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若者は「インターホン恐怖症」、その理由とは

 米カリフォルニア大学バークレー校でコンピューターサイエンスを学ぶチャナン・ワリアさん(19)は、最後にインターホンを使った時のことや玄関のドアをノックした時の状況を思い出せない。

 自宅には、父親がWi-Fi(ワイファイ)接続のしゃれたインターホンをつけた。だがワリアさんは、インターホンを鳴らすこと自体が苦手だと話す。自分も友達も相手の家に着いた時にテキストメッセージを送ることに慣れすぎており、インターホンの音は不意打ちのように感じられるのだ。

 20歳以下の若者について調査・分析するゼブラ・インテリジェンスの創業者、ティファニー・ゾング氏(20)は「インターホンは突然すぎる。恐ろしい」と話す。

 「インターホン恐怖症」は、調査論文こそ発表されていないが、実際にある。あるツイッターユーザーが今月行ったアンケートでは、1万1000件を超える回答のうちインターホンは怖いとの回答が54%に上った。

ティファニー・ゾング氏

ティファニー・ゾング氏 Photo: Jason Henry for The Wall Street Journal

 ミレニアル世代とそれに続くZ世代には、監視カメラでチェックせずにインターホンに出ることなど考えもしないとの声もある。

 インターホン恐怖症は、直接ではなくスマートフォンなどのIT機器を介したコミュニケーションが優勢となっている時代を反映している。

 ゾング氏は「通常、インターホンはよその人向けの物だ」と話す。「テキストは、相手が友人であることを意味する」という。

 ほぼ全員がスマホを保有している世代では、他の手段がある時でも主にモバイル端末を使うコミュニケーションが始まっている。

 ピュー・リサーチ・センターによれば、米国でスマホ保有率が最も高いのは18~29歳の層で、実に92%に上る。この比率は、65歳以上では42%にとどまる。

 最新のアプリやサービスには端末を介したコミュニケーションに関連した物が多い。ウーバー・テクノロジーズでの配車依頼やグラブハブでの出前注文、マッチ・グループ傘下の出会い系アプリ、ティンダーがその例だ。

 電話をかける行為は社会全般で減っているが、特にカスタマーサービスで減少が著しい。コンサルティング会社デジタル・データが80カ国の1351企業を調査したところ、カスタマーサービスの電話対応件数は2015年から今年にかけて17%減少した。

 通話が減った分、増えているのはチャットやロボットによる対応、セルフサービスの利用だ。デジタル・データによると、企業の顧客対応全体に占める人間の割合は、現在わずか54%だ。

 コミュニケーションの変化は、米国で誰よりも多くインターホンを鳴らすユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)に影響を及ぼしている。UPSは依然、配達先にインターホンがある場合は鳴らすようドライバーに指示している。だがドライバーは受領のサインが必要ない限り、返事を待たない。

 UPSは、配送中の荷物について、顧客に電子メールやテキストメッセージを発信するサービスも提供している。顧客は配達トラックの場所まで追跡できる。

 一方、グラブハブの広報担当者によると、09年のオンラインサービス開始以来、顧客はインターホンを鳴らしてもらう代わりにテキストメッセージを受け取ることを選べる。

 インターホンを避けるのは単に必要ないからだと話す若者もいる。南カリフォルニア大学の学生は「骨董(こっとう)品のようだ。ドアをノックするのは大昔の話で、同年代の人間は経験したことがない」と述べた。

 インターホンが消えようとしているわけではない。全米住宅建築業協会(NAHB)によれば、インターホンがない新築住宅が建設されている兆候はなく、インターホンは地元の建築基準法で義務付けられていることも多い。

 ただ、スーパーのレジや銀行窓口と同様、インターホンも変化を強いられている。

 ワイファイ接続のカメラ付きインターホンを生産するリング社の創業者ジェームズ・シミノフ最高経営責任者(CEO)は、同社の主な狙いについて、玄関で訪問者と実際に目を合わせることなく双方向コミュニケーションする手段を提供することだと語る。

 そうした発明は若者の直接のやり取りをさらに減らす可能性があると、サンディエゴ州立大学のジーン・トウェンジ教授(心理学)は話す。「電子的なコミュニケーションは結びついているという感覚を持てる。しかし、それは親近感やメンタルヘルスの面で直接のやり取りとは違う」という。トウェンジ氏は自著で、スマホが若者の不安感まん延を助長している可能性について記している。

 ワリアさんは、自分や友達がインターホンを鳴らさないのは、相手の親が出る可能性があるためでもあると話す。他の若者は、インターホンは効率が悪いと話す。

 あるフリーランスライターは「どこにでもスマホを持ち歩く」時代だと述べ、「スマホは基本的に大人のテディーベアだ。私自身は枕の下にスマホを置いて寝ている。最大限利用しようとしたら、それが理にかなっている」という。

By Christopher Mims

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