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オタクヤンキー問題 (オタクDQN問題)

 「気弱なオタクをヤンキーがカツアゲする。」 
 「秋葉原のオタク狩り。」

 長年オタクをやっている人なら、こういうフレーズを耳にしたことはあるんじゃないかと思う。少なくとも私は、かなりあちこちで耳にしたことがある。そして、これは都市伝説のたぐいでは決してなく、実際に知人が被害に遭って金品を奪われたという話に出くわしたこともある。

 良くも悪くも、かつてのオタクには恐喝や暴力沙汰にはあまり強くない、どちらかといえばヤンキーのカツアゲ対象になりやすそうなイメージが強かったと記憶している。犯罪者予備軍のような偏見の目でみられていた90年代も、実物のオタクは、よく言えば折り目正しい、悪く言えばチキンハートな、暴力や恐喝とは縁のない人達でほとんどが占められていた。少なくとも、暴力や恐喝で問題解決したがるような人に遭遇することは、かなり稀だった。

 だから、【ヤンキー(DQN)とオタク】というと、一般的には、オタクが抑圧される側で、ヤンキーが抑圧する側、という図式は、たいていの場合は間違っていなかったと思うし、オタク側がヤンキーな人と極力距離をとりたがることが多かった。幸い、住んでいる文化圏も愛好する趣味もずれていたので、オタクはヤンキーとの頻繁な接触を避けることもできていた。
 
 でも、最近どうなんだろう。
・オタクなあなたの周りに、暴力や恐喝で問題を解決したがるような人、見かけませんか?

・オタク系イベントに出かけたのに、まるでヤンキーやDQNみたいな威圧でねじ伏せられたこと、ありませんか?

 オタク文化圏の内側と呼んで良いような、同人系イベントやオタク系オフ会のはずなのに、昔はあまりいなかったような、ヤンキー文化圏っぽい振る舞いの人に遭遇して戸惑ったことは無いだろうか。

 たとえるなら、オタクヤンキー(オタクDQN)とでも表現すればいいのか、オタク文化圏のイベントやオタク系ショップのはずなのに、ファッションやコミュニケーションの様式が旧来のオタク文化圏のソレとは明らかに異なった、暴力や威圧や目線で“交渉”することも知っている人達に出くわす機会が、ちょっとずつ、増えてきているように感じられないだろうか。

 こうした、オタク文化圏とヤンキー文化圏とが融合したハイブリッドな人種は、両者の交差点ともいうべきゲーセンでなら、以前から見かけないことはなかった。けれどもこの場合も、オタクヤンキーというよりヤンキーゲーマーという表現のほうがしっくり来るような、エロゲーだのコスプレだのとは縁の無い人達が大半で、満足げにタバコを吸いながらバーチャファイターや鉄拳をやっているような、そういう人種がゲーセンの風景のひとつにもなっていたわけだ。

 ところが、2000年ごろから僅かずつ観測されるようになり、近年まちがいなく観測頻度が高くなっているのは、ゲーセンではなくオタク文化圏のかなり深い場所にも出没する、オタクヤンキーな人達だ。

 このようなオタクとヤンキーのハイブリッドのような人達には、旧来のオタクっぽい問題解決方法 (あるいは生徒会的問題解決方法、とでも言うべきか) が通用するとは限らない。このため、たった一人のオタクヤンキーの侵入によってさえも、オタクコミュニティ内の人間力学が大きな影響を蒙ることがある。オタクヤンキーの多くは、睨み合いで先に目を逸らせるような人間の言う事をすんなり聞いてくれる人達ではないので、オタク的知識の多寡や既存の秩序 (ああ、なんと生徒会的な響きだろう!) でどうにかできる相手とはなりえない。歴史のあるオタクコミュニティであれば、こうしたオタクヤンキー的な人物と上手に付き合ったり、コミュニティに迎え入れたりする方法を知った人物が混じっている場合もあるけれども、そうでない場合、かなりややこしいコンフリクトに発展する場合もある。 

 
オタクヤンキーは、オタク界のブラックバスか?新たな友人か?

 もともと、オタク文化圏とヤンキー文化圏は隣同士というか、どちらもロードサイドを住まいにしたニッチなわけで、オタク文化圏の境目が曖昧になり敷居が下がってくれば、両方のハイブリッドが現れてくるのは必然だったに違いない。

 けれども、オタクヤンキーと旧来の“良い子”なオタクでは、ブラックバスと在来魚ぐらい、コミュニケーションのプロトコルに違いがあるわけで、旧来の“良い子”なオタク達が、オタクヤンキーとうまく馴染んでいけるのかは、まだ未知数だ。とはいえ、こうしたコミュニケーション上の調整や対応は、今後も必要になってくる可能性が高く、“オタクだからコミュニケーション問題は不問にできる”という発想は、こうした方面でも限界にさしかかっているとみておいたほうが無難だろう。

 オタクヤンキーとの上手な付き合い方をどうするのか。

 これも、煎じ詰めればオタクにとってのコミュニケーションをどうしていくかという問題に他ならず、界隈の内側にいれば長年無視できていた問題が、ついに目の前に現れはじめた、ということでもある。面倒がる人もいるかもしれないが、これも、時代の流れということなのだろう。

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