のような老人はどちらも単なる守旧派である。

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