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「9条があれば戦争にならない」という言葉

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■「ならない」と「できない」の違い

 北朝鮮の地政学的リスクが少しは肌で感じられるようになったせいか、与党批判は少し鳴りを潜め、批判の矛先は野党に向かったかのような気がしないでもない。しかし、それでも未だに「9条があれば戦争にならない」という意見もよく耳にする。

 この「9条があれば戦争にならない」というのは、「施錠しなければ泥棒は入ってこない」という言葉と同じようものだと揶揄されることがある。

 世間一般の常識から考えると「施錠すれば泥棒は入ってこない」が正しいはずなので、「施錠しなければ泥棒は入ってこない」というのはどこかおかしいことになる。

 ○「施錠すれば泥棒は入ってこない」
 ×「施錠しなければ泥棒は入ってこない」

 「鍵をかければ泥棒は入ってこれない」、これは物理的に正しい。では、「9条があれば戦争にならない」はどうだろうか?

 9条というものは物理的なものではなく、観念的なものであるので、目に見えない効力でもない限り機能しない。9条が『般若心経』のような経典であれば何かしらの効力があるかもしれないが、そういうものでもない。

 となると、「9条に戦争を抑止する効力がある」という言葉は、どこから出てきたのか?という疑問が生じる。

 現在の日本国憲法がGHQ製であることは広く知られている。日本の想定外の戦力(士気)に恐れをなした戦勝国側が、2度と日本に戦争を起こさせないようにするために作られたものが、現在の日本国憲法であり、9条はその中心的な役割を持った条文だった。戦勝国側の視点に立てば、「9条があれば戦争にならない」ではなく、「9条があれば戦争できない」というのが、本当の目的だった。

 この「できない」が、いつの間にか「ならない」という言葉に置き換わってしまった。戦勝国側ではなく戦敗国側の視点から見た言葉になってしまった。戦争することを封じるための言葉が、戦争自体が無くなるという言葉に変化してしまったということになる。

 (戦勝国側)「9条があれば戦争できない」
 (戦敗国側)「9条があれば戦争にならない」

 この2つの言葉には、大いなる言葉の歪曲がある。

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