記事

「人肉を食べるのに飽き飽きした」 男が警察に自首

8月18日(金)夕方6時ごろ、クワルズナタール州エスコート警察署にひとりの男がやってきた。吐き気がするような臭いをプンプンさせて。(エスコートはダーバンの北西175キロに位置する町。)

男は地元住民のニコ・ムバタ(Nico Mbatha)。「人肉を食べるのに飽き飽きした」という。

半信半疑の警官たちの前で、ムバタは手に持っていた袋を開けた。中には人間の手と足! 悪臭はここから発していたのだ。その場から思わず逃げ出した警官たちもいたという。

人肉を食べることを強要されるのにうんざりしている。なんとか抜け出したいから、警察に通報しに来た」というムバタ。「被害者をレイプし、殺してから食べた」と主張する。

エスコート警察署

ムバタが警察官たちを連れて行った家では、鍋の中に入った耳が8つ見つかった。少なくとも4人が食べられてしまった計算になる。

ムバタの自供により、3人が土曜日に、もう1人が翌週水曜日に逮捕された。いずれも30代前半の若者だ。容疑者は増える可能性があるらしい。

鍋入り耳が見つかった家

8月23日(月)、エスコート(Estcourt)の西35キロの村シャヤモヤ(Shayamoya)に住むノジポ・フラチュワヨ(Nozipho Hlatshwayo)さんは、この事件で4人が逮捕されエスコート地方裁判所に出頭したことを耳にし、嫌な予感がした。従妹のザネレ(Zanele)さんの身が心配になったのだ。

容疑者4人が出廷したエスコート地方裁判所の前に集まった地元住民

一緒に暮らす25歳のザネレさんが、ピーターマリッツバーグ(Pietermaritzburg)の祖母に会いに行くと言って家を出たのは7月25日。「無事到着した」という連絡どころか、一か月近く何の音沙汰もない。それでもザネレさんの家族は、のんびりした家風なのか、この日まであまり心配していなかったのだが、ノジポさんはなんだか気になってピーターマリッツバーグに電話してみた。「こっちには来てない」という返事。背筋が凍る。

ノジポさん

「すぐ警察に行くと、ザネレが家を出たときの服装を聞かれました。私とザネレはとても仲が良く、その日に履いていたパンティの色まで知っていました。黒いレギングとシャツを身に着け、ジーンズを詰めたバッグを持っていたことを告げると、警察官は私たちに待つよう言いました。」

警察官は失踪当日ザネレが着ていた服を持って戻って来る。血に染まった服・・・。

頭と腕が切り取られ、ずたずたに切り刻まれた死体が草むらで見つかったという。

そういえば、出発前ザネレは、最近この地域で失踪が増加していることを心配していた・・・というノジポさん。


ザネレさん
 2歳の息子が遺児となった

容疑者はいずれも地元の住民。警察が家族に話を聞いたところ、家族たちは殺人について知っていると告白した。容疑者5人のうち2人はサンゴマ、つまり伝統的祈祷師という。サンゴマが人体の一部をまじないに使うことは珍しくない。その「材料」を求めての殺人は「ムーティ・キリング」(muti killing)と呼ばれる。(ムーティとは、伝統的祈祷師が調合する薬のこと。)

しかし、「カニバリズム」(cannibalism)、即ち、「宗教的・魔術的儀式として、望む力の存する人肉の一部を食する風習」は、南アフリカの伝統にはないはず。。。

伝統的祈祷師の全国団体「Council of Traditional Healers of South Africa」のサジ・ジェリコ・ムフロンゴ(Sazi Jericko Mhlongo)さん曰く、「手っ取り早く儲けようという欲望が、人体部分を得るための殺人を煽っている。金への愛は際限がなく危険だ。おかげで、私たちの職業の評判が落ちている」「しかし、人肉を食することは許されない。タブーなのだ。人肉で病気を治すことはできない」。

では、5人は何のために人肉を食べたのか。

ムバタが住むエシゴドルウェニ(Esigodlweni)地区では、8月21日(月)に住民集会が開かれた。それに出席したエスコート市長ジャブ・ムベレ(Jabu Mbhele)さんは語る。

「集会の席で、おぞましい、胸が悪くなるような活動について知りました。容疑者たちは、人間の心臓を生で食べると、勇敢で大胆不敵になれると言っていたそうです。」

エスコート周辺では少なくとも過去5年間、ある日突然住民が蒸発するケースが続出している。住民のサベルウェ・マジブコ(Sabelwe Mazibuko)さんは「住民の連続蒸発事件に光があたり、警察が真剣に受け止めてくれることを望んでいる」という。

小さい町で5年間も住民の蒸発事件が多発しているというのに、犯人が証拠持参で自首するまで、警察が「真剣に」受け止めないなんて、なんだか南アフリカっぽい。あまり驚きもしない。この事件がThe Timesで初めて報道されたときは、「村の鍋で人間の耳が8つ見つかる」という衝撃的な見出しにも関わらず、第5面の小さな記事だった。

こんなおぞましい事件が新聞の片隅の小さい記事にしかならず、むごたらしいことが多すぎて感覚がマヒしている読者は驚きもしない・・・。こんな社会、何かおかしいぞ。

因みに、南アフリカでは人肉を食べることは犯罪ではない。ムバタたちは殺人及び許可なしに人体の一部を所有していた容疑で起訴されることになる。

しかし、この事件、どこまで被害者、加害者の輪が広がるのだろう。。。

【参考資料】
"Eight human ears found in pot in village" The Times (2017年8月22日)
"Mon's terrifying fear: They ate out daughter" TimesLIVE (2017年8月24日)
"More arrests expected in grisly 'cannibal' case" TimeLIVE(2017年8月27日)
"Dark secrets of poor villagers 'tired of eating human flesh'"TimeLIVE (2017年8月27日)など

あわせて読みたい

「南アフリカ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    貴乃花が協会改革に診断書利用か

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    素人の妊娠中武勇伝は命に関わる

    Chikirin

  3. 3

    朝日新聞の民進分裂検証が衝撃的

    天木直人

  4. 4

    安倍首相の外交 海外から揶揄

    秋原葉月

  5. 5

    希望の党 変調の陰にいた人物は

    早川忠孝

  6. 6

    古谷経衡氏が音喜多氏を痛烈批判

    AbemaTIMES

  7. 7

    貧困状態の子 学力が小4から低下

    日本財団

  8. 8

    日本のキャッシュレス化遅い理由

    AbemaTIMES

  9. 9

    内定辞退に学生「選択肢ある」

    AbemaTIMES

  10. 10

    日馬事件 秘密裏に示談交渉か

    NEWSポストセブン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。