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量的緩和政策の縮小にも慎重なECB

 9月7日のECB政策理事会では金融政策の現状維持を決定したが、市場が注目していたのは、量的緩和縮小に関するドラギ総裁の会見内容となっていた。

 7日の欧州市場では株式市場は上昇し、ユーロ圏の国債もイタリアやポルトガルなどを中心に買い進まれた。外為市場ではユーロがドルに対して買われユーロドルは1.2ドルを超えてきた。この動きをどう説明したら良いのか、ドラギ総裁の発言内容などから追ってみたい。

 欧州の株式市場はユーロ高などよりも、ECBが2017年の成長率見通しを2.2%と、6月時点の1.9%から上方修正したことを素直に好感したようである。

 ユーロ圏の国債が大きく買われたのは、量的緩和政策の縮小に着手することに関してのドラギ総裁の会見での発言によるものとみられる。結論としては2018年以降の資産買い入れの縮小について予備的な議論を始めたものの、これに関しての発言は極めて慎重となっていた。

 ドラギ総裁は「決定事項は多く、複雑で、向こう数週間、もしくは数か月で現実化する可能性のあるリスクを考慮するため、特定の期日の指定を巡り慎重さが出ている。大方、こうした決定の多くは10月になされる」と発言していた(ロイター)。

 10月に量的緩和政策の縮小に関して議論がスタートされることは市場はかなり織り込んでいたが、積極的に量的緩和縮小に向かって動いているというよりも、極めて緩和的な環境を維持することが重視されている。このあたりFRBの正常化に向けた動きに比べて、かなり慎重になっている。これを受けてユーロ圏の国債が買い進まれたということになろうか。

 ユーロに関してドラギ総裁は、このところの為替相場のボラティリティーは不透明性の要因となっている、といったようにユーロを巡る懸念を繰り返し表明したものの、何かしらの対策を打つことは表明しなかった。そして予定通り10月にも量的緩和政策の縮小に関して議論がスタートするであろうとの見方が、ユーロ買いを誘ったのではないかとみられる。

 量的緩和政策の縮小に関しては正常化に向けた意味合いよりも、ECBにとっては日銀と同様に大規模な買入継続に対する限界が見えてきたことや、各国の財政規律を緩めてしまうとの懸念などがその大きな要因となっている可能性がある。

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