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稼ぐお金はレートが違う?

ちょっとした「定年後」ブームである。文藝春秋10月号は「定年後の常識が変わった」という大特集を組んでいた。大特集のトップは20万部超えのベストセラー「定年後」を書いた楠木新氏の「良い定年後と悪い定年後」だった。

「良い定年後と悪い定年後」の中に次の文章があった。

「副業については、単なる趣味の範囲にとどめないという意味で、お金も大切です」「お金儲けと言えば語弊がありますが、寸志や交通費だけでも、それは、誰かに求められている証拠です」「サラリーマンとしてもらうお金と自分で稼ぐお金はレートが違うという人がいます」

定年後も何か世の中から求められることをして、少しでも報酬を貰うことができればよい、という意見だ。

「稼ぐお金はレートが違う」というのは実感にあう言葉だ。

サラリーマンも会社のためにお金を稼いでいるから給料をもらい、更には給料の後払いとして厚生年金をもらうのでお金を稼いでいることには変わりはない。しかし会社というのは大きな組織なので「稼いでいる」という実感を得ることは少ない。

私の場合ディーラーをやっていたことがある。この時は儲け=売値ー仕入れ値がすぐわかるので儲けた(あるいは損をした)ことがその場でわかった。しかしそのような例は多くはない。多くの場合、販売と製造・管理に分かれるので稼ぎの実感がないのである。

退職後は多くの人の主な収入は年金になる。厚生年金は実は稼いだお金の後払いなのだが、多くの人は楠木氏のように「もらうお金」と考える。それはお金を稼いだ時期ともらう時期がずれているので自分が稼いだお金という実感がわかないからである。また現役時代も前述のように稼ぎの実感を感じる機会が少ないことも原因の一つだろう。

定年後に多少なりとも報酬を得られるような何かをする、ということについては賛成だ。

だが同時にサラリーマン退職者は「もらうお金」=厚生年金や企業年金についてもっと胸を張って良いと私は思う。

なぜならそれは「誰かから貰うお金」ではなく「自分で稼いだお金」だからだ。たとえ「稼いだ」という実感が乏しくてもである。「稼いだお金」という実感が乏しいとすれば、サラリーマン時代の意識や意識付けをおこなってこなかった会社に問題があるといえる。

モノやサービスを販売する立場の人は原価を考え、製造や管理を担当する人は販売価格のことを考え、自分の行動を律していけば「お金を稼ぐ」ということが見えてくるはずだ。つまりトップライン(売上)ではなくボトムライン(利益)を強く意識することで稼ぎが見えるのである。

繰り返しになるが、サラリーマン退職者は稼いだお金として誇りをもって年金を受け取っていけばよいのである。副業につながるような趣味を持っている人は幸いであるが、別にそのような趣味がなくても気にすることはない。

ただ謝礼をもらうかどうかは別として他人から感謝されることを何かしたいという気持ちはある。同期会の幹事のようなことでも良いだろう。それはお金の問題ではなく人とのつながりの問題である。人とのつながりを大事にすることが良い定年の一つの条件であることは間違いない。

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