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「103万円の壁」消滅後のパートの目安額

■実際の法律の施行は18年から

2016年12月、パート主婦の給与の「103万円の壁」がなくなると報じられた。夫が所得税の配偶者控除を受けられる妻の給与収入の上限が、150万円に引き上げられる。実際の法律の施行は18年からだが、この改正はパート主婦の働き方にどのような影響をもたらすのか。

実質的な影響はあまりない、というのがその答えになる。大手スーパーなどの大企業で働いている場合に勤務先の社会保険への加入義務が生じる「106万円の壁」、それ以外の場合でも社会保険への加入義務が生じる「130万円の壁」が存在するからだ。

「壁」を超えると、しばらくは税金と社会保険の負担額がパート収入の増額分を上回り、世帯の手取り収入は減少する。損益分岐点を見てみよう。

夫の年収を仮に700万円とした場合、「106万円の壁」ならパート収入125万円、「130万円の壁」の場合は、150万円程度(勤務先で社会保険に加入する場合)、もしくは170万円(勤務先で社会保険に加入できず個人で加入する場合、社会保険料は自治体により異なる)が損益分岐点となる。

多くのパートは「働き損」を嫌がり、「壁」の額以上に年収を増やさないよう工夫する。年末になると仕事を休むパートが続出する現象は、雇用側にとっては頭痛の種だが、パート自身にとっては「やむをえない選択」というわけだ。

■「第3号被保険者」はいずれ廃止か

とはいえ、その選択は本当に合理的なのか。短期的には確かに「働き損」となるかもしれないが、長期的な家計プランを考えれば、本来妻のパート収入は多ければ多いほどいいはずだ。子育てが一段落し、時間に余裕ができたタイミングで、むしろパート収入を増やし、子供の進学費用や夫婦の老後資金を積み立てていくことが望ましい。短期的な損得でなく戦略的な観点で、妻のパート労働を捉え直してみてはどうだろう。

パート収入を増やす方法は、働く時間の延長だけではない。友人の例では、パート先で新しい仕事を担当することを条件に、時給を上げてもらえたこともあった。近所の職場から、たとえ交通費がかかってもより待遇のいい職場に移る、簿記やパソコンなどの資格を取るなど、時給を上げる方法はほかにもいくらでもある。

スキルに自信のない場合は、大手の派遣会社で人材登録をしてみるのも1つの手だ。そうした会社は登録スタッフ向けに、パソコンや英語、ビジネス関連のスキルを学べる講座を、比較的安い受講料で提供している。そこで自分に投資すれば、自分自身の人材価値をアップできる。

■パート計画の立案には夫も参加を

所得税の配偶者控除や年金の「第3号被保険者(※)」はいずれ廃止される可能性は大きい。「壁」がなくなると、もっと働きたいパート主婦が増えるだろう。そのとき、以前から働き続けてスキルや経験、職場での信頼を積み上げてきた「スーパーパート主婦」は、優位なスタートラインに立てるはずだ。

こうした戦略的なパート計画の立案には、夫もぜひ参加してほしい。社会の流れやビジネスの常識、雇う側の論理(たとえば、年末になってもパートを休まないような人を長期的には評価する)など、ビジネスパーソンならではの視点を持ち込んでほしいのだ。もちろん、上から目線でアドバイスを押し付けないなど、夫婦の会話の鉄則は守ること。まずは妻の話にしっかり耳を傾けよう。

互いの知恵や情報を共有しながら、世帯収入アップの計画を夫婦で立ててみよう。

※会社員や公務員に扶養されている配偶者で、個別に保険料を納める必要はない。

(ファイナンシャルプランナー 深田 晶恵 構成=川口昌人)

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