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特別養子縁組や社会的孤立。子どもたちを取り巻く制度や社会問題のリアルを伝えることで人々の理解を少しでも深められたら - 「賢人論。」第44回望月優大氏(中編)

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スマートニュース株式会社の望月優大氏を迎えた「賢人論。」。前編「生存という重力からの逃れ方に個人や企業の人格が現れる。自分自身のキャリアを通じてそのトライを何度も続けている」で、社会課題に取り組んでいくことの意義と“楽しさ”を氏は語った。中編では、自身がリーダーを務めるNPO支援事業「SmartNews ATLAS Program」(ATLAS)の理念と取り組みを語った。

取材・文/佐藤 舜(編集部) 撮影/公家勇人

NPOの情報発信を支援する取り組み「ATLAS」

みんなの介護 「スマートニュース」が提供しているNPO支援事業「SmartNews ATLAS Program」は望月さんが発案されたそうですね。

望月 入社した直後、創業者の鈴木と浜本に「入社して何かやってみたいことはある?」と聞かれ、提案しました。「ATLAS(アトラス)」では、主に子どもたちなど社会的に弱い立場にいる人たちを支援しているNPOに対して、SmartNewsの広告枠を無償で提供しています。彼らの情報発信を支援すると同時に、社会問題の存在や現状についてSmartNewsの読者に知ってもらう。この2つが、「ATLAS」の目的になっています。

みんなの介護 具体的にはどのような支援をなさっているんですか?

望月 つい先日終了したプログラムの第2期では、「PIECES」と「フローレンス」という2つのNPO団体を支援させていただきました。PIECESは、一般の学生や社会人を「コミュニティユースワーカー」という専門的なスキルを持った人材としてトレーニングし、家庭や学校、地域で孤立している子どもたちとの関係性構築に取り組んでいます。

フローレンスは様々な事業を展開するNPOなのですが、今回の取り組みでは、新規事業である「赤ちゃん縁組事業」の情報発信を支援しました。予期せぬ妊娠や望まない妊娠などさまざまな事情で、実親が生まれた赤ちゃんを育てることが難しいケースがあります。その一方で、日本では晩婚化が進み、不妊治療にたくさんのお金をかけている夫婦が多くいる。

「特別養子縁組」という制度をうまく活用し、両者を丁寧にマッチングすることができれば、実親、養親、そして何より子どもたちにとってより良い結果につながるのではないか。この仕組みの可能性に対する理解の拡大を目指し、情報発信を支援しました。

みんなの介護 養子縁組という仕組みは、日本ではまだあまり盛んでない気がしますね。

望月 世界には、赤ちゃん縁組が普通に行われている国もたくさんあるのですが、日本はまだ養子縁組に対する偏見が強く残っているかもしれません。そしてフローレンスの活動は、その偏見を乗り越えようとしているのだと思います。養子として育てられた子どもを見て「かわいそうなのではないか」と思い込む必要はないし、夫婦として「養子をとる」という選択肢が普通に考えられる状況にまで持っていきたい、という彼らの思いに共感しました。

今のところ特別養子縁組は、不妊治療を最後まで頑張った後の次の選択肢として考えられる方が少しいるという状況のようです。ところが特別養子縁組自体にも年齢制限が設けられていることが多く、それについてももっと知られる必要があると思います。さまざまな選択肢があるということは、人生の早いタイミングから知っていて良いことだと思います。

こうしたNPO団体の情報発信をサポートするために、外部のさまざまな方と協力しながら、インタビュー記事やマンガコンテンツなど、伝えるためのさまざまな方法を模索しています。つくったコンテンツはSmartNewsアプリ上の広告枠を通じて多くの人に配信しています。


誰もが使っているニュースアプリだからこそできることがある

みんなの介護 世間の「空気」を変えていくことは、ニュースアプリだからこそできる重要な役割ですね。

望月 実際に養子として育てられた方のインタビューや、養子をもらった親御さんのインタビューなど、リアルな声を届けるようなコンテンツもありました。伝えたいのは、「養子をとる」という体験や「養子として育つ」という体験のリアルです。養子を受け入れるのは本当に子どもを欲しがっていた方たちなので、その他の家庭と比較して、子どもがより幸せに育てられるケースが多いとさえ言われているんですよね。

また、娘や息子が養子をとることに親世代が反対するというケースもあるいはあるでしょうから、若い世代以外も含め、全体的に認識が変わっていけばいいなと思います。年代問わず誰もが使ってくださっているニュースアプリだからこそ、力を発揮できる部分もあるのではないでしょうか。

みんなの介護 「ATLAS」は収益を目的にしていないそうですね。

望月 はい。「ATLAS」は収益を挙げるために行っている事業ではありません。NPOの情報発信を支援することで、スマートニュースとしてコミットしたい価値観や、社会の中でこういう存在でありたいという絵姿を表明することを大切にしています。前編「生存という重力からの逃れ方に個人や企業の人格が現れる。自分自身のキャリアを通じてそのトライを何度も続けている」でも話した、スマートニュースという企業の「人格」にあたる部分ですね。

個人が持っている趣味やこだわりと同じで、「なぜこの人はこんなものにこだわるんだろう」という部分がその人の面白さや個性を形づくると考えています。最近新しく入った社員たちに聞くと、「ATLAS」の存在がスマートニュースを就職先として選ぶ理由のひとつになっている、ということもあるようなんです。

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