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物価が上がらないことで見えなくさせているリスク

 25日に発表された7月の全国消費者物価指数は総合で前年同月比プラス0.4%となり、日銀の物価目標である生鮮食品を除く総合は同プラス0.5%となり、6月のプラス0.4%からプラス幅を拡大させた。生鮮食品及びエネルギーを除く総合は同プラス0.1%に止まった。

 電気代,都市ガス代などの上昇幅が拡大し,エネルギーにより総合の上昇幅が拡大した格好となった。下押し要因としては携帯電話機があるが、25日の日経新聞によると2018年1月分からは格安スマホの料金も反映されるそうである。

 6月に比べて前年比のプラス幅は拡大したが、それでもプラス0.5%に止まる。日銀は物価目標に達成できなかった理由として原油価格の下落も挙げていたが、その原油価格を加味しなければ前年比プラス0.1%となってしまうことにもなる。

 民進党代表選に立候補した前原誠司元外相と枝野幸男前幹事長が日銀の2%の物価目標の見直しを提案しているそうである。「物価目標2%を中長期の目標に変えて、当面は1%を目指すことが現実的ではないか」と前原氏は23日のラジオ番組で述べたとか。

 日銀の物価目標は現在でも、あくまで中長期の目標であり、それを変えることに意味はあるのかとのご意見もあるかもしれない。1%が適切なのかどうかはさておき、いま必要なのは、2%に縛られ自由度を失っている日銀の金融政策に対し、その縛りを緩め、出口政策を取りやすくさせることだと思う。

 金融政策が能動的に物価を動かせるのかという根本的な疑問はあるものの、とりあえずそれは置いといて、金融政策が物価に働きかけるという前提でも、日銀に金融政策の裁量の自由を与える必要がある。それでなくても、物価目標が達成できないからとして、量をさらに拡大し、マイナス金利を導入し、長期金利までコントロール下に置こうとした。しかし、それらの手段でも物価が動くわけではなく、国債市場を機能不全にし、長期金利を押さえつけることで日本の債務リスクを見えなくさせるなどの弊害も生んでいる。

 いまのところ市場はおとなしくしているが、何かのきっかけで暴れる懸念もないわけではない。もし今後物価が上がれば上がったで、それに連動し長期金利も上昇するとなれば、債券市場の現場にいる人達の多くにとっては金利が上昇するという未体験の事態が生じることになる。それ以上に過去の金利がつく世界を知っている我々世代でも、ここまで膨らんだ国債残高の上での金利上昇は未体験ゾーンである。つまり長期金利は上昇するとどのような事態が起きるのかはかなり不透明であり、この物価上昇力の鈍い環境はそのようなリスクを覆い隠していることになる。

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