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2015年相続税改正で露呈した問題

税の徴収と民との戦いは洋の東西を問わず、延々と続くバトルであります。日本でもかつて農民の石高から巻き上げ、農民一揆が何度となく起きています。また、税の配分という意味では歳出削減案がもたらす国民からの総スカンも相変わらずであります。

昭和初期の浜口雄幸首相/井上準之助大蔵大臣の引き起こした問題が日本では有名ですが、ごく最近ではフランスのマクロン大統領の歳出削減案が大不評でひんしゅくを買っており、支持率は直線で下降しています。

日本の場合、税が直接的に影響するのは消費税、所得税、及び相続税でしょうか?消費税や所得税は比較的多くの方が影響を受けるのに対して相続税は「金持ちの税金」という冷ややかな目線があったと思います。

しかし、今の相続税の控除額は基礎が3000万円、子一人当たり600万円しかありません。申し訳ありませんが、たったの3600万円と申し上げます。昭和の時代ならともかく今時これぐらいの資産を持っている人はごまんといるはずです。一説には東京都だけで25%の人が引っかかる、とされますが、一人っ子が増えている昨今、私はそんなものではないと思っています。

相続税=不動産と考える方が多いと思いますが、現金、生命保険、有価証券、その他価値あるものに不動産が加わるのです。確かに不動産はその価値の圧縮方法がいろいろありますが、それ以外は圧縮しにくいものが多いのが実情です。多くの「相続税指南書」がその点に触れていないのは指南しようがないからともいえるでしょう。税務署はウハウハ状態のはずです。

そこで鎌倉時代から延々と続くお代官様との戦いが今日も繰り広げられるわけです。そして現代の対策は「現金は隠してしまえ」であります。現金は名前がありません。所有者が誰なのか、特定するのは一般的には難しいでしょう。(銀行口座から足がつくことはありますが。)

つい2、3週間ほど前のブログで「1万円札廃止論」を書かせて頂きました。その後、日経新聞の8月16日付「迫真」に「動かぬ個人資産1800兆円(3)金庫はどんどん大型に」という記事がありました。思わず笑ってしまったのが最近は4億円以上の現金が入る50リットルタイプの金庫が人気だとか。

正直申し上げると税務署が本気を出せば金庫の中の現金はいくらでも脱税でつかまえる方法があるはずです。やるかやらないかは別ですが、多分、そのうち見せしめのようなものすごいバトルをすると思います。基本は簡単です。税務署が相続税を申告したお宅に出向き、金庫を見つけます。内偵の上で、強制捜査なら開けろ、と言えるでしょう。

そこに札束がごっそり入っていた場合、「どなたのものでしょうか?」といえば終わりです。仮に相続した人が「私のです。」といえば「あなた、これだけの預貯金ができるほどの収入がかつてありませんでしたね」と追及されて終わります。数百万円ならわかりませんが、億単位ならまず足はつくものです。

もう一つは本当に「1万円札を止める」とか「チップ機能が付いた新一万円札に交換する」といえば一発です。チップ機能とは今はやりのビットコインと同じ機能を札のチップに埋め込み、前の人の履歴がないと1万円として機能させられないようにすればよいだけです。こんな新札はやる気があれば日本なら作れるでしょう。

つまり、この勝負、どうやっても税務署が有利に決まっているのですが、国民のささやかな抵抗は次にデモや選挙などを通じてボイスとして出てくるようになるのかもしれません。

では、お前は税務署の味方か、といえばとんでもありません。2015年の相続税改革は世にもまれな改悪であったと考えております。これぞ本当の悪代官です。

まず、不動産市場を大きく歪めました。ただでさえ人口が減っている日本で富裕層に「不要な賃貸住宅を建てさせる」大失態を招きました。遠からず、このバブルがはじけるはずですが、その時、誰を責めればよいかといえば財務省が撒いた種、と申し上げます。

次に証券市場にも影響が出るでしょう。それは手持ちの有価証券を現金化し、金庫にしまい込むことで個人投資家を増やすべく方策の真逆を行くことになるからです。ご承知の通り株式市場に参入しているのは6-7割が高齢者です。つまり、個人投資家=高齢者と言ってもよいその市場で株が売り方に回るため、健全ある株式市場が形成されないのです。

三番目に心理的要素です。これは不思議なことなのですが、一度「相続対策の金庫」にしまい込んだお金は滞留する可能性が高い点です。これは相続する人は「このお金は誰だれに」と色付けしたりすることで「金庫のお金には手を付けない」という「自身の戒律」が生まれやすい点でしょうか?もちろん、これを証明せよ、と言われても難しいと思いますが、「言われてみれば…」と思い当たる人はいるのではないでしょうか?

私は東京である不動産を地上げしようとしているのですが、地主から「そこに住んでいる親戚の人が自立するまでは売れない」と言われました。つまり、地主はその親戚にその不動産の使用権を与えているようなものなのです。これは自分の資産を実質的に誰のものという具合に色付けしているとも言えるのです。

最後に相続税の課税バーを上げるのは世界のスタンダードの真逆であります。本来であれば相続税を撤廃することでファミリーツリーを作り、子供を増やすという流れが適正であります。つまり相続税がなくなれば人口が増大に転じる可能性が大いにあると考えています。

残念ながら日本には「省庁の力学」というものがあります。そして財務省がその頂点である点も事実であります。「子だくさん」よりも「税たくさん」です。麻生さんの笑いが止まらない顔が目に浮かびます。

では今日はこのぐらいで。

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