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これまでタブー視されてきた「日本核武装論」米国で噴出

【1946年に米軍が行った核実験(写真:時事通信フォト)】

 9月3日の核実験を喧伝する金正恩・朝鮮労働党委員長は、次は水爆を搭載する新型の「ICBM(大陸間弾道ミサイル)」の製造を示唆するなど、挑発をやめる気配はない。

 そんな北朝鮮に対し、ドナルド・トランプ米大統領は、報復措置として経済封鎖による締め付け強化を表明。同時に国家安全保障会議を招集し、国防総省が検討している全ての軍事オプションの説明を受けた。

 米朝の緊張感が増す中、米国の政治・軍事専門家の間では、日本の「核武装」を積極的に容認する声が広がっている。

 米政策研究機関『ブルッキングス研究所』のトーマス・ライト上級研究員は、さまざまなメディアで「北朝鮮が核放棄する見通しがない今、日韓の核武装を容認し、局地的な軍事衝突も辞さない構えで北朝鮮の“封じ込め”を図るべきだ」と主張。

 著名な軍事評論家のアンダース・コー氏は自身のホームページで、「日本が自前の核兵器を持てば全ての民主国家は安全になる。強い日本は中国の膨張も阻止する」と発信し、大手メディアでその論が取り上げられている。

 これまで米国は、周辺のアジア諸国に波及する“核保有ドミノ”を警戒して、日本の核武装を認めなかった。それが、北朝鮮の強硬な態度により有識者たちの考えも変化し始めている。在米ジャーナリストが語る。

「強気の姿勢を崩さない金正恩に対し、米国に広がっているのは“もう北の核開発は止められない”という諦めです。多くの米国民の本音は遠く離れた東アジアのトラブルに米国が巻き込まれるのはゴメンだというもの。ならば日本の核武装を認めることで、戦争抑止や有事の際の介入を最小限にとどめようとの心理が働いているのです」

 仮に米国が日本の核保有を認める方針転換を行なえば、日本の安全保障にとって重大な問題が生じると指摘するのは東京国際大教授の伊豆見元氏である。

「北朝鮮はすでに米国本土に届く弾道ミサイルの完成まで“あと一歩”という段階にまで来ている。となれば、仮に日本が攻撃を受けた場合、米国は自国にも北の報復攻撃が及ぶ危険を冒してまで日本のために反撃するのか。そんな疑念が払拭できない状況にあります」

 つまり北朝鮮の核・ミサイル開発の進展によって、米国の「核の傘」に穴が開く事態も想定されているという。伊豆見氏が続ける。

「私は核武装容認論者ではありませんが、自前の核武装について真剣に議論すべき時期に来ていると考えます。本来なら核を持つコストなど、持つ以前のことを含めた多岐にわたる議論がされてもいいものの、核武装論そのものがタブー視されているため、核保有に関する話はすべてが“空論”となっている。それは健全だとは思えない」

 米国の核の傘が通用せず、北朝鮮の脅威が増す今、タブー視するだけでは進展がない。

 そうした動きが政権与党の中でも出始めている。自民党の石破茂・元幹事長は9月6日に出演したテレビ番組で、非核三原則を念頭に「『持たず、つくらず、持ち込ませず、議論もせず』で本当にいいのか」と述べたうえで、米軍の「核持ち込み」の是非を議論すべきとの考えを示し、非核三原則の見直し議論の必要性に踏み込んだ。

※週刊ポスト2017年9月22日号

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