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部下や子どもを「指示待ち族」にしないために - 小川大介

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(iStock/RomoloTavani)

 こんにちは、小川大介です。今回もビジネススキルを活かした子育てをお話ししていきたいと思います。

 いきなりですが質問です。

「それぐらい自分で考えてよ」
「ちょっと考えたらおかしいって分かるはずでしょう」
「自分の意見はないの?」

 このうちのどれかの会話を、口に出したり、心の中で思ったりしたことは最近1カ月のうちで何回ぐらいありましたか?

 子育ての場面、部下や後輩と接する場面を思い出していただいて、さてどうでしょう。

 何回ぐらいあったでしょうか。

 全くないという方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は少なからず使っているのではないでしょうか。特に子どもに対しては、口ぐせのように使っている方もいるような気がします。

 考える力を伸ばそう、論理的思考力を鍛えることが大切だと言われるようになってずいぶん経ちます。

 2020年から始まるいわゆる大学入試改革でも、「判断力」「表現力」と共に「思考力」を重視することが明言されています。

 考える力を伸ばしていかなきゃという思いが先に立って、つい「自分で考えなさい!」と求めてしまう親の気持ちは私もとてもよく分かります。

「考える」ってどうすること?

 では、考える力はどう伸ばせばいいのでしょうか。考えるとはどうすることなのでしょうか。具体的な手立てが分からないままに、「自分で考えなさい!」と言うばかりでは、言われた方も困ってしまいます。

母「もっと考えなさい!」
子「十分考えたよ!」
母「あんなの考えたうちに入らないでしょ。ぼーっと眺めていただけじゃない」
子「もう無理。分かんない!」

 私が学習相談に乗らせていただくご家庭の8割以上で、こんな親子のぶつかり合いが日常的に発生しています。子どもたちも、頭を使うことが嫌というわけでは決してないのです。「考える」ということのやり方さえ分かれば、がんばってみようと思っている子の方が多いのです。

 ただ、どうすれば「考えた」ことになるのかが分からない。それで、とにかく頭がしんどくなればいいのかなと思って子どもなりにう~んとうなって、でも何も前に進まないまま時間が経っていく。

 進まないから叱られる、あれこれ指図されるから、嫌な気分が募る。

 こうやって、「考えるのが嫌い」「考えたってどうせ無理」という思いが作りあげられるのです。

 この負のサイクルは子どもだけではありませんね。

 上司から「指示待ち族」と揶揄される人も、自分で考えることを求められていることは分かるけれど、どうすればいいのか分からないために「正解」を欲しがって、ますます評価を下げるというサイクルに入っているのだと思います。

 ですから今回は、親や上司の立場の方々に、「考える」とはどういうことなのかを具体的に説明できるようになっていただきたいと思っています。さらに、考える力を伸ばすためのポイントもお話しします。

「目的」や「目標」が先にないといけない

 さてここまでお話ししてくる中で、私は、「考える」という言葉と「思う」「感じる」という言葉を区別して使ってきました。

 これらの言葉はいずれも心の働きに使われますが、どんな違いがあるか説明できますか?

 「考える」とは、「知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせること。」と辞書にあります。

 「思う」は、「ある物事について考えを持つ、感じる、心を働かせること。」

 「感じる」は、「心を動かされる、ある種の気持ちを持つこと。」です。

 いずれも頭や心を使うという点では共通するのですが、「考える」が他の二つと異なっている点がありますね。「知識や経験などに基づいて」「筋道を立てて」という部分です。

 つまり「考える」とは、

 何もないところから新しい何かをぱっと生み出すことでもなく、

 取り留めなく思いを巡らせることでもないのです。

 筋道を立てて頭を働かせるのですから、どちらの方向に向けて考えを進めていくのかという、「目的」や「目標」が先にないといけません。

 そんなの当たり前じゃないかと思った方、だからこそ、この「目的や目標が先にある」ということがポイントになります。考えることが苦手な人の大半は、何を目指して考えようとしているのか分かっていないまま頭を使おうとしているという間違いを犯しているからです。

「対象」「目標」「材料」の問いかけを

 受験指導でも、企業の人材育成コンサルティングをさせていただく時も、私は決まった問いかけを行います。

1.いま何について考えたいですか?(何が問題ですか?)【対象】
2.どうなることが目標ですか?(どうなればいいですか?)【目標】
3.いま分かっていることは何ですか?(使える知識や情報には何がありますか?)【材料】

 この3つを、この順番で問いかけます。

 例えば「もっといい方法がないか考えてこい!」と上司から言われて、慌てて「何か」を考えつこうとしている人がいるとします。頭に血を昇らせるように、力を入れて、何かが思いつかないかと一生懸命になっています。

 この人に、「いま何について考えたいのですか?」と問いかけると、そういえば何についての「いい方法」だったっけ? と改めて振り返ることができます。一歩引いて冷静になる感覚です。

 少し冷静になった彼の口から、「新商品をお得意様にどう提案すればいいか、ということについてです。」と【対象】が整理されて出てきました。

 次に「ではどうなることが目標ですか?」と問いかけます。

 まだ焦りの抜けない彼は、一拍も置かずに「いい方法を見つけることです」と答えてしまうかもしれません。残念ながらこれでは筋道立てて考えていくことは、難しいですね。なぜなら、目標は具体的なものでなければ目指すことができないからです。向かう方向がぼんやりとしていると、頭が上手く働いてくれないのです。

 ですから「いまの場合だと、どんな結果につながるのが『いい方法』ですか?」と具体化の質問を重ねて、目標をよりはっきりとさせていきます。

 すると、「お客様が『まさにいま欲しかった商品だよ』と言い値で購入してくださるような、お伝えの仕方です」という答えが返ってきました。

 【目標】が見えてきました。

 最後に「お客様が『まさにいま欲しかった商品だよ』と、欲しいと思っていただけるような伝え方を見つける上で、お持ちの情報のうちで役に立ちそうなことには何がありますか?」と問いかけます。

 「考える」とは、「知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせること。」でした。

 頭を働かせる【材料】となる「知識や経験」には何があるのか、意識するための問いです。

 彼はしばらく思いめぐらせた後、「ベテランの職人さんが定年間近になっていること」「思うように新規採用ができていないと聞いていること」「取引先の業績好調で受注増が続いていること」などを挙げてきました。

 ここまで分かれば、いよいよ目標に向けて考えていきます。

 何をするのかといえば、今あるものを組み合わせ、関係づけていくのです。

 「筋道立てて頭を働かせる」とは、どこかにある「正解」を探しに行くことではなく、今あるものを組み合わせるとこういうことが判断できそうだなと、頭を働かせていくことです。

 また、すでにあるものを見て、この状態になるにはその前にこんなことが起きていたのだろうな、とさかのぼって判断することも含みます。

 先に進むか、前に戻るかの違いで、頭の使い方としては同じことです。

 これが、「考える」ということです。

 受験生にとっての「考える」も同じです。

「どんな問題を解こうとしているの?」【対象】
「何が聞かれているの?」【目標】
「どんな知識が使えそう? いま分かっていることは何?」【材料】

 この3つの問いかけを経て、材料を組み合わせながら、分かることを順に見つけていきます。

 考えるとはどうすることなのかを説明するには、【対象】【目標】【材料】を明らかにする3つの問いかけと、「考えるとは材料を関係づけていくことだ」ということを示してあげればいいというわけです。

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